新たな異文化理解への挑戦:大学生訪韓団プログラムに参加して
?国際社会学部?河井 杏水さんインタビュー
外大生インタビュー
大学生訪韓団プログラムで韓国を訪問した国際社会学部東南アジア地域/カンボジア語4年の河井 杏水(かわい?あみ)さん。現地での体験や多様な出会いを通じて感じたことをインタビューしました。学生たちに新たな視点を提供し、異なる文化への理解を深めるこのプログラムの魅力をお届けします。
(インタビュアー:留学支援共同利用センター 小松謙一郎 留学支援コーディネーター)
対日理解促進プログラムとは
???9月に大学生訪韓団プログラムに参加されたとのことですが、どのようなプログラムだったのでしょうか。
日本の外務省と韓国の外交部が主催する対日/対韓理解促進プログラムの一つとして公益財団法人日韓文化交流基金が実施するプログラムです。外務省は、世界のさまざまな国と同様のプログラムを実施していて、私が今回参加したのは、韓国を対象としたプログラムでした。9月20日から28日までの8泊9日の日程で訪韓しました。全国から集まった大学生が、韓国を訪問して、政府の方や大学生、一般の韓国市民まで多くの方々と交流しながら、韓国の歴史や社会、文化等について学ぶプログラムです。
???渡韓前に事前研修のようなものもあるのでしょうか。
はい、渡韓前にプレプログラムが用意されていました。プログラムの応募資格として韓国に継続して20日以上の滞在経験がないことなどの条件(*2024年10月28日現在)があり、韓国に関心はあるけれど、知識や現地経験がほとんどない学生も多く参加しているので、プレプログラムでは、外務省の韓国担当の方からの講演やスケジュールの説明のほか、韓国についての基礎知識を学びました。韓国からの訪日団の大学生との交流時間も設けられていました。
???このプログラムに参加していた日本からの学生は何人くらいいたのでしょうか。
参加学生は28人でした。来年3月に実施される訪韓プログラムが現在募集(2024年11月11日応募締切)されているのですが、そちらは86人募集しており、より多くの方が参加できるようです。
現地での体験
???滞在中は具体的にはどのようなことを行ったのでしょうか。
滞在中は、韓国外交部や日本大使館への表敬訪問、ソウル大学への訪問、博物館や記念館など各種施設の視察などが用意されていました。1泊のホームステイも用意されていました。「日韓交流おまつり」という毎年ソウルと東京で1回ずつ開催されているイベントがあるのですが、滞在3日目にそのソウル版が開催されました。そのイベントで私たちは折り染め体験と災害時の知恵紹介のブースを運営し、私自身は後者を担当しました。韓国は日本より自然災害が少ない国ですが、日本に関心がある方が来場するイベントなので、訪日した時に災害にあったらどうしたらよいかという視点で説明しました。
???現地で特に印象に残っている出来事はありますか。
一番印象に残っているのは、コモンズフィールド春川(チュンチョン)という場所への訪問です。ここはソウルとは違う小さな町で、日本と同じように少子高齢化や地域消滅といった課題を抱えています。そこで町を活性化しようと頑張っている方々とお会いしました。地域出身の若い起業家たちがシェアオフィスに集まり、町を元気にしようと活動しています。実際に4人の起業家のお話を伺い、そのうち1人の方とは詳しくディスカッションもしました。地域を活性化しようとする若い起業家たちの情熱を感じました。私は愛知県出身でもともと「地方創生」に関心がありましたが、その関心がさらに深まりました。
参加のきっかけと留学での収穫
???ところで、河井さんがこのプログラムに参加しようと思ったきっかけはなんですか。
3年次にアメリカに9ヶ月間派遣留学したのですが、アメリカ留学中に韓国人の友達ができたこともあり韓国に対する興味が高まりました。留学前は韓国をそれほど身近に感じていなかったのですが、同じアジア人ということもあり多くの韓国人の友達ができました。話してみると共通点が多くありましたが、小さな違いにも気づくことができました。その違いが面白く感じました。アメリカから帰国後に本学で教養外国語の一番簡単なレベルの朝鮮語の授業を取ったりしていましたが、もっと深く知りたいと思ったのが動機です。学内の掲示板に掲示されていたポスターを見てこのプログラムを知ったのですが、友人が中国との交流プログラムで訪中団に参加していたので、その経験を聞いて興味を持ちました。
???少しそれますが、韓国の友達ができたことだけではなく、アメリカ留学を通じて変わった心境などもあったのではないでしょうか。
はい、アメリカ留学を通じてフットワークが軽くなったと感じています。派遣留学は9ヶ月と決まっていましたので、一つ一つが貴重な機会だと感じ、何にでも挑戦しようという心を得ました。そのため、誘いはなるべく断らないようにして、すぐに行動するようになりました。それが帰国後も続いていると思います。韓国についても、あまり知識がなかったのですが、「やってみよう」と思って挑戦することにしました。この心や考え方の変化が大きかったと思います。
???今回の訪韓団のプログラムでも、参加する前と後で自分自身に変化はありましたか。
韓国は日本から最も近い国であり、私が生まれた次の年に日韓W杯が開催されたこともあり、私たちの世代は韓国を身近に感じてきました。しかし訪韓中に政府関係者や一般の方々の話を聞いたり、大学で講義を受けたり、歴史博物館や戦争記念館を訪れたりして、多くの人々の努力のおかげで現在の交流が成り立っていることを実感しました。これからは、私自身もその架け橋の一員になりたいと思います。
多様な出会い
???このプログラムを他の学生にもおすすめしたいですか。
専攻している地域や言語、分野以外のことに触れる機会になるのでおすすめです。この対日理解促進交流プログラムは他の国も対象としているので、違う国にも行ける機会もたくさんあります。政府が支援しているため、自己負担となるのは日本国内の空港までの交通費と現地でのお土産代くらいで、経済的な負担はほとんどありません。経済的な理由で留学を諦めている学生にも、このプログラムは良いチャンスだと思います。さらに、全国各地から参加者が集まるので、さまざまな背景を持つ学生と出会えるのも魅力ですし、本当に刺激的でした。11月11日まで来年3月の訪韓団プログラムの参加者を募集しているので、皆さんもぜひ挑戦してみてください。