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「アルド?パラッツェスキ 笑い(と肚)の詩学」 石田 聖子
"Aldo Palazzeschi. La poetica del ridere (e della 'pancina')" ISHIDA Satoko
和文要旨
当発表では、アルド?パラッツェスキによる未来派宣言「反苦悩」にて称揚される笑いの属性を身体との連関において特定し、小説『ペレラの法典』読解へ向けた一視角とすることを目的とする。
笑いを?実践知?と呼んだパラッツェスキによる笑いを謳う宣言「反苦悩」は、強い身体的喚起力をもつ表現の豊富さで際立つ。一方、身体痙攣を伴い現象する笑いもまた、本来的に身体と密接に関連する。「腹を縒る」等、笑いをめぐる種々の表現からは、笑いとの関連で身体(特に腹部)に大いに揺さぶりが掛けられる様が確認できる。また、日本語の「はら」には身体部位としての「腹」に加え、心的重心を指し示す「肚」の意も重なり存在し、それが乖離する二項を“繋ぐ”一種の知性として機能しうる可能性を示唆する。
「反苦悩」でも、腹部は笑いとの関連で強調される。ひとが笑うとき、腹部は、歓喜に「波打ち」、「溶け出す」。笑いに連動する変幻自在の腹部は、笑いに内在する二元性(快楽/苦悩)を統合し、人間と神的なものを“繋ぐ”装置として、また、同宣言冒頭で喝破される人間的限界を突破する契機として示されるのである。
正真正銘の煙の男ペレラを主人公とする小説『ペレラの法典』をめぐっては、これまで、その寓意性の高さに注目する解釈が様々に試みられてきた。しかし、「反苦悩」分析から得られる知見は、この小説に、とりわけペレラの身体に、より現実的なレベルで対峙するよう求めるものに思われる。
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