【学部?大学院】2025年度言語研修(トク?ピシン、スワヒリ語マクンドゥチ方言、ノス?イ語)履修ガイダンスを開催します

2025.03.14

アジア?アフリカ言語文化研究所が開催する言語研修の履修希望者(本学学生?単位互換対象の学生)を対象に以下のとおりガイダンスを実施します。

履修にあたっては、ガイダンス参加が必須条件となっていますので、履修希望者は必ずガイダンスに参加してください。不参加の場合、言語研修の履修は出来ません。履修ガイダンスはどちらか1回のみの参加で結構です。履修ガイダンスの詳細はこちらをご確認ください。尚、履修ガイダンスの出席後は受講申込書および受講動機の提出が必要となります。指定のフォーマットで作成のうえ、4月9日(水)17時までに研究協力課共同研究拠点係 (ilcaa-ilc@tufs.ac.jp )までご提出ください。

日時

第1回 2025年3月24 日(月)11時50分~12時20分頃
第2回 2025年4月4日(金) 11時50分~12時20分頃

場所:アジア?アフリカ言語文化研究所3階304(マルチメディア会議室)
   および Zoomによるオンライン開催

ガイダンスの申込み方法: 第1回ガイダンス参加希望者は3月21日(金)17時まで、第2回ガイダンスの参加希望者は4月4日(金)11時までに、AA研事務室(ilcaa-ilc@tufs.ac.jp)まで参加希望の旨と希望の参加形式(対面又はオンライン)、名前、学部、学籍番号、単位互換での受講を予定している場合は大学名をご連絡ください。

※ 件名は【2025年言語研修ガイダンス申込み】でお願いいたします。万が一、2日を経過しても返信が無い場合はお手数ですが、再度ご連絡ください。

※ 学部生は2年次から受講対象となります。博士後期課程の学生は、履修登録はできませんがガイダンスにはご参加いただけます。

言語研修とは…?

言語研修はアジア?アフリカ言語文化研究所(略称AA研)の研究者養成事業の一環として実施する、アジア?アフリカ地域での現地調査?研究や専門的業務に役立つ現地語の習得を目的とした研修です。

言語研修では主にアジア?アフリカ地域で話される言語を対象としており、通用範囲の広いメジャーな言語ばかりでなく、現地に行かなければ学ぶことのできないようなマイナーな言語も取り上げています。昨年実施したツォンガ語(ニジェール?コンゴ語族バントゥ系;南アフリカ)、トラパネク語(オトマンゲ系;メキシコ)は、このような集中的な言語研修の機会としては、世界的に見てもきわめて稀な試みでした。

また、開講する研修によっては対象言語が話される現地での言語調査の手法(フィールド?メソッド)を身につけることができるほか、語彙集など記述資料をもとにした言語資源の作成方法を学ぶこともできます。

学部在学生、大学院生のみならず、(必要な条件を満たす)一般社会人の方にも開かれた研修です。ご関心のみなさまのご応募をお待ちしております。

なお、今年度の開催予定科目および開催地は以下のとおりです。

各言語に関する詳細は募集要項をご参照ください。

※本学学生および単位互換生の受講料は無料です。※応募URLおよびWebサイトは準備中となります。

※単位互換を希望する他大学の学生は所属大学での単位互換手続きとガイダンス参加の両方が必要となります。

トク?ピシン

初心者向け / 東京会場 / 日本語での授業

世界でもほとんど唯一無二の水準の超多民族国家であるパプア?ニューギニアにおいて、トク?ピシンは最も多くの人々が使用する共通語です。トク?ピシン言語共同体の特徴は、何といっても、母語話者を中心とする社会ではないところにあります。英語を語彙供給源とする言語ですから、ある意味ではパプア?ニューギニアにとって外来の言語でもありますが、英語とは別の規範(norm)を持つに至った点でも、話者の意識の点でもパプア?ニューギニア独自の言語です。

トク?ピシンは多くの人に通じるだけではありません。ちょっと格式ばったり教養人ぶったりするには英語がいいのですが、それとは対照的に、パプア?ニューギニアの多くの人と親しく交流するのに好適な言語です。また、ソロモン諸島のソロモン?ピジン、バヌアツのビスラマなど兄弟格の言語とは、一定の相互理解が可能で、民際的であるのみならず、国際的な言語でもあります。

一般言語学、社会言語学の教科書ではトク?ピシンがピジン?クレオールの代表格として取り上げられることも多くありますが、一次資料を持つ研究者や話者からの情報発信が反映されないことも多くあります。名の知られた未知の言語といっても、当たらずとも遠からずです。

研修の対象者について

パプア?ニューギニア及び周辺地域の地域研究、言語学(なかでも社会言語学、ピジン?クレオール研究、言語接触研究)に興味のあるすべての学部生?大学院生?研究者が対象です。また、研修は現地調査における言語記述の手法(フィールド?メソッド)も含むので、研究対象言語に関わらず言語の記述的研究を目指すすべての学生がこの研修の対象に含まれます。

研修内容について

トク?ピシンは一見「崩れた英語」にも見えますが、どのように崩しても良いのではありません。本研修では正しいトク?ピシン、できることなら恰好いいトク?ピシンの習得を目指します。発音、語彙、文法にわたり基礎を固め、分からない言葉を聞き返したり、意思をはっきり表現したりする練習を通して、環境に飛び込んで独力で道を切り拓く能力を身につけます。

テキストについて

これまでの先行研究及び講師らの共同研究に基づいて作成したテキストを使用します。

研修期間および研修時間について

2025年8月29日(金)~2025年9月19日(金) 75時間(文化講演含む)
午前10時00分 ~ 午後4時30分 (土?日?祝は休講)

スワヒリ語マクンドゥチ方言

初心者向け / 東京会場 / 日本語での授業

スワヒリ語はバントゥ系言語(ニジェール?コンゴ語族)の一つで、東アフリカの地域共通語として使われていることがよく知られていますが、そのなかには多様なバリエーションが内包されています。例えば、東アフリカの沿岸部や島嶼部には、20前後のスワヒリ語の方言が分布していると言われており、マクンドゥチ方言(自称カエ方言)も、そうした方言の一つとなります。

マクンドゥチ方言は、ザンジバル(タンザニア連合共和国)、ウングジャ島南東部に位置するマクンドゥチ郡(人口約13,000人)で主に話されており、近隣のほかの方言と似た特徴をもっています。その一方で、ウングジャ島都市部の方言や、それをベースに策定された標準スワヒリ語とは、語彙や音韻、文法面で顕著に異なり、言語特徴だけに着目すれば、別の言語とみなすこともできます。

また、マクンドゥチ方言をはじめとする東アフリカ沿岸部のスワヒリ語諸方言は、その祖先が9世紀の時点ですでに現在のソマリア南部からモザンビーク北部にあたる地域に分布していたと考えられており、19世紀以降の交易網の拡大やヨーロッパ人による植民地支配のなかで発達した東アフリカ内陸部の諸変種とは異なる歴史的背景をもっているという点も、特筆すべきでしょう。

研修の対象者について

本研修を受講するために必要な条件?知識は特にありません。ただ、スワヒリ語についてすでになんらかの知識を有していると(方言やレベルは問わず)、授業の内容をより深く理解して楽しめるかもしれません。また、東アフリカ沿岸地域の「スワヒリ世界」に対して関心をもつ方の受講も歓迎します。

研修内容について

基本的な文法事項や語彙を習得して、基本的な会話(挨拶など)ができるようになることを目指します。また、その知識を活用して、口承の民話など語りのテキストの読解も行います。

テキストについて

担当講師作成のテキストを使用します。

研修期間および研修時間について

2025年8月25日(月)~2025年9月12日(金) 75時間(文化講演含む)
午前10時00分 ~ 午後4時30分 (土?日?祝は休講)

ノス?イ語

初心者向け / 大阪会場 / 日本語での授業

ノス?イ語は中国四川省涼山イ族自治州で話されるチベット?ビルマ諸語ロロ?ビルマ語派ロロ語支に属する言語です。イ族(彝族)という少数民族によって話される言語で、数多くあるイ語の方言のうち、ノス?イ語は最も大きな変種で、約300万人強の話者人口を誇ります。

イ族は中国の少数民族の中でも数少ない独自の文字と宗教文化をもち、古来より歴史書に度々現れる民族で、20世紀まで階層性を持つ社会を有していました。四川省のみならず、貴州省、雲南省、広西チワン族自治区にも分布し、またベトナムやラオスの北部にもわずかながら居住しています。ただ、現在の各地域のイ語の変種は互いに理解できないほど変化しています。

ノス?イ語は日本語と同じSOV[主語-目的語-動詞]の語順をもち、文法面では日本語とよく似た特徴も多数見られます。ただ、発音はかなり異なり、喉を締めて発音する母音や鼻音と他の子音を繋げるような発音もあります。また音の高さで意味を違える声調もあります。これについては発音練習や聞き取り練習が必要な部分です。

独自の文字?イ文字が存在し、宗教文献を記載するために豊富な文字が用意されていましたが、現在の涼山州では「規範彝文」という標準的な文字体系があり、各種刊行物に利用されています。今回の言語研修では参考程度に扱う予定です。

研修の対象者について

大学?大学院等で言語学や外国語を学んだことがある人/学んでいる人、アジアの言語に関心のある一般の方

研修内容について

[1] ノス?イ語の語彙を正しく発音し、基本的な文法の理解と基礎的な会話ができるようになります。
[2] ノス?イ語と関連するチベット?ビルマ諸語との関係性や中国西南部の諸言語の問題を理解します。
[3] ノス?イ語を話すイ族の文化や背景的な知識を理解します。

テキストについて

オリジナルテキストを配布します。

研修期間および研修時間について

2025年8月18日(月)~2025年9月5日(金) 75時間(文化講演含む)
午前9時00分 ~ 午後3時40分 (土?日?祝は休講)

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