「内モンゴルにおける「四清運動」の実態に関する歴史的研究」 仁欽
研 究
中国では、1963~66年にかけていわゆる「四清運動」という、政治、経済、思想、組織の歪みを正す社会主義教育運動がおこなわれた。これは、のちの中国共産党の「極左」路線の頂点である「文化大革命」の前史となる運動である。「文化大革命」において、民族地域である内モンゴルでの被害が中国全土のなかでもっとも深刻であったことはよく知られている。したがって、内モンゴルにおける「四清運動」を見ていくことは、きわめて重要な意義を持つのである。
「四清運動」に関しては、一般の漢人地域を対象にさまざまな研究がすすめられてきた。しかし、少数民族地域である内モンゴルにおける「四清運動」についての先行研究はほとんど見あたらず、本研究が本格的な最初のものとなる。また、本研究は筆者が執筆中の博士論文の一章になる予定である。博士論文は、これまでに入手した文献資料を整理、分析しながら書きすすめてきたが、その過程で、関係資料をさらに収集することが必要であることが判明した。しかし、それらは日本国内では入手することができず、収集のためには現地に行かなければならない。
本調査の目的は、関係資料が所蔵されている内モンゴル各地域の文書館、図書館などの機関において調査をおこない、文献資料を収集することである。さらに、生存している「四清運動」の関係者、経験者、被害者およびその家族に対するインタビュー調査をおこない、証言をまとめる。そのほか、民間に保存されている文献資料についても調査、収集をおこなう。
詳しくは学術調査報告書(PDF)をご覧ください。
報告者
- 名前: 仁欽
- 研究テーマ: 内モンゴルにおける「四清運動」の実態に関する歴史的研究
- 渡航先: 内モンゴル
- 旅行期間: 平成20年3月1日~3月16日(16日間)
- 調査旅行の概要: 今回の調査は、フフホト市、オラーンホト市でおこなった。具体的には、 ①フフホトの古本屋、内蒙古大学図書館、内蒙古図書館において、「四清運動」当時の出版物を調べて、購入あるいは複写した。②関係者、経験者、被害者に対するインタビューをおこなった。③興安盟文書館において、当該地域で促進された「四清運動」の詳細なプロセス、内容についての調査を行った。
- 学術調査報告書(PDF)