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「朝鮮総督府博物館の「文化財」展示に関する実地調査」 全東園
研 究
現在、韓国には数多くの博物館が存在する。そのなかで、東京国立博物館のように韓国の中央博物館の役割を果たしているのは国立中央博物館である。現在の国立中央博物館の歴史は、日本が朝鮮を去った後の1945年12月3日からはじまったとされているが、実際、その歴史は植民地期以前の大韓帝国期にまでさかのぼる。日本と同じく韓国の博物館も近代という大きな時代の始まりに生まれたのである。
日本の博物館の歴史は、明治のはじめ、西欧の万国博覧会を契機に始まったとされている。しかし、日本とは違って韓国の博物館は、日本の大陸への勢力拡張とともに、帝国日本によって作り上げられたのである。それで、国家と国民のアイデンティティーの形成に重要な役割を果てしている博物館と、そこに展示される文化財は朝鮮人にとって無縁のものになってしまった。近代国民国家形成期における国の歴史の「物語」づくりを他者にゆだねるところに朝鮮の悲劇があったのである。まさに、韓国における博物館と文化財の誕生は帝国主義と植民地主義の交錯した副産物ともいえるだろう。
詳しくは学術調査報告書(PDF)をご覧ください。
報告者
- 名前: 全東園
- 研究テーマ: 朝鮮総督府博物館の「文化財」展示に関する実地調査
- 渡航先: 韓国
- 旅行期間: 平成20年3月4日~3月24日(21日間)
- 調査旅行の概要: 植民地期に形成された朝鮮総督府博物館に関する資料と文献を、国会図書館と国家記録院を訪ねてコピーするとともに、ソウルでは国立中央博物館、慶州では国立慶州博物館を訪問し、植民地期に行われた「文化財」調査の背景を実地調査した。さらに慶州では文献で記されている古跡調査地を踏査し写真に収めるなど、充実したフィールドワークを行った。
- 学術調査報告書(PDF)