ミヒャエル?コールハース チリの地震 他一篇
- 刊行
- 著者等
- ハインリヒ?フォン?クライスト(著)、山口裕之(訳?解説)
- 出版社
- 岩波書店(岩波文庫)
内容の紹介
近代ドイツを代表する劇作家クライスト(1777-1811)。歴史の力に翻弄される悲劇的運命を独特な文体で描いた作品群は、カフカ、森鷗外、大江健三郎、多和田葉子ら、多くの作家たちを魅了してきた。領主の理不尽な処遇により飼い馬ばかりか妻をも失った馬商人の怒りと正義を求める戦いが、神聖ローマ帝国全体を巻き込んだ反乱へと発展する「ミヒャエル?コールハース」。天変地異と人々の激情に愛する二人が飲み込まれていく悲劇「チリの地震」。そして独立運動の暴動のさなか人種対立のなかで生まれた愛が運命に翻弄される「サント?ドミンゴでの婚約」の3篇を収録。
著者等のコメント(引用)
「コールハースは、この小勢を率い、三日目の夜にはもう、門の下で立ち話をしていた収税吏と門番を馬で蹴散らし、城に攻め込んだ。そして、城内の小屋という小屋が火を投じられて突然パチパチと音を立てて燃え上がるなか、ヘルゼは螺旋階段を登って城守の塔に急ぎ、なかば肌をさらし座して遊びに興じる城守と家令に襲いかかって打ちすえ突き刺したが、一方、コールハースは、ユンカーのヴェンツェルのところへと居城の中を突き進んだ。裁きの天使がかくして天より降る。」(「ミヒャエル?コールハース」より)