世界へ!3学部での学び、6つの強み
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東京外国語大学は、高度な言語運用能力と地球社会化時代をいきるために必要な基礎的教養、専門知識を身につけ、国内外における言語間?文化間の架け橋となり、新たな価値観の創成に寄与する人材を育成します。
今回のTUFS Todayでは、東京外国語大学の3つの学部での学び、そして本学の強みを特集します。
3つの学部
東京外国語大学には、言語文化学部、国際社会学部、国際日本学部、の3つの学部があります。
東京外国語大学では、いずれの学部に入学した学生も、まずは「世界教養プログラム*」を履修して、専攻する言語とグローバル化時代に一市民?一職業人として生きる上で必要となる基礎的な教養を身につけていきます。
*世界教養プログラム
世界教養プログラムで受ける授業には、入学時に選択した言語?地域に応じた 「地域言語科目」「地域基礎科目」、基礎学力を養う「基礎リテラシー」「基礎演 習」、地球社会に生きる一市民としての教養を身につける「世界教養科目」、言語を学ぶ「GLIP(英語)科目」「教養外国語科目」などがあります。
言語文化学部
~ 多様な言語と文化を深く学び、世界の架け橋となる ~
言語文化学部の学び
高度にグローバル化と情報化が進んだ現代においては、異なる言語や文化がますます身近なものとなっています。人々が理解しあいながら生きていくためには、多様な言語と文化について学び、コミュニケーション力を高めることが大事です。この考えに立ち、言語文化学部では、世界のさまざまな地域の言語や文化の学習に重点を置いた教育を行っています。言語と文化というプリズムを通して人間と世界を学ぶのが言語文化学部といってもいいでしょう。
世界は、グローバル化による画一化?均質化が進む一方で、ローカルな言語や文化を大切にする動きが活発化し、世界各地で文化摩擦や宗教対立など言語や文化をめぐるさまざまな課題が生じています。また複数の言語や文化が併存する多言語?多文化社会が広がっています。複雑な現代にあっては、多様な関係性を読み解くことのできる洞察力、理解力、既成の概念に囚われない柔軟な発想が求められています。言語文化学部は、こうした力を備え、文化の媒介者として活躍する国際教養人の養成を目指します。
特徴
- 世界の様々な地域の言語や文化を重点的に学修
- 入学時に選択した言語や英語、その他の外国語を多様に組み合わせ、4年間を通じて高いレベル
- 専門教育により、言語や文化を中心とする人間の営みを読み解く力を獲得
専門課程
言語文化学部では、第3年次になるとさらに専門性の高い選択科目を履修しながら、指導教員の本ゼミを受講します。専門性を高めながら、他コースや他学部の授業を関連科目として受講することで、知識の補強を図ることもできます。
- 地域コース
- 超域コース
国際社会学部
~ グローバルな視点で問題を考え、解決できる実践的な能力を備える ~
国際社会学部の目的?理念
グローバル化の進展により経済格差や環境問題等、地球規模での課題が深刻化する 一方で、世界各地で市民を巻き込んだテロや戦闘の危機が身近な問題となっています。
こうした世界の現状を正しく把握?分析し、問題の所在をつかみ、日本をはじめとする国 際社会がどのように問題解決に関わり、異なる宗教?民族?文化への寛容さを取り戻してゆくか、国際社会学部では具体的な地域の問題を取り上げ、国際的な視座から考える方法を学んでいきます。
特徴
- 英語をはじめとする地域言語の運用能力を身につける
- 世界諸地域の政治?経済?社会の現状とその歴史的背景を学ぶ
- 紛争?災害?貧困?難民等、現代世界が直面する諸問題を社会科学的手法で分析する方法を学ぶ
専門課程
国際社会学部では、第2年次後半になるとさらに専門性の高い選択科目を履修しながら、指導教員の本ゼミを受講します。専門性を高めながら、他コースや他学部の授業を関連科目として受講することで、知識の補強を図ることもできます。
- 地域社会研究コース
- 現代世界論コース
- 国際関係コース
国際日本学部
~ 分野は日本そのもの。多角的な視点で日本を捉え直す ~
日本の、その先へ
国際日本学部は、世界の中の日本を学び、日本の、その先を考える場所です。留学生と共に学ぶため、教 室がすでに小さな国際社会。学ぶ言語も、英語と日本語です。入学直後に受ける授業の多くは、プロジェク ト主体のアクティブ?ラーニング。研究フィールドは、日本のすべて。多彩で刺激的な授業から、「自分が追 及したい日本」のテーマを学びましょう。英語圏を中心に、世界各地への留学のチャンスも豊富です。
特徴 1―日本を、まるごと
日本そのものをフィールドとして分野を超え、多角的な視点で日本を捉え直します。
私たちが暮らす日本という国を、世界の中に位置付けて学ぶのが国際日本学部です。具体的には、日本の政治?経済?社会?歴史、日本の文学?文化、日本語を学びます。また、世界で日本語を教えるための知識も身に付けることができます。
特徴 2―留学生と日本人が共学。英語と日本語で学ぶ
日本語と英語をコミュニケーションツールとして用い、日本人学生と留学生がいっしょに学びます。
本学部は、英語でも日本語でも、きちんとしたコミュニケーションがとれるようになることを目標としています。英語で行われる授業も多くありますが、日本語の書く、読む、話す力を高めるプログラムも用意されています。
特徴 3―課題解決型のアクティブ?ラーニング
自律性を涵養し、多様な人々との協働による課題解決型のアクティブ?ラーニングに取り組みます。
1年次の「多文化コラボレーション」科目をはじめ、多くの授業で、問題を発見し、解決の方策を話合い、そして解決のために行動する活動を行います。学内はもとより、地域社会、さらには海外にでかけて行うフィールドワークもあります。
東京外国語大学の6つの特色
東京外国語大学は、創立以来世界の言語と文化、社会、そして国際関係について研究を重ねています。その使命は、国際社会に関する豊かな知識と理解をもった創造性あふれる人材を育成するとともに、東京外国語大学ならではの知を広く社会に還元すること。長年の研究で培われた有形?無形の知の蓄積を、日本はもとより、広く世界へ発信していきます。
強み 1
高校までの英語力をさらに磨く
グローバルに通用する英語を身につける
東京外国語大学には、世界14地域28言語の授業が用意されており、入学したみなさんは受験時に選択した言語?地域を中心に学びます。ただし、どの言語?地域を選択しても、世界共通のコミュニケーション言語である英語の能力を高められるプログラムが用意されています。「読む」「聴く」「書く」「話す」の技能を大学レベルまで高めるための授業だけではなく、英語を深く読み解き、英語を深く知るための専門的な授業もあります。
すべての学生がより高い英語力を身につける
すべての学生に向けて用意されているのが、GLIP(グロバル人材育成言語教育プログラム)英語科目です。ここでは高校レベルの英語を、学術研究やビジネス界で通用するレベルまでステップアップさせることを目的に、段階的に学んでいきます。留学、就職、大学院進学など各自の目的や専門に合わせて、柔軟な履修が可能です。英語を専攻言語としない学生も、GLIP英語科目により高い英語力を身につけることができます。
英語力を伸ばすためのさまざまな仕組み
英語を学ぶ授業以外にも、英語で学ぶ授業や英語学習支援センター(ELC)、留学生との共学など、英語力を伸ばすためのさまざまな仕組みが用意されています。英語力を向上させるための方策は、本学のすべての学生に開かれています。
強み 2
2人に1人は長期留学へ
海外渡航はあたりまえのグローバル感覚
語学を体で学び、文化や歴史を習得するには、その土地に行くことが何よりの早道です。「世界」を学ぶ東京外国語大学の学生にとって、留学は必須アイテム。専攻する地域の言語を磨くため、約半数の学生が在学中に1年間の留学に出かけます。
これは、本学が世界72の国や地域にある151の大学と学生交流のための協定を結び、交換留学プログラムを実現しているからです。
新たな景色?文化に遭遇する機会
夏学期や冬学期には本学協定校が行うサマースクール、スプリングスクールに参加し、短期海外留学に行く学生も多くいます。2014年夏には、専攻地域単位での研修型短期海外留学プログラムもスタートしました。 留学は、日本であたりまえだと思っていたことが必ずしも通用しないということを直に体験できる貴重な機会です。日々新たな出来事や景色、文化、習慣の違いに遭遇していくことで、自分の視野を広げることができます。
留学の経験は一生の宝
一方で、留学先での生活、友人づくり、山のような宿題、文化ギャップに悩まされることもあるでしょう。ですが、留学を通して身につけた生活能力や、そこで築いた友人のネットワークは一生の宝になります。
東京外国語大学の学生たちは、本学がもつ「世界がキャンパス」のネットワークを使って、世界に飛び出しています。
強み 3
日常的に異文化にふれる
多言語が飛び交うグローバル?キャンパス!
日本人学生と世界80ヶ国からの留学生が授業で交流
東京外国語大学では、世界82カ国1 地域から737人の留学生が学んでいます。その約半数は、学部や大学院の正規課程で学ぶ人たち。残りの約半数が、協定校からの交換留学生や文部科学省各種国費留学プログラムの留学生、研究生などです。
英語による科目の一部は、交換留学プログラム(ISEP科目)※と共通で開講されており、本学で学ぶ世界各地から来た留学生と日本人学生が机を並べ講義を受けたり、一緒に発表したりする授業もあります。このような交流の中でお互いの考え方の違いや共通点、社会?文化の多様性を感じることもあるようです。また、これらの授業を履修することは、本学の学生が留学先で英語の講義を受講するためのトレーニングにもなります。
外国語の授業では、留学生はティーチングアシスタントとしても活躍しています。留学生の友達が「先生」として教えてくれます。
※交換留学生が受講する科目。おもに英語により開講されており、交換留学生はもとより日本人学生も受講することができます。
日常生活で互いの文化を尊重しあう経験
キャンパス内の学生寮である国際交流会館は、1号館、2号館は留学生専用、3号館は日本人学生と留学生が入居しています。寮生たちは日常生活を通じて、仲間をつくり、そして互いの文化を尊重しあう経験を積んでいます。 このほか学内では、留学生と日本人学生の交流を深めるための催し物が、1年を通じて開催されています。
強み 4
世界旅行をキャンパスで体感
学内行事がグローバル
日本にいながらにして外国の雰囲気を味わえるのが、東京外国語大学の学園祭、外語祭です。
外語祭の最大の特徴は「多言語?多文化」
外語祭の最大の特徴は「多言語?多文化」。その「多言語」を象徴するのが、外語祭の一番の目玉である「語劇」です。語劇とは、各自が専攻する言語で上演する演劇のことです。多くの語劇は、2年生が中心になって行われます。
実際に体を動かして演劇を創り上げることを通じて、それぞれの国の生きた言語や地域の文化の特徴を深く理解することになります。脚本から演出、字幕に大道具、演者まで、すべて学生の手によって作られます。
料理も貴重な文化の入り口
「多言語」が語劇ならば、「多文化」の象徴は実に多彩な世界の料理店でしょう。キャンパスの中央にある回廊には、各言語を専攻している学生が開いている料理店が屋台を連ねます。珍しいデザインの看板、民族衣装に身を包んだ店員、見たこともないような文字で書かれたメニュー─。それに引き寄せられて実際に料理を口にすれば、きっと一度も体験したこともない味に出会えるでしょう。料理も貴重な文化の入り口です。
世界中の舞踊や音楽を間近で体感
「多文化」は、料理店にとどまりません。キャンパスの至る所で世界の伝統芸能が見られるのも外語祭の醍醐味です。フラメンコ、ベリーダンス、インドネシア舞踊など、世界中の舞踊や音楽を間近で体感できます。
強み 5
日本をグローバルにする、
言語と世界理解をいかした社会貢献
日本でくらす外国につながる児童生徒への学習支援や地域での活動
地域社会や日本全国に向けた国際色豊かな、さまざまな社会貢献も東京外国語大学の特徴です。 学生のボランティア活動では、日本でくらす外国につながる児童生徒への学習支援や地域での活動を進めています。府中市での学習支援活動(※)は、その一環です。
※ ボランティア活動スペースVOLASの取り組み。府中国際交流サロン児童学習支援、府中市教育委員会日本語適応指導教室で活動しています。
世界の諸言語の学習サイト:TUFS言語モジュール
また、こうした子供たちの学習の助けになるよう、ポルトガル語、フィリピン語、スペイン語、ベトナム語で利用できる「算数」と「漢字」の学習支援教材をインターネットで公開し、無償で提供しています。 世界の諸言語の学習も、本学サイトで可能です。
本学が開発した「TUFS言語モジュール」がそれ。「発音」「会話」「文法」「語彙」の4つに分かれ、世界の27言語の教材がそろっています。英語については、アメリカ英語,イギリス英語、オーストラリア英語と種類も豊富です。
学生主体で世界のメディアを日本語に翻訳
「日本語で読む世界のメディア」も本学ならではの活動です。アラビア語、ペルシア語、トルコ語で報じられた中東の新聞記事、ビルマ語、ベトナム語、インドネシア語による東南アジアの新聞記事、ベンガル語やウルドゥー語による南アジアの新聞記事を本学学生?大学院生が翻訳し、インターネットで発信しています。世界の人々の生の声を、日本の社会に届ける活動は、本学だからこそできること。
東京外国語大学は、学生の参加の下、日本をグローバル化する活動を展開しています。
強み 6
はじまりはペリー来航。
大学の起源がグローバル
蕃書調所が本学の起源
東京外国語大学の歴史は古く、その起源は江戸末期にさかのぼります。1853年(嘉永6)、ペリーが浦賀に来航し開国を要求したことで、江戸幕府は多くの外交文書を処理する必要に迫られました。しかし、人手が足りません。そこで、翻訳などのできる人材の養成を目的に誕生したのが、蕃書調所、本学の起源となる機関です。その後、明治維新により新政府が文部省を設置、教育の組織化?近代化が始まります。
こうした動きの中で、1873年(明治6)、本学の前身である東京外国語学校※が設立されます。その後に東京商業学校(後の高等商業学校、現一橋大学)に統合されるも、1897年(明治30)に、高等商業学校の附属機関として、外国語学校が再興※。1899年(明治32)には高等商業学校から独立し、東京外国語学校と改称されます(※)。
多くの卒業生が修得した言語と教養を武器に世界へ
そして第2次世界大戦後の1949年(昭和24)に新制大学として東京外国語大学が誕生します。発足当初は12学科からなる外国語学部のみでしたが、徐々に学科や部局の数を増やし、大学院課程、アジア?アフリカ言語文化研究所、留学生日本語教育センターからなる大学へと発展しました。2012年には学部改編が行われ、言語文化学部と国際社会学部という2つの学部が誕生しました。2019年には、新たに国際日本学部が誕生します。
このように外国語と世界の諸地域に通じた専門家の養成を目指す本学の理念は連綿と受け継がれ、多くの卒業生が修得した言語と教養を武器に世界へと羽ばたいています。そして、本学は2023年、建学150年を迎えます。
本学ゆかりの人々:
- 中江兆民(1847-1901)ー元校長
- 二葉亭四迷(1864-1909)―本学に在籍、元教師
- 中原中也(1907-1937)―本学を修了
- 岩崎民平(1892-1971)―元学長