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絵がつないだ日本留学--イタリア出身ベアトリーチェ?グロッシさんインタビュー

外大生インタビュー

2023年4月から半年間、イタリアから日本に留学し本学で学んだべアトリーチェ?グロッシさん(以下、「ベアトリスさん」)。日本の絵や漫画が大好きな彼女に、絵がつないだ日本での留学生活について伺いました。また、旅が大好きな彼女が紹介してくれた日本のおすすめスポットについての語りも必見です。

取材担当:長谷川 悠成(はせがわ ゆうせい):言語文化学部フランス語2年、広報マネジメント?オフィス学生記者

TUFSでの勉強

–––なぜ日本への留学を決めたのですか

子供の時からずっと絵を描くことが好きで、日本の絵?美術に興味がありました。特に、16世紀くらいの美術が好きで、同時代に活躍した日本の画家として名高い狩野永徳さんの作品に惹かれて日本の美術への関心を持ちました。彼の作品の絵の構成と色使いがとても好きで、その作風にインスピレーションを得て、大学生となった今も絵を描いています。それと同時に高校生の時から日本語の勉強をしたいとずっと考えていました。なので、大学生になりイタリアの大学で日本の文化史を専門的に学べる大学に入学しました。そして、今日本に留学に来ています。

–––東京外大ではどんな勉強をしていますか

東京外国語大学では、主に言語学や日本語の勉強、現代文学作品を含めた日本文学について学んでいます。受けている講義の中では、特に日本語の授業が面白いと感じています。日本語の講義は、文法項目の学習や文章を書く練習?読む練習だけでなく、日本人が普段の会話で自然に用いているような語彙について取り扱うこともあり、非常に楽しいです。最近習ったものだと、若者がよく使ういわゆる若者言葉(まじ、めっちゃ、むっちゃetc.…)の学習をしました(笑)。このような日常生活の会話の中で耳にすることの多い言葉について学習することは私の日本語学習においてとても役立っています。他にも、大阪弁などの方言についても学んでいますが、方言の勉強はとても難しいです...。

---卒業後の目標について教えてください

8月に留学を終えて、イタリアにもどった後は、イタリアの大学をまだ卒業できるかわからないけれど...(笑)、卒業したら、まずはイタリアで一度就職してお金を稼ごうと思っています。お金を貯めた後は、日本に必ず戻ってきたいと考えています。絵を描くことが好きなので、お金を貯めて日本に来られたら、絵にかかわる仕事をしてみたいです。日本の漫画が本当に好きで、ジャンプやマガジンなど様々な漫画作品が好きですが、その中でも、『聲の形』(2013 週刊少年マガジン)というろう者の少女とその周囲の人間関係を題材とした作品が特に好きで、自分もこのような漫画を描いてみたいです。実現できるかどうかはわからないけれど、可能なら漫画に関わる仕事や漫画家のアシスタントの仕事をしたいと思っています。

東京での生活

–––普段どんな食事をしていますか

お昼は主に東京外国語大学の学食で食べています。夜ご飯は、なるべく自炊するようにしています。日本に来てからは、パスタよりもお米をよく食べています。イタリアにいたころに食べていたお米は、細長いお米(インディカ米)だったので、日本の丸くてふっくらとしたお米は、初めは慣れませんでしたが、今ではどちらもおいしくて好きです。学生寮の部屋にはキッチンが設備として備え付けられていますが、ちょっと狭くて料理をするのが難しいです...(笑)。日本食では、お寿司と牛丼がとても好きでよく食べています。日本に来て特に驚いたのは、コンビニが少し歩けばどこにでもあって、しかも24時間開いているということでした。イタリアにはコンビニのように夜中でも空いているようなお店があまりなかったので、コンビニがイタリアにもあったらいいのにと思いました。コンビニの商品では、から揚げやゼリーをよく買います。特にお勧めしたいのは、中にクリームの入ったメロンパンです。とてもおいしいので是非皆さんにも食べてもらいたいです。

---所属しているサークルやアルバイトについて教えてください

私は、絵を描くことが好きなので、サークルは、東京外国語大学漫画研究会に所属しています。漫画研究会は、基本、毎週木曜日と金曜日に活動があり、なるべくサークルに顔を出すようにしています。漫画研究会の部員の皆さんは留学生である私にも分け隔てなく接してくれるのでサークル活動はとても楽しいです。サークルの部員にはイタリア語を勉強している学生もいて互いに教えあったりもしています。でも、漫画研究会はサークル案内のフライヤーがなかったのでサークルを探すのは少し大変でした。インスタやX(旧Twitter)で情報を探している中、本当にたまたま、漫画研究会に所属している東京外大生の先輩と関わる機会があり、そこで先輩に「ベアも漫画研究会に所属してみない?」と誘われ、二つ返事で漫画研究会に入部することに決めました。それから、インスタDMや先輩とのラインを通じて何度かメッセージのやり取りをし、本格的に漫画研究会のメンバーとなりました。

漫画研究会の活動スペース

---学校が休みの時はどのように過ごしていますか

休みの日は主に外出しています。さらなる東京の魅力を発見するために、まるで初めて日本に来た観光客のように東京の探索をしています(笑)。この留学を終え、イタリアに帰国してしまう前になるべく多くの場所を訪れたいと思っています。休みの日の外出は、友達と行くことが主ですが、1人でぶらぶらと散策することもあります。そんなときには、新しく見つけたカフェでコーヒーを飲みながら、宿題をしつつ、街の風景を眺めています。直近だと、中央線を乗り継ぎ、電車で中目黒まで行きました。中目黒で私が特におすすめしたいスポットは『ONIBUS COFFEE』というカフェです。古民家を改築したおしゃれなお店で、コーヒーを飲みながら窓から中目黒駅と通過していく電車の風景が見える私のお気に入りの場所です。ぜひ、一度訪れてみてください。

おすすめカフェ『ONIBUS COFFEE』(東京?中目黒)

私と日本、変わった習慣

–––母国に帰国する際に家族や友達に買っていく(もしくは買っていきたい)お土産は何ですか

イタリアの友達からは、お土産には日本製品なら何でもいいと言われています(笑)。着物とかアニメのキャラクターのフィギアとか。イタリアで注文したら届くまでに時間がかかるから日本にいる私に買ってきてもらった方が早く手に入るとせがまれました。それ以外には、お守りや絵葉書をたくさん買いました。私自身、イタリアに持って帰りたいものは京都に旅行に行った際に友達になったミサトさんという方からいただいた着物です。ミサトさんはもともとお店で着物を売っていましたが、着物レンタル屋さんが進出してきたことでお店が閉店してしまいました。そこで、私に残された売り物の着物や帯を快く譲ってくださいました。譲ってもらった着物は私の日本での留学を象徴する大切な宝物になりました。あとは、少年ジャンプを絶対に持って帰りたいです。イタリアでも少年ジャンプは買えますが、やはり本場である日本の少年ジャンプは漫画を愛する私としては欠かせないです。

ミサトさんに譲っていただいた着物

–––日本でおすすめのところはどこですか

私が日本でおすすめしたいところは挙げきれないほどありますが、いくつか絞るならまずは箱根ですね。箱根は、留学生の友達と訪れましたがとても景色がきれいでいいところでした。他には富士山ですかね。でも、私は富士山はまだ登ったことはないです。毎日、学生寮の窓からよく見ているのですけどね(笑)。あとは、京都?奈良は、ぜひ訪れてみてほしいです。京都ではたくさんの神社や仏閣を訪れましたが、中でも清水寺はすごく荘厳な雰囲気で迫力がありました。

–––日本に来てから変わった(自分の)習慣はありますか

東京外国語大学に留学に来てから大きく変わったことは、ちゃんとまじめに勉強しようと思ったことです...。東京外大生の皆さんはとてもまじめで私も見習わなくてはなと思いました。というのも、イタリアの大学では、学期の終わりの期末試験のような大きなテストが終わったら、その後は一度も授業に出席していなくてもその授業の単位がもらえるようなシステムだったため、東京外国語大学のやり方とは異なっていました。でも、このような制度の中で、毎日少しずつでもまじめに勉強していくことは学生に大きな成長をもたらすとても良いシステムだと思います。イタリアに戻った後もこつこつと継続的に勉強を続けていこうと思います。

インタビュー後記

日本の絵画や漫画が好きなベアトリスさんとのインタビューは、普段から漫画やアニメが大好きでよく見る私にとって非常に楽しいひと時でした。日本の漫画やアニメがこのように世界中で認知されていることは、日本文化の素晴らしさが世界に認められているような気がしてうれしかったです。また、私が普段身近に存在していて意識していなかった日本の魅力的なスポットについてもたくさん教えていただきました。今度、友達と訪れてみようと思います。ベアトリスさん、インタビューに協力していただき、本当にありがとうございました。

長谷川 悠成(言語文化学部フランス語2年)

本記事は本学の「学生取材班」により準備されましたが、文責は、東京外国語大学にあります。ご意見は、広報マネジメント?オフィス(koho@tufs.ac.jp)にお寄せください。

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