言語学と私 ?フランス出身、交換留学生モルミー?ローラさんインタビュー?
外大生インタビュー
今回インタビューしたモルミー?ローラさんは、2023年4月より半年間、学部交換留学生として本学で言語学の勉強をしました。フランスからはるばる異国の地である日本に留学するほど言語学と言語学習が好きなローラさん。言語学への飽くなき好奇心が導いた日本での留学生活に迫ります。(帰国前に取材をおこなったため、内容に一部時差があります)
取材担当:長谷川 悠成(はせがわ ゆうせい):言語文化学部フランス語2年、広報マネジメント?オフィス学生記者
TUFSでの勉強
–––なぜ日本への留学を決めたのですか?
高校時代に日本語を勉強し、高校3年生の時に日本に来て3週間、横須賀市にホームステイしたことがきっかけです。その際に、ホストファミリーの家族の女の子が通っていた横浜にある高校に通い、フランス語や英語、スペイン語の授業を一緒に受けました。休日には、ホストファミリーの方々と一緒に鎌倉に行き、大仏を見たり、同じくホームステイをしていたフランス人の友達と原宿で買い物をしたりしました。原宿は人であふれていて少し怖かったけど、とても刺激的でしたし楽しい思い出です。フランスの家族のもとを離れて、海外で生活することは私にとって初めての経験で、不安なこともたくさんありましたが、この日本でのホームステイを通じて、より自分の日本語力を磨き、日本文化について学びたい!日本の人々ともっと関わりたい!と思ったことが日本への留学を決める大きな決め手となり、日本への留学を決意しました。
–––東京外国語大学ではどんな勉強をしていましたか?
フランスの大学でもともと言語学を学んでいました。言語は私たちの生活を構成し、人と人とをつなぐコミュニケーションの重要な要素の一つであります。そんな普段私たちが何気なく用いている言語を音声学や統語などミクロな視点で分析していくことに興味をもったことが、私が言語学という学問を学ぼうと思ったきっかけです。また、言語を科学的に分析するという分野の特性上、ある社会階層にみられる特有のしゃべり方であったり、語彙などが絶対的に誤っているとすることがなく、人によって言葉として発せられたものをそのままの形で分析していくという研究方法に惹かれました。
東京外大では、もともとフランスのボルドー?モンテーニュ大学時代から専攻として学んでいる言語学と日本語の勉強をしました。言語学の授業では、第二言語習得論、異文化間語用論について学びました。日本語の授業は、漢字について学ぶ授業や会話練習の授業、ライティングの授業などがあります。日本語の授業の中で、私はライティングの授業が一番好きです。それは、日本語のライティングの授業では、ただ日本語で文を書くだけではなく、文章を読んだり、それについてパートナーと話し合う時間やそれを発表する時間もあり、さまざまな活動を一つの授業の中で行い、体系的に日本語を学ぶことができるからです。
–––卒業後の目標について教えてください
私は、学部を卒業したらパリの大学院に進学したいと考えており、大学院では、言語学の勉強を続けるとともに、日本語以外にもポルトガル語やイタリア語、スペイン語やアフリカのケープ地域で話されているコサ語など時間が許す限りとにかくたくさんの言語を学ぼうと思っています。それ以外に、フランス語教育にも関心があるため、フランス語の教授法などについても学びたいと考えています。また、インターンシップを通じて、いつの日か日本に戻ってきたいとも思っています。将来的には、外国でフランス語を教えるフランス語教師になりたいと現段階では思っています。
東京での生活
–––普段どんな食事をしていましたか?
日本では、主にごはんや豆腐、卵を使った料理を自分で作って食べていました。私は、ベジタリアンなのですが、日本でベジタリアン向けに調理された食品を見つけるのは難しいので、自炊で料理を作っていました。外食に行くこともたまにありましたが、日本のレストランは値段が安くて驚きました。
私が特に好きな日本の食材は、豆腐とおもちです。さまざまな料理に使いやすい豆腐ともちもちとしたおもちの触感が好きです。
–––所属していたサークルやアルバイトについて教えてください
私は、東京外国語大学在学中は、タップダンスサークル「TUPS」に所属していました。もともと、10歳から18歳までモダンジャズダンスのレッスンを受けていて、その一環でタップダンスについても触れる機会があり、それをきっかけにタップダンスをやってみようと思い、TUPSに入りました。サークル内で留学生は私一人で、主に日本語で行われる会話についていくのが大変でした。しかし、サークルのメンバーたちは私が理解できるような簡易な日本語に直してくれたり、英語で言い換えてくれたりするなど助けてくれたおかげで非常に楽しいサークル生活を送ることができました。また、サークルでの活動は、私の日本人の友人を増やすとともに、日本語での会話の練習にもなりました。自分の日本語力の成長をサークルのメンバーたちとの日本語を用いた会話を通じて実感していました。
–––大学が休みの時はどのように過ごしましたか
休みの日は、大学の図書館で勉強したり、家で本を読んだり、テレビを見たりして過ごしました。他にも、友人たちとレストランへ行ったり、遊びに出かけたりしました。特にカラオケによく行きました。カラオケはフランスでは珍しいので、日本にきてカラオケにはまりました(笑)。
私と日本、変わった習慣
–––母国に帰国する際に家族や友達に買っていきたいお土産は何ですか
私の友達にはアニメが好きな人が多いので、アニメグッズをたくさん買っていく予定です。私自身『ナルト』というアニメが大好きなのでそれに関連したグッズも買っていきたいです。家族には、日本らしい桜がモチーフになっている食器や小物を買っていきたいと思います。日本酒も忘れずに買っていきます。あとは、おもちや茶葉などの日本食も買っていきたいです。日本は、キャンディーの種類が豊富にあるのでそれもお土産として持ち帰りたいです。
–––日本であなたがおすすめのところはどこですか
西多摩にある檜原村をおすすめします。ゴールデンウイークに何人かの留学生と一緒に行きました。そこは、たくさんの木々に囲まれた山間にある場所ですごくきれいでした。電車での日帰り旅だったので長い時間はいられませんでしたが、緑に囲まれた檜原村の散策はとても楽しかったです。日本の滝百選にも入っている払沢の滝に行きたかったのですが、その時は迷子になってしまったので行くことができませんでした…(笑)。いつか檜原村をまた訪れるときがあれば、リトライしてみたいです。
–––日本に来てから変わった自分の習慣はありますか
日本に来てから大きく変わったこととしては、まずもちろん食習慣が変わりました。パンの代わりにお米をよく食べるようになりました。フランスでは主にパンを食べていたのですが日本のお米も毎日食べても飽きないくらいすごくおいしいです。あとは、さまざまな場面でお辞儀をするようになりました。お礼をする際や挨拶をする際 etc.…。初めは慣れない習慣でしたが、今では自然と場面に応じてお辞儀をしています。
それ以外で、特に大きく変わったのは、留学生として日本についてもっと知るために、日本の中の様々な場所を訪れ、そこで日本の人々とコミュニケーションを自ら進んでとることを通じて、自分に自信が持てるようになってきたということだと思います。もともと、私は人見知りな性格だったので初めは自分から人と関わることがあまり得意な方ではありませんでした。しかし、日本に留学して、日本語力を伸ばし、学びを深めるために、自分から積極的に行動していくことを実践したことは、私に「自分を信じること」を教えてくれました。この経験は、自分の人生において大きな財産になったと思います。
–––日本に留学に来たことはあなたにとって良かったですか
日本に留学に来たことは私にとって本当にいい経験になりました。日本に来て、たくさんの人に会い、関わり、彼らについて知ることはフランスで日本語について学んでいるだけでは決して得られないような経験を私にくれました。また、日本で生活することは、自然と普段の生活で日本語を使うことが求められるので、日本語の力を伸ばしたい私にはぴったりの環境でした。言語を学ばなければいけない環境に身を置きながら、ネイティブスピーカーたちと会話の練習をすることで私の日本語力はこの留学期間中に大きく伸びたと思います。
インタビュー後記
言語学という学問分野の魅力と言語学習の楽しさを熱心にお話しいただき、言語学がいかにおもしろい分野であるかを学ばせていただきました。私自身東京外国語大学の言語文化学部に所属している身であるため、言語学習とは必然的に大学生の間は付き合っていかなくてはならないので、その魅力を再発見できたのは自分にとっても大きな財産となりました。ローラさん、インタビューに協力くださり本当にありがとうございました。
長谷川 悠成(言語文化学部フランス語2年)
本記事は本学の「学生取材班」により準備されましたが、文責は、東京外国語大学にあります。ご意見は、広報マネジメント?オフィス(koho@tufs.ac.jp)にお寄せください。