戦火の中のオタクたち
- 刊行
- 著者等
- 天川まなる(漫画)、條支ヤーセル(文)、青山弘之(監修)
- 出版社
- 晶文社
内容の紹介
内戦下のシリアで、鬼滅、ONE PIECE、宇崎ちゃんを見る!
長期的な内戦下にあるシリアは、アラブ諸国の日本アニメ放映の翻訳拠点だった。ラブライブ、鬼滅の刃、ONE PIECE、ジョジョ、スラムダンク、宇崎ちゃん……日本で流行っているアニメは、シリアのオタクの間でも流行っている! しかもほぼリアルタイム! 日常的に起きる銃撃戦、経済制裁による物資不足などにも負けず、内戦下でもたくましく、したたかに活動するシリアのオタクたちのアニメ?マンガ事情を通して、知られざるアラブ世界の一面を伝えるルポマンガ&エッセイ。さらに、複雑な中東の政治情勢についても理解が深まる一冊。オタク魂は海を越える。
著者等のコメント
天川 まなる
2010年3月の内戦前のシリアに旅行した時に、出会った日本語学習者のシリア人が大半が日本アニメがきっかけで日本語を勉強しているのを知ってから、シリア?アラブにおける日本アニメ?漫画事情に興味を持ちました。それから、1年後内戦が始まり、内戦という大変な中、アニメなんて見ている場合ではなく、もう日本への興味もなくなったのかなと思っていました。
そんな中、実は内戦の影響で、日本アニメ?漫画が好きなオタク達が急増しているという話を聞きその実情を知りたくてたくさんの方々にインタビュー協力してもらいました。
アニメや、漫画は、その作られた地域の文化、価値観の影響がとても大きいです。日本で作られたアニメ?漫画を見た彼らからのインタビューでシリアの文化の違いや、共通する価値観なども知ることができます。
内戦下での大変な生活等を、一般人目線で語ってもらうことにより、内戦の中で生きるということをリアルに知れる一冊ではないかと思います。
インタビューを重ねる中、初めはシリアのことが知りたいと思っていろいろインタビューしていたのですが、彼から、逆に日本アニメ?漫画の秘めたる力を教えてもらいました。
TVで内戦の悲惨な映像もとても大切ですが、内戦?戦争等が全く身近にない私達からみると、どうしても、同じ時代?時を生きているように思えないと思います。同じタイミングで同じ日本アニメや漫画を見ているオタクを通して、同じ時を生きている
人たちだと実感できるのではないかと思っています。
そして、この本をきっかけに、シリアに興味を持つきっかけになれば幸いです。
青山 弘之(大学院総合国際学研究院/教授)
日本のサブカルチャーの王道である漫画の制作のお手伝いをさせていただきました。劇中にも登場いたします。実際の私よりもカッコよく描いて頂けて大いに満足しております。シリアというと、テロ、紛争、難民といったネガティブなイメージが先行しがちですが、シリア、そしてそこで暮らす人々の素敵な一面を知ることができる良書に仕上がっておりますので、是非お手に取って頂ければ幸いです。