2018年度 活動日誌
3月 活動日誌
2019年3月
GJOサラマンカコーディネーター 小澤 咲
今月は、アーモンドだけでなく、様々な花も咲き始め、ますます春らしさを増しました。そんな今月中旬には、学生たちが主体となって行う、「日本週間」が、開催されました。
「日本週間」は、1週間をかけてプログラムを組み、様々な催しを行うもので、学生が積極的に参加することが求められます。今年は、ポスターを4年生の学生が作成したり、また大学院生が自分の興味のあることについて発表したり、日本留学経験のある学生が、留学経験について話すなど、それぞれができるところでできる参加をしました。
大学院生は、「妖怪」について発表し、授業の合間ということもあって、大勢の学生が集まりました。GJOは、日本週間の重要なコンセプトのひとつである「学生主体」を崩さないよう、周囲からのサポートに終始する形となりましたが、学生たちの自主性を以て行われたイベントを誇らしく思います。
今学期は、卒業を前に、卒業後についての進路相談を中心に、業務を行いました。ほぼ毎週マンツーマンで、1人につき、1~2時間程度行っています。留学を希望する学生にも、様々な事情があるため、それぞれの状況に合わせて、相談に対応するために、資料集め及び整理も行っています。
学部に入学して最初のうちは、「スペインでの仕事は少ないし、卒業したら日本の企業に就職したい」と息巻いていた学生たちも多かったのですが、学年が上がるにつれ、日本語の難しさにも直面し、そして周囲の日本人留学生や日本留学経験者から、徐々に日本の厳しい労働市場の現実についても聞かされてきたようで、現在は、卒業後にすぐに日本に行きたいという学生はおおむね留学を考えるようになってきたようです。
しかしながら、最終的には日本での就職を視野に入れている学生の場合、不用意に大学院に進学してしまうと、逆に就職に不利になるという可能性があるため、こうした独特な日本市場の現状も踏まえて、慎重に指導を行うようにしています。
2月 活動日誌
2019年2月
GJOサラマンカコーディネーター 小澤 咲
学期が始まって、ひと月が経ちました。日本の大学に半年留学に行っていた学生も、徐々に帰国してきました。日本での生活がすっかり板についたような様子の学生によって、クラスの雰囲気にも刺激を与えてくれているようです。
こうした学生たちの帰国に加えて、こちらでもアーモンドの花が、日本の桜を思わせる姿で徐々に芽吹き、そこはかとない日本らしさを感じさせるとともに、春の訪れを告げてくれているようです。
そんな今月頭には、スペイン日本語教師会総会、研修会がマドリードにて行われました。いつもどおり、今回もサラマンカから参加させていただき、教師間で情報交換を行い、授業での実践に活かせる学びを得ることができました。
また今月になると、来る日本週間の準備のため、研究室を訪れる学生も増えてきました。今年度は、1年生から4年生までが揃う、初めての日本週間であるということもあって、とくに新入生を中心にやる気のある学生が見受けられます。教員同士で協力して、こうした学生を支えていけることをうれしく感じます。
今学期は、卒業を前に、卒業後についての進路相談を中心に、業務を行いました。学部に入学して最初のうちは、「スペインでの仕事は少ないし、卒業したら日本の企業に就職したい」と息巻いていた学生たちも多かったのですが、学年が上がるにつれ、日本語の難しさにも直面し、そして周囲の日本人留学生や日本留学経験者から、徐々に日本の厳しい労働市場の現実についても聞かされてきたようで、現在は、卒業後にすぐに日本に行きたいという学生はおおむね留学を考えるようになってきたようです。
しかしながら、最終的には日本での就職を視野に入れている学生の場合、不用意に大学院に進学してしまうと、逆に就職に不利になるという可能性があるため、こうした独特な日本市場の現状も踏まえて、慎重に指導を行うようにしています。
トルメス川沿いに咲いている、アーモンドの花
1月 活動日誌
2019年1月
GJOサラマンカコーディネーター 小澤 咲
あけましておめでとうございます。?Feliz a?o nuevo!
サラマンカも、新年を迎え、試験期間となりました。今年も、たくさんの科目の試験が行われました。いつもは学生たちが夜まで楽しく過ごす声が響くサラマンカですが、試験期間ばかりは、街が静まりかえっています。学生たちは、冬休みに勉強したことを試験で存分に発揮できたものと、願っています。
サラマンカ大学では、前期は9月から12月末まで、そして1月に試験となっていますが、後期は2月頭からとなっています。そのため、学期と学期の間の休みのようなものはありません。学生たちは、試験が終わって成績が出るとともに、すぐに後期の授業開始となります。息つく間もなく新しい学期が始まりますが、学生たちのペースも守ってあげながら、しっかりとリズムを整えて、学期を軌道に乗せたいと思います。
後期の授業は、5月中旬まで。3か月半の学期が、また始まります。
今月は、試験期間とあって、試験関係の業務を多く行いました。スペイン人学生は、やはり漢字が苦手である人が多く、文法等に比べて、漢字に苦労する答案が多く見受けられました。漢字の指導についても様々なアプローチが研究されていますが、とりわけ、スペイン語話者に対する初歩の漢字の手引きが存在しない現状で、現場では試行錯誤の教育が続けられています。
こうした現状を受けスペイン日本語教師会でも、そうした議題に取り組んでいるそうで、これからは、情報交換をしながら、学生を支えていきたいと考えています。
12月 活動日誌
2018年12月
GJOコーディネーター 小澤 咲
12月になり、今年も学期最後の月となりました。街は、今年もクリスマスムードに包まれています。
今月は、イベントが盛りだくさんの先月とは異なり、学期最後の一か月とあって、学業に専念する月となりました。また、学期の最後には、日本専攻だけでなく、日本語を副専攻として勉強している学生も対象に、スペイン人にとって不思議だと思うものをチョイスして、動画鑑賞とディスカッションの時間を設けました。
学生たちは、昨年同様、期末試験を意識して学業の追い込みに入ります。科目によっては、口頭試験を12月中に行うこともあります。私の科目でも学生たちは緊張した面持ちで試験を受けましたが、そのドキドキ感といったら、教師にまでも伝わってくるようです。サラマンカ大学では、9月から12月のクリスマス休暇が始まるまでの3か月間で前期の授業を行い、明くる年1月いっぱいかけて、試験を行います。そのため、学生たちはクリスマス休暇、休むこともままならず、本格的に試験勉強に没頭することになります。
とくに今年は、文献学部東アジア専攻は初めての4年生を育てあげなければならない年とあって、教師にも一層熱が入ります。文献学部とあって、読解能力を伸ばすことに注力したクラスとなっていますが、読解ばかりでなく、そのために必要な文法や、漢字の厳しい試験も当然課されます。スペイン人の学生たちにとって漢字の壁はとても高いものです。限られた授業時間だけではカバーしきれない細かい指導は宿題等で積極的に補ってきましたが、試験では努力点ではなく、客観的な実力が測られます。期末試験は、そうした壁に苦しむ学生たちには厳しい試練となります。とくに4年生にとっては、夏に追試があるとはいえ科目を落とすと今年の卒業が危ぶまれるため、合格は切実なものですが、試験を甘くすることはできません。
もっとも、学生たちは、試験のために日本語を勉強しているわけではありません。4年生は卒業後、日本語を使ってどのような進路を歩みたいか、日本語がどのように必要なのか、 日本語をどうして勉強しはじめたのか……。初心を思い出し、日本語学習という学生本人のプロジェクトの集大成として、試験期間に臨めるよう、どうかこの休みに頑張りとおしてほしいと願っています。
11月 活動日誌
2018年11月
GJOコーディネーター 小澤 咲
11月に入ると、街ではクリスマスのイルミネーションも始まり、早くもクリスマスの雰囲気が街中に漂いはじめています。
今月も、引き続き、美智子さまホールでは岐阜県の展示が続いています。
月初には、マドリードにおいて、スペイン日本語教師会の秋の定例研修会「さくらネットワークプロジェクトから ―スペイン語母語学習者の読解における「壁」の分析―小説「ひとり日和」翻訳時の呟き―」が開かれました。定員いっぱいの教員がスペインじゅうから参加し、今回も、教師としての研修また、他の教師との交流から学生支援につながる、貴重な勉強会となりました。
また、7日には、イタリアからお越しのIrene Starace先生による日本文学セッション“Enchi Fumiko;su vida y su obra”「円地文子、その生涯と作品」が開かれ、たくさんの学生が熱心に聞き入っていました。
9日には、“Espa?a – Japón 150 a?os de conocimiento”と題し、日本とスペインの150年にわたる関係を振り返る講演会が日西文化センターにおいて開催されました。冒頭のホセ?アベル?フローレス所長による日西文化センター紹介においては、東京外国語大学との協力関係についても強調して述べられていました。また、本学のアルフォンソ?ファレロ先生は、“150 a?os de conocimiento del pensamiento japonés en Espa?a”と題し、150年に及ぶスペインにおける日本思想史についてお話され、本学の学生たちも高い関心をもって傾聴していました。この講演会においては、あわせて6つの講演が行われ、1日中を通して多くの参加者の皆さんが話を聞きにいらっしゃり、日本専攻の学生や関係者のみならず、地元の方や他の関係のみなさんも訪れ、活発な講演会となりました。
また16日には、国際交流基金マドリードの篠崎摂子先生をお招きし、学部および日西文化センターにおいて、日本語教師のためのセミナーをしていただきました。先生には、午前から夜まで、学部、日西文化センターそれぞれにおいて必要なことについて、親身にご教授いただきました。教員たちも、切磋琢磨し技術や教授法の向上のため、勉強に励みました。
20日には、“Japón y la UE : ?Socios Estragégicos en seguridad?”「日本とEU:安全保障上の戦略的パートナーとして」と題し、国際交流基金マドリードの共催で、カタルーニャ公開大学のJust Castillo先生による、日本とヨーロッパの関係にまつわる講演も行われました。さまざまな問題点のなかで互いに協力関係を育んできた背景をわかりやすく学生たちに伝えていらっしゃいました。
そして26日には、サラマンカ大学において開催された日西学長会議のために、東京外国語大学の立石博高学長、匂坂克久局長、篠原 琢先生、岩田佳久国際化拠点室員がサラマンカを訪れ、GJO、および日西文化センターを訪問されました。日西文化センターでは、ホセ?アベル?フローレス所長にセンターの案内、センターの図書館においては、東京外国語大学からの蔵書寄贈を記念したプレート、また立石学長が寄贈なさった漫画を棚から見つけるなど、ちょっとした盛り上がりもありました。26日の夜は、ご興味のある先生がたをサラマンカの夜景案内にお連れしました。
27日、28日の学長会議における様子は、立石学長の「マグナカルタ/人文学大憲章」大学のWEBサイトをはじめ、現地メディアでも報道されました。
今月は、たくさんのイベントが催され、盛りだくさんの一か月となりました。日本専攻の学生たちも、各々、興味のある分野を自分で見つけて、副専攻の中国語や韓国語の関係のセミナーにも足を運んでいたようです。
本学文献学部学士課程東アジア専攻においては、主専攻と副専攻の二つの言語を学ぶという特色があります。そのため、語学面のみならず、文化的な面においても、一つの言語や地域だけに限定することなく、これまでと同じように、これからも横断的な学びを通し、多角的な理解を促進させていってほしいと願っています。
10月 活動日誌
2018年10月
GJOコーディネーター 小澤 咲
今年も10月を迎え、最後の週末には、サマータイムが終了しました。町も一気に冷え込み、朝晩は大変寒く、町の皆さんも、がたがた震えながら過ごしています。
今月は、日本留学を目指す学生たちのために、大学国際部の方々をお招きし、ガイダンス、および先輩からの留学等に関するアドバイスを聞く相談会を実施しました。昨年、たくさんの留学生を、日本へ送り出すことができたため、帰国したばかりの先輩留学生たちが、後輩のために一肌脱いで、一生懸命に留学相談に応じてくれました。
全学年が揃った今年からは、縦方向横方向の学生たちのさらなる相互協力?相互学習に期待していましたが、さっそくその一歩を踏み出すことができたと考えています。
留学説明?相談会は、「言語の日」に合わせて、10日水曜日の昼休みに行いました。本学で一番大きな講義室の一つを埋め尽くすほどの学生たちが参加し、日本留学のための知識や、申し込むことのできる大学一覧、締め切り等について熱心に耳を傾け、15分以上にわたる質疑応答で、学生たちは、留学について本気で考えている様子で、一生懸命参加していました。
また、直接先輩の話を聞く相談会の部分については、計7校の紹介を行うことができました。今回の説明会は、GJOが共催となり、国際部からの案内では、概要的な内容を頂戴しましたが、学生からの留学相談については、GJOが主催し、概要説明後に、それぞれの大学のブースを設け、先輩たちに座ってもらい、後輩がブースを回って自由に話を聞けるようにデザインしました。
生活のことや、留学生活のことなど、その大学に行った先輩にしか聞けない内容も多く、学生たちは、先輩の話に熱心に聞き入っていました。
昨年までと同様、これからもたくさんの学生たちが日本留学に挑戦し、未来を切り拓いていけるよう、これからも応援していきたいと思います。
また、29日には、日本スペイン文化センター内美智子さまホールにて、大使をはじめ、国際交流基金マドリードの吉田所長、また岐阜県副知事といった方々が集い、岐阜県の地歌舞伎公演が行なわれました。
その後、同美智子さまホールでは、岐阜県の和紙、そして地歌舞伎の衣装等の展示が続いています。学生たちにもぜひ見に行って、貴重な文化に触れてほしいと思っています。
9月 活動日誌
2018年9月
GJOコーディネーター 小澤 咲
9月を迎え、サラマンカ大学でも新学期が始まりました。今回は、記念すべき800周年目のさなかに始まった新学期であるため、学期初めの月から、記念イベントがどんどん行われています。
18日には、国王陛下がサラマンカに見えるとのことで、朝から街中が大騒ぎでした。警察官が排水溝を持ち上げて内部を検査したり、警察の特別車両が所々に配置されたり、物々しい雰囲気と明るい雰囲気が交錯していました。
当日行われた人文学に関するイベントでは、大学から町の中心部であるマヨール広場まで、博士と世界の学長たちによるパレードが行われました。修道女の方たちも見物するなか、パレードはマヨール広場に到着し、来年のカナダでの開催に向けて、サラマンカ市長をはじめ、学長たちによるスピーチが行われ、800周年祝賀ムードを一層盛り上げました。
また、20日には、先月30日に「国際交流基金賞」を受賞したばかりの日西文化センターにおいて、“The Superlative Artistry of Japan”開会式が行われました。これは、様々な時代にわたる様々な形態の日本のアートを展示する催しで、記者会見を兼ねて開かれた開会式には、サラマンカ大学学長をはじめ、国際交流基金の松嶋運営専門員や、日西文化センター長が出席し、それぞれにスピーチを行いました。開会式には、本学文献学部の学生たちも参加し、スピーチに熱心に耳を傾けたのち、展示物に見入っていました。
今回日西文化センターが受賞した「国際交流基金賞」は1973 年以降、毎年、学術や芸術などのさまざまな文化活動を通じて、日本と海外の相互理解促進に顕著な貢献があり、引き続き活躍が期待される個人または団体に対して授与される賞で、スペイン内での受賞は初めてです。<スペインの日本文化発信の中心地> としての活躍が評価されたことを受け、ますます大学学部との連携を図り、サラマンカにおける日本文化発信を広げていきたいと考えています。
一方、本学文献学部にとっては、学部開設からちょうど4年を迎え、1年生から4年生までの全学年が揃う初めての新学期となりました。今年は初めての卒業生を送り出す年の学年はじめであることを強く認識し、これらの学生の学び舎での最後の一年を、凝縮されて価値のある、もっとも実りのある一年にしてあげたいと邁進しています。
また来月には後進学生たちのために、先輩からの留学等に関するアドバイスを聞く相談会を実施する予定です。全学年が揃った今年からは、縦方向?横方向の学生たちのさらなる相互協力?相互学習に期待しながら、教員たちは精一杯そのための種をまいていきたいと思っています。
6月 活動日誌
2018年6月
GJOコーディネーター 小澤 咲
6月を迎えるとサラマンカも一気に夏めいて、じりじりと焼き付くような日差しが続くようになりました。街にも夏らしい活気が訪れ、夜の9時を過ぎても日が落ちないこの季節は、遅くまでたくさんの人が外を行き交い、季節が変わったとともに、町の変化もとても感じます。また、学部内での展示物や、街中でのイベントも盛んになり、プロジェクションマッピング等の大掛かりなショーも見受けられるようになりました。
サラマンカ大学では、後期の授業期間が2月頭から始まり、5月中旬までの期間となっており、後期末の試験期間は、後期分の一次試験に加え、前期分追試、また後期分追試と、優に一か月を超えるいわば超大型試験期間となる旨を先月の日誌でもお伝えしました。今月は主に追試が行われ、学年の最終的な仕上げを行いました。もう後がない後期追試では、試験内容や、追試後には試験結果に対する問い合わせも殺到し、とても慌ただしい一か月となりました。
6月末までには学生たちの年間を通しての成績も出そろい、いよいよ、学年の締めを迎えることができました。
日本専攻では、昨年と比べ、今学期から漢字をより重視するようになったため、今学期は学生にとって、本当に苦労が多い学期となったように思います。しかしながら、目標をしっかり見据えて日本語に真剣に向きあってきた学生たちにおいては、厳しい条件を提示されながらも、毎回の小テスト、そしてまとめテストにこつこつ努力して臨むことで確実かつ着実につけてきた漢字の実力が、語彙力および日本語の読解を手助けする基本的な体力として着実に培われたように見受けられます。
実力を発揮できた学生も、これからもっと勉強をしなければならない学生たちも、夏休みを迎えます。GJOでも、来年のさらなる支援活動に向けて、教員同士での話し合いも含め、次年度の留学資料の準備等も含め次の学期を見据えていますが、学生たちも、この夏休みに、今学期までの復習もし、文化等の関心も高めることで新しい学期につながるような、実りある休みになることを祈っています。
5月 活動日誌
2018年5月
GJOコーディネーター 小澤 咲
5月を迎え、サラマンカは春と夏を行き来するような、ウインドブレーカーも半袖も手放しがたい天気となっています。例年、4月が梅雨ということですが、今年は5月に入ってからも、雷を伴う大雨が何度も降り、安定しない気候が続いていました。一方で、夏らしさもますます増し、観光客もますます多くなってきたように見受けられます。
街中では、下旬から映画の撮影が行われているようで、道が通行止めになったり、マヨール広場が立ち入り禁止になったりしています。どのような映画なのかはまだわかりませんが、いつか完成してその情報が入るのがとても楽しみです。
今年は、サラマンカ大学創立800周年の年(2018年)でもあるので、サラマンカでの行事も多く行われているようで、マヨール広場内での音楽と光の融合した大掛かりなパフォーマンスといったようなイベントも催され、また映画の撮影も相まって、街中は賑わいを増しているようです。
サラマンカ大学では、年度内で授業が行われる最後の月となりました。実はスペインでは、後期の授業期間が2月頭から始まり、5月中旬までの期間となっています。そのため、学生たちは、5月中旬に授業期間が終了したあと、試験期間を迎えます。
スペインでの試験制度についてお話すると、実は、東京外国語大学を含むほとんどの日本の大学とは異なり、期末試験を受けて不合格となった場合、追試験を受けることができます。またその追試験では、前期?後期分が、まとめて後期末に行われることになっています。そのため、前期分の一次試験のみ行う前期末と比べ、後期末の試験期間は、後期分の一次試験に加え、前期分追試、また後期分追試と、優に一か月を超えるいわば超大型試験期間となります。
そのため、今月は試験に関する様々な問い合わせが殺到し、試験期間前の最後の確認を行いました。日本専攻では、昨年と比べ、今年から漢字をより重視するようになったため、不安を抱く学生も多いようです。そこで、授業期間の終わりに際し、試験範囲、出題形式、点数の配分等から、学生たちの個人的な疑問まで、テストに関する質問を特に念入りに確認し、学生たちが安心して試験に臨めるような体制づくりにも気を配る必要がありました。
試験期間に突入すると、大学の様子は授業期間中とは変わり、学生たちの姿があまり見えなくなります。必死に図書館や家で勉強していることと思いますが、夏休み以降、留学を控えた学生たちは徐々に目に輝きを増し、とても楽しみにしている様子もうかがえます。学生たちは必死に勉強した成果を発揮して、よい締めくくりとしてほしいと思います。
4月 活動日誌
2018年4月
GJOコーディネーター 小澤 咲
4月を迎えるとサラマンカにもすっかり春が訪れ、長かった冬の終わりと感じさせる気候が徐々に増えてきました。春の短いスペインなので、春のあたたかな日差しというよりは、照り付けるような強い夏の日差しが一気にサラマンカの空へ戻ってきたようにも感じられます。
月の下旬になると観光客も増え、道にテーブルを出しただけのテラス席で思い思いに気候を楽しむ人々の姿もどこでも見かけられるようになってきました。本学に面したカテドラル前のアナヤ広場にも、色とりどりの花がさわやかな彩りを添え、温かく人々の笑顔が増えてきたように思います。
時がたつのは本当に早いもので、研究室のカレンダーにふと目をやると、ついに試験期間が始まる月を迎えようとしています。
先月の日本からの高校生訪問の熱も冷めやらぬ中、楽しかった日本語交流、もっと日本語を使いたいという希望を胸に抱きつつ、目の前には授業や試験が迫ってくるというまさに夢と現実の間で、学生たちは、徐々に学期末の追い込みに向けて、また教員たちは学期末に向けた調整に入っています。
最近は、日本語を専攻しているという自負が育ってきたのか、初級授業でも日本語だけで質問をしようとする学生がとても増えてきていて、とても心強く、誇らしく思います。これからも、(試験に向けても!)失敗を恐れず、自分を信じて邁進する学生たちであってもらえるように、さらに学びの場を工夫していきたいと思わされます。
そんな今月は、スペイン日本語教師会(APJE)の定例研修会も開かれました。マドリード?コンプルテンセ大学の鈴木裕子先生を講師に、「CEFR理念から授業実践へ」というテーマで、教員同士でチーム作業をして、実際に教案を考えたり、他のグループの教案の発表を聞くなど、大変刺激ある学びの機会でした。教員同士であっても、互いに教えあい学びあいながら行うことのできるレクチャー&ワークショップ方式の授業では、その内容もさることながらこの形式から授業に生かすことができる、お手本を見せていただいたようにも思います。
一口に「大学生」「スペインの学生」「日本専攻の学生」等とは言っても、同じ大学内、同じ世代、そして同じ言語を話す学生どうしであっても、個人個人なのはもちろん、学年、クラスごとにまったく異なる新しい学生グループであることを日々実感しています。そのため、あらゆる新しい教育の方法に挑戦していくことは、学びの多様化、活性化の面からみても大変有益で、有意義なものと思います。
今回テーマとなったCEFRというのは、語学を学び、教える際の指針として非常に有名ではありながら、実際の授業のなかでそれをどういかしていいのか、多くの教員が頭を抱えるものだと思います。今回の研修のように、新しい視点、そして新しい方法をフットワーク軽く前向きに試せる、先輩教員たちと勉強できる機会を定期的に与えられ、大変ありがたく思っています。
本学の東アジア学士課程ができて、早3年を迎えようとする今、再び起点に戻って、常に新しく革新していく教育を目指していきたいと思います。