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1. 目的

  本プログラムは、大学院地域文化研究科博士前期課程2専攻(言語文化専攻、地域?国際専攻)および博士後期課程地域文化専攻が、各々の特性?人的資源?カリキュラムを活かしながら、高度な言語運用能力を備えた地域研究者を養成するためにおこなう教育プログラムです。

2. 内容

2.1 博士前期課程では

  1. 地域研究に必須の高度な専門的知識と幅広い知見を身につけるために、「アーカイブズ研究」、「歴史文化論」「政治経済論」「文学?文化研究」、および「グローバルスタディーズ」等の科目群をさらに充実させます。
  2. 各々の研究分野を学際的な視野から探求する能力を身につけるために、「言語文化研究基礎論」「言語文化研究方法論」「地域?国際研究基礎論」「地域?国際研究方法論」等の共通的な科目の拡充をはかります。
  3. 国際学会?ワークショップでのプレゼンテーションや論文執筆に必要となる高度な運用能力を培うために、世界の諸言語の「学術表現演習」科目の一層の充実をはかります。また、博士後期課程の学生とも協力して実施する市民向け語学授業(サマースクール)を通じて、実践面での言語運用能力の向上をはかります。

2.2 博士後期課程では

  1. 教員3名からなる集団的な指導体制を取り、研究の進展状況を確認しつつ、学位論文作成?学位取得に向けた継続的指導をおこないます。
  2. 現地での史資料収集?実地調査を促すための「地域研究臨地教育」を充実させ、国内外各地における学術調査旅行を支援します。また学生の自立的研究能力を養うために、新たに「地域研究自立研究」を開設します。
  3. 多様な領域の研究者を招き、直接議論を交わすことにより、学生の学際的かつ専門的知識を深めるために、2007(平成19)年度から新たに開設した「多分野交流研究」の一層の充実をはかります。
  4. 学生の学際的?専門的知識、専門的探求能力、言語運用能力を総合的に高め、実践的に応用するために、国際ワークショップ、セミナーを企画?実施します。海外の協定大学などから優れた研究者を招聘し、少人数のセミナーを実施します。

  このようにして、学生個々の専門分野?研究テーマに関する知識?技能を向上させるだけでなく、周辺分野の基礎的素養を身に付け、学際的な研究テーマに対して自らの専門的知識を活用する専門的探求能力を培います。本プログラムによって育成される、高度な言語運用能力に基づき、問題を学際的かつ専門的な視野から自立的に追究しうる国際水準の地域研究者は、グローバル化の進む地球社会時代にあって、現代の日本および国際社会に、強く求められている人材であるといえます。

3. 運営体制

3.1 取組実施担当者

 名前  担当 / 専門
 和田 忠彦  代表者
 イタリア近現代文学/文化芸術論
 成田 節  教育事業統括?言語運用能力開発担当
 ドイツ語学
 相馬 保夫  臨地教育担当
 ドイツ?ヨーロッパ近現代史
 中野 敏男  国際ワークショップ?セミナー担当
 社会思想史
 村尾 誠一  多分野交流研究担当
 日本古典文学
 粟屋 利江  自立研究担当
 南アジア近代史
 千葉 敏之  学生学術調査支援担当
 ドイツ中世史

3.2 本プログラムの円滑な実施と管理のために

  1. 取組実施担当者との緊密な連携のもとに、プログラム?オーガナイザーがプログラム全体の管理?企画と円滑な運営を支援します。
  2. 任期付きの助教を雇用し、「学術表現演習」(特に英語)を充実させます。
  3. 大学院学生をTAまたはRAとして雇用するための枠を拡大し、教育能力および研究遂行能力を育成し、同時に経済的支援をはかります。

4. 取組計画

4.1 取り組みの特徴

  高度な言語運用能力を有する地域研究者の養成は、本研究科がめざす人材養成の柱をなすものです。こうした人材を養成するために、カリキュラム、教員組織、成績評価、修学支援、自己点検の改善をはかり教育実質化をはかるというのが本取り組みです。

4.2 年度別計画

(1) 平成19年度

  1. カリキュラム策定?整備

  • 博士前期課程「言語文化研究基礎論」「言語文化研究方法論」「地域?国際研究基礎論」「地域?国際研究方法論」、および「グローバルスタディーズ」「アーカイブズ研究」の整備?拡充
  • 平成19年4月に博士後期課程に開設した科目「多分野交流研究」の整備

  2. 教育研究体制の拡充?FD?成績評価基準

  • プログラム?オーガナイザーの雇用、FD委員会による教員研修会の実施(年3回)
  • 現行の成績評価基準の見直し

  3. 学生支援?他大学/社会人学生への対応/キャリアパス

  • 大学院学生のTA?RA雇用枠の拡充、市民向け語学授業(サマースクール)の実施
  • 博士後期課程学生を学術調査のために内外各地に派遣し、自立的研究、現地での資料収集?実地調査を促進

  4. 自己点検?外部評価?情報提供体制

  • 自己点検?アンケートの実施と取りまとめ、本教育プログラムの取り組み、自己点検の結果をホームページ上に公開

(2) 平成20年度

  1. カリキュラム策定?整備

  • 博士前期課程「歴史文化論」「政治経済論」「文学?文化研究」の拡充
  • 世界の諸言語の「学術表現演習」科目の拡充
  • 博士後期課程「地域研究自立研究」、博士前期課程「自立研究方法論」の新設
  • 海外の協定大学などからの研究者招聘と国際ワークショップ?少人数制セミナーの実施

  2. 教育研究体制の拡充?FD?成績評価基準

  • 英語学術表現演習担当任期付き助教の雇用、各種企画を担当?支援する非常勤研究員の雇用、FD委員会による教員研修会の実施(年3回)

  3. 学生支援?他大学/社会人学生への対応/キャリアパス

  • TA?RA雇用枠の拡充、サマースクールの活用
  • 博士後期課程「地域研究臨地教育」「地域研究自立研究」を活用し、学生に経済的支援をおこない、自立的研究、現地での資料収集?実地調査を促進

  4. 自己点検?外部評価?情報提供体制

  • 自己点検?アンケートの実施と取りまとめ、前年度結果の教育現場へのフィードバック、本教育プログラムの取り組み、自己点検の結果をホームページ上に公開

(3) 平成21年度

  1. カリキュラム策定?整備

  • 地球社会先端教育研究センターが管理運営する海外のリエゾン?オフィスへの学生派遣
  • 過去2年間において拡充?新設された科目群の査定とカリキュラム全体の最終的調整

  2. 教育研究体制の拡充?FD?成績評価基準

  • 過去2年間において拡充された教育体制の査定と最終的調整
  • FD委員会による教員研修会の実施(年3回)と本研究科におけるFD活動の査定と最終的調整
  • 本研究科成績評価基準(修士?博士学位)の最終的な確定

  3. 学生支援?他大学/社会人学生への対応/キャリアパス

  • TA?RAの雇用枠を維持しつつ、研究科における学生支援、多様な学生間の交流、学生のキャリアパス開発の取り組みについての査定と最終的調整
  • 博士後期課程「地域研究臨地教育」「地域研究自立研究」を活用し、学生に経済的支援をおこない、自立的研究、現地での資料収集?実地調査を促進

  4. 自己点検?外部評価?情報提供体制

  • 大学院地域文化研究科自己点検?評価委員会を中心とする自己点検?アンケートの実施と取りまとめ、および前年度結果の教育現場へのフィードバック、自己点検体制の査定と最終的な調整
  • 本研究科における自己点検?外部評価?情報提供体制についての査定と最終的調整

5. 期待される成果およびプログラム終了後の展開

5.1 期待される成果

  日本における大学院改革は、国際的に魅力ある大学院教育の実質化へ向けた努力を、ここ数年来、継続しています。そのなかで本研究科は、世界の諸地域の言語と文化、歴史に関する深い専門的知識と全地球的な視野に基づく広い教養と鋭敏な洞察力を備え、多様で高度な言語運用能力と専門的探求能力を持って、研究?教育の分野あるいは広く実社会において創造的な活動を続けていける人材の育成という明確な目的のもとに、自主的な教育改革を進めてきた実績があります。

  本研究科は、本教育プログラムを通じて、従来の一連の大学院改革の成果を整理?統合し、本研究科が掲げる人材養成目的と完全に連動する体系的な教育体制(カリキュラム編成?教員組織?点検評価体制等)を構築することを目指しています。

  多言語?多文化社会の出現、知識基盤社会への移行という、地球社会の趨勢のなかで、高度な言語運用能力をもち、多言語?多文化の国際社会に対する深い理解をもった地域研究者の養成は急務であるとともに、わが国が今後、地球社会に貢献していくための必須条件であるといえます。以上の点から、本教育プログラムがわが国の課題である大学院教育の実質化に与える影響は、たいへん大きいものと期待できます。

5.2 プログラム終了後の展開

  本教育プログラムは本学全体、および本研究科の人材養成目的に適ったものであり、高度な言語運用能力を有する地域研究者は、多言語多文化社会における平和的共存?共生に貢献する言語教育学研究者、平和構築?紛争予防に資する高度職業人、即戦力通訳者等とならび、本研究科が養成をめざす人材の柱をなします。と同時に、これら人材は、わが国におけるのみならず、世界中の現場で、互いに連携をとりながら、協力して問題の解決や研究の深化に貢献しうる人材です。

  ゆえに、支援期間終了後も、本教育プログラムにおいて達成したカリキュラム編成、教材開発、教員組織、情報公開体制、学生のキャリアパス形成、海外大学との連携等を、全学的な支援体制のもとに維持?発展させ、大学院の教育体制として実質化していく努力を継続します。

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