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TUFS銭湯同好会と巡る、すぐそこにある銭湯

外大生インタビュー

2014年6月に東京外大生により結成された「東京外国語大学銭湯同好会」。皆で銭湯を探訪したり情報を共有したりと、様々な形で銭湯を楽しんでいる彼らですが、実はその目指すところは、

\ 銭湯を世界に広める /

\ 若者の銭湯離れを防ぐ /


お風呂に入りに行く前に、まずは銭湯同好会代表の山田尚史さん(言語文化学部スペイン語4年)にインタビューしました。

——銭湯同好会の活動の目的を教えてください。

銭湯同好会は2014年の6月に3人の「銭湯好き」から始まりました。銭湯を我々が楽しみながら魅力を発信していくことで、若者の銭湯離れを防ぐこと海外に銭湯を広めること、を主な活動の目的としています。昨今の銭湯は、若者の銭湯離れや、経営者の高齢化など、多くの要因から銭湯が廃業をせざるをえない状況にあります。そんな現状を打破したいという勝手な正義感から、銭湯同好会を立ち上げました。銭湯同好会の主な活動は銭湯探訪、銭湯ツアー、銭湯合宿、外語祭での展示などを通して銭湯の魅力を普段銭湯に行ったことない人とともに発掘することです。

——何人で活動しているのですか?

現在同好会には40人を超える人が所属しています。中には留学生や他大学の学生さんもいます。

——留学生もいるんですね。どちらのお国の方ですか?

香港ハンガリーの出身です。

——ハンガリーも温泉で有名ですよね。世界のお風呂と日本の銭湯の違いについて教えてくれますか。

スッポンポンでお風呂に入るという文化が根付いているのは日本や韓国など、東アジアの国くらいで、海外から来る多くの人が日本の入浴文化には新鮮な感覚を持っています。
銭湯の暖簾をくぐり、下駄箱に靴を入れ、番台さんにお金を払い、脱衣所で服を脱ぎ、体を洗ってから入浴するという一連の流れの1つ1つが、特異であり、説明なしには最初からは理解できない敷居の高さがあり、入りづらいという声も聞きますが、最近では海外の方々のための入浴マナーなどが書かれたポスターをよく見かけます。
是非海外の方々には日本の昔ながらの情緒があり人情が生きている銭湯を味わっていただきたいです。

——韓国は日本と入浴文化が似ているんですか?

韓国では日本同様銭湯は普通に存在しています。

韓国の場合は銭湯とアカすりがつきもので、必ずと言っていいほど、銭湯にはアカすりのためのコーナーがあるそうです。日本の親が子に背中を流してもらうのが夢のように、韓国では子に背中のアカを落としてもらうのが親と子の関係の理想像だそうです。同様の入浴文化をもちつつも、若干の違いが国によってあるのは興味深く、面白いですね。

——入浴文化から世界を見るのもおもしろいですね。ところで、昨年度外語祭での学長賞を受賞しましたね。

はい!私自身は昨年度留学していたためその場に立ち会うことができなかったのですが、まだまだ結成から短い我々がこのように評価していただけたことに恐縮するとともに、メンバーたちの努力をとても誇らしく感じています。今回の受賞を通じて、さらに多くの人々が銭湯に興味を興味を持ってくれれば嬉しいです。
またそれだけでなく、東京外国語大学の中で敢えて日本の銭湯について知る意義を感じてもらうきっかけになれれば、光栄に思います。海外の人々や文化と接する中で、自国の文化に愛着を感じ、誇りを持ち、それを異文化交流の中で表現していく。もちろんそれは銭湯に限った話ではありませんが、東京外大生ならではの銭湯との関わり方の一つの形になりうると考えます

日本文化の一つである銭湯ですが、外国とは入浴文化が違い、そもそもまったく銭湯を見聞きしたことがないような人々がいるため、あまり広まっているとはいえません。彼らの母語で銭湯を紹介するなどの活動を通して、世界の多くの人々に日本の文化である銭湯を知ってもらおうと考えています。

——銭湯同好会の皆さん。活躍、期待しています!


さて、彼らと多摩地域にある銭湯を彼らと一緒に巡ってみました。

部活?サークルでかいた汗を流しに、留学で疲れた体を癒しに、研究室で凝り固まった体をほぐしに、銭湯へ出かけてみませんか

すぐそこにある銭湯

1. 藤の湯

銭湯と聞いた時に外語大生はまず最初にこちらを思い浮かべるのではないでしょうか。東京外大から歩いておよそ1,2分のすぐ近くに位置する銭湯、藤の湯さんです。
お店や施設のあまり多くない多磨において、数少ない市民の皆さんの憩いの場であることは間違いないでしょう。部活の後等汗をかいたあとに利用している外語大生も時々見受けられます。
ビルの一階にあり外観は比較的新し目です。自動ドアを入るとすぐにある券売機で入浴料を支払い、さらに中に進むと左手に靴箱、目の前にテレビを見て休める所があり、右奥に番台というよりはどちらかというとホテルのフロントのような形で受付の方がいらっしゃいます。
そちらで入浴券を渡し、暖簾をくぐるといよいよ脱衣所があり浴室まで見渡せます。全体として緑や青を基調としていて、浴室はもちろんロッカーや洗面器、椅子等の色調から統一感ある清潔さを感じ取ることができました。
浴槽が二つあり片方は水風呂となっています。奥に大きい浴槽がありますが、個人的には金属製の水枕に頭を乗せてゆったりと寝そべることのできる寝湯がお気に入りで、浴室左手奥の壁側にあります。この水枕で後頭部から首元にかけて冷やしつつ横になると、あまりのぼせることなくじっくりとお湯につかることができます。寝ながら天井を見上げ考えにふけっていると時間が経つのを忘れてしまうほどの心地よさが体を包み込みます。
水風呂の方は少し浴槽が小さいものの冷たすぎず、ずっとつかっていられます。とても入りやすく体にやさしいと感じました。
このあと巡る銭湯と比較すると、全体としてたしかに我々のイメージする”銭湯”とは形も雰囲気もちょっと違うと思います。
しかしこうした少し斬新とも言えるスタイルは、残念ながら日々廃れていく銭湯にまた違った方向性を見出すための、一つのきっかけになるかもしれません。
そんなことを考えさせられつつ自動販売機で買ったジュースを飲み、テレビを見て番台のおかみさんと言葉をかわしながら余韻に浸る。こうして終える一日もまた格別なものです。

リポーター:弓削諒太さん(スペイン語科2年)

藤の湯
住所:〒183-0003 府中市朝日町2-27-20
営業時間:16:00~20:00
定休日:月曜日
連絡先:042-361-4422

2. のぼり湯

今回お邪魔したのは三鷹市ののぼり湯さん。西武多摩川線「新小金井駅」からもJR「武蔵境駅」からも歩いていくことができます。歩くのが苦手な方は武蔵境から小田急バスが便利です。外大やICUからも自転車で行くことのできるアクセスの良さのため、部員も個人個人でお世話になっている銭湯です。
そういえば東京都浴場組合さんのWEB1010に掲載されている当団体のインタビューが行われたのものぼり湯さんですね。その時のインタビュー記事はこちらからどうぞ!
http://www.1010.or.jp/mag-sentolover-tufs

さてさて、肝心のお風呂ですが、ロビー、脱衣所、浴室全てが清潔感があり居心地最高。デザインもご主人の強い思いからオシャレかつユニークです。なんといっても部員の一番のお気に入りは開放感あふれる露天岩風呂。岩風呂に入って、ベンチで涼む。最高のひとときです。でも、気持ち良すぎて入り過ぎるとのぼせるので要注意。
ご主人の島田さんは、お忙しい中外語祭展示にも足を運んでくださるほど気さくで優しい方で、お風呂後のお話も弾みます。そんなアットホームな雰囲気も含めて居心地の良い、行ってよかったと思えるお風呂だと思います。皆さんも是非訪れてみてください。帰りに寄った島田さんオススメの定食屋もボリューミーかつ味うましでお風呂後にピッタリでした。武蔵境にはたくさんの飲食店があるのでぜひ最強の風呂メシを探してみてはいかがでしょうか。

リポーター:澤田真彦さん(大学院総合国際学研究科1年)

のぼり湯
住所:東京都三鷹市井口5-5-18
営業時間:16:00~23:00
定休日:毎週水曜日

3. 三谷浴場

東京外大からほど近い武蔵野市に位置する、三谷(サンヤ)浴場。その立地と、昔ながらの風格を残していること、また番台のおばあちゃんの人の良さもあり、銭湯同好会メンバーの中でも人気。

破風造りの屋根から始まり、木札の下足箱、上下左右に空間を広く取られた縁側付き脱衣所にそれを見渡す番台と、いわゆる銭湯というイメージの特徴を残した構造です。浴室も同様にシンプルで、縦に並んだカラン、ペンキ絵、湯の種類は浅湯と深湯の二種類。湯に浸かるながらそれらを眺めていると、ここはこれまで一体何人の人々の日常を支えてきたのかと、身近な場所ながらこれまで考えたことのなかった空想に想いを馳せたくなります。

リポーター:田原文太さん(アラビア語4年)

三谷浴場
住所:東京都武蔵野市西久保2-27-15
営業時間:16:00~22:30
定休日:毎週月曜日
連絡先:0422-52-3553

4. 千代乃湯

武蔵野通りを歩いていると見えるのが、「ふろはふろやで」という文字とともにご老人の顔写真が大きく描かれた看板。この方は経営者家族のおじいちゃんだそうです。その看板に案内され路地を入っていくと、少し大きな建物が見えてきます。中に入ってみると番台の横でテーブルの置かれたラウンジも。

ここの浴槽は15日ごとに男女で入れ替わります。
この露天風呂は少し変わっていて、まずツボ風呂があります。ドラム缶とは違いますが、なんとなくそれに似たような雰囲気を感じます。また藤棚があり、上のほうから藤の花が垂れ下がっているのが風流です。そのほか植物が植わっていたり、入浴用ではなく小川的な感じでさらさら水が流れていたりと、限られた空間ながら心にやさしいものたちがお出迎えしてくれます。
中の浴槽は、ざっくり言い表すと広め。お湯も通常のもののほかジェットや電気風呂などもあり。シャワーもそこそこ数があり、近所のおじいちゃんと思われる方々や力仕事っぽいお兄ちゃんたちがそこかしこで談笑していたのを記憶しています。そのほか親子連れも多く、割と広範な年齢層でした。

施設全体としてやや広め。なんでもここの銭湯はデイサービス業も営んでおり、そのケアの一環でも銭湯が使われるそうです。公衆浴場とともに介護も経営するとはかなりの苦労がありそうですが、そこに通っている志は変わらないよう。銭湯の新たな可能性を感じさせてくれます。

リポーター:田原文太さん(アラビア語4年)

千代乃湯
住所:東京都三鷹市井口2-4-31
営業時間:平日 15:30~23:30、土日祝 13:00~23:30
定休日:不定
連絡先:0422-39-1010(サンキュー銭湯)
ホームページ:http://www.chiyonoyu.co.jp/index.html
広い駐車場有

5. ぬくい湯

小金井市唯一の銭湯。銭湯同好会が初めて訪れた銭湯。武蔵小金井駅から近いので東京外大生にもおすすめです。
外観はお世辞にもきれいとは言えず、古びた工場のようですが、そもそも新しい銭湯に情緒が宿るかどうかは疑問です。
天井が高く、窓が開いているので、開放感があり、気持ちよくお湯に浸かることができます。

外語祭で銭湯同好会の展示にきたあるおばさんが「ここってまだあるのねぇ、わたしが子供の頃からあるわぁ」と言っていたのを思い出します。古いものに愛着がわく人は気にいる銭湯でしょう。

リポーター:前島純平(ポルトガル語2年)

ぬくい湯
住所:東京都小金井市貫井北町3-4-4
営業時間:16:00~23:00
定休日:5日、15日、25日
連絡先:042-383-5757

6. 境南浴場

武蔵境駅南口にある東京外大生が最も利用する銭湯の一つ。
サウナ、水ぶろ完備。ロビーが広々としていて落ち着きます。

学校帰りに、部活終わりに、仲間と行くもよし、一人で行くも良し。何年もかけて通い詰めるとそこに様々な記憶がこびりつき、自分にはなくてはならない象徴的な存在へと昇華します。そんな場所になりえる僕らの境南浴場。

リポーター:山田尚史さん(スペイン語4年)

境南浴場
住所:東京都武蔵野市境南町3-11-8
営業時間:16:00~24:00
定休日:毎週月、金曜日
連絡先: 0422-31-7347
料金:入浴料460円(各種備品は有料で販売)

7. よろづ湯

大勢の人が行き交うおしゃれタウン吉祥寺の街の中にある、昔ながらのたたずまいを残す銭湯。

現代の銭湯では、男女共用のロビーに漫画がたくさん置いてあったりテレビが置いてあったりしてあって、男女で行って片方が早く上がっても退屈しないようになっているところが多い。
しかし、よろづ湯は番台式。男女共用のスペースは下足箱のある、ほんのわずかな風通しのよい場所のみ。早くに上がって建物を出たものは冬の寒空の下、相手を待つほかない。

でもなんのことはない。もしあなたがお風呂上りで相手を待たせていないか心配な場合は、番台さんに「連れはまだ入ってますか」と聞けばよい。そうすれば番台さんが教えてくれるだろう。
もし、まだ相手が上がっていなければそこから番台さんと趣味のスポーツの話で盛り上がることもできよう。

あるいはあなたが早くに上がり過ぎて、相手がだいぶ遅れて出てきたとしても「全然待ってないよ」と湯冷めして鼻水のたれた顔で、相手がいない不安を隠すように強がってもよいだろう。

スマホを使えば世界中どことでも連絡が取れる時代、不便さは嫌われる効率重視の時代。だが、よろづ湯のこの不便さはなんとなく心地よく感じられる。
不便さから生まれる気遣いやちょっとした会話がお風呂のお湯のように妙にあたたかく感じられるのだ。
そしてこうして記事を書くと、あのとき、大都会吉祥寺にたたずむよろづ湯で、僕にあたたかさをわけてくれた、あの男女の姿が鮮明に頭に浮かんでくる。彼らは今日もそこにいるのだろうか。

リポーター:澤田真彦さん(大学院総合国際学研究科1年)

よろづ湯
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-18-9
営業時間:16:00~24:30
定休日:毎週土曜日
連絡先:0422-22-3235

8. 深大湯

調布、深大寺からほど近い銭湯。アパートの3,4階に位置し、一回の入り口からエレベーターを使い番台へ。創業は昭和50年代からだがおよそ10年前に改装を経ており、全体的に清潔感のある装い。

ここのお湯の特徴は軟水を使用していること。初めに触れた際はどこかぬるっとした感触がします。シャワーの水も軟水のため、石鹸を流した後もまるでまだ流し切れていないような錯覚に襲われますが(笑)ご安心を。
湯船に入ると、最初はあれ少しぬるい?という印象を受けますが、たしかにもともとの設定としてそれほど高くないのもありますが、別に温度管理を手抜きしているわけではなく(失礼しました)、じんわりと体の芯から温まっていくのが軟水の性質だそう。そのほかにも様々お肌にやさしい効果があるようですが、残念ながら僕はあまり詳しくないのでみなさんぜひお調べください。
またお肌だけでなく銭湯にもやさしいそうで、浴槽や洗面器具、ボイラーなどに硬水に比べ汚れがつきづらいそうです。そのためお掃除の手間がかなり省かれるとのこと。

浴槽の種類としては、通常のお湯のほか薬湯、数種類のジャグジー、そして浴槽内から階段を上がった4階に露天風呂があります。ある程度の高さがあるのであたりの住宅地を見渡せ、また天気が良いと富士山も見えるそうです。それほど広さがあるわけではありませんが、地上階ではなく敷居があまりので見晴らしがよく、またさわやかな風に直接当たることができます。

番台さんにお話をきいたところ、10年前の改装の際、ここの銭湯は廃業するかもというお話が出たそうです。昨今の銭湯業界の流れでは悲しいことにそれほど珍しいことでもないのですが、すると常連さんや近所の方から多くの反対意見が。それを受け経営者側も一念発起、地域の組合とも相談して、継続を決めたそうです。それ以来、これまでと同じ正統派な経営もする一方、新たな需要開拓へ向け折々の工夫もし続けています。
銭湯上がりには近くでお蕎麦でもどうでしょうか。

リポーター:田原文太さん(アラビア語3年)

湯の森 深大湯
住所:東京都調布市深大湯北町6-17-3
営業時間:平日?土?祝 15:00~23:00、日 14:00~23:00
定休日:毎週木曜日、第3水曜日
連絡先:042-482-4652
ホームページ:http://jindaiyu.web.fc2.com/
駐車場有

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