山形スタディツアーで日英通訳?翻訳実践プログラムの大学院生が同時通訳を実践
2021.10.25
2021年度夏学期に集中講義としてオンラインで開講された世界教養プログラム「地域社会の持続性について考える」(通称:山形スタディツアー)において、大学院総合国際学研究科の日英通訳?翻訳実践プログラムの通訳実習が行われました。山形スタディツアーのうち、2021年9月16日、17日、27日の3日間に行われた山形県の地理?文化?歴史?産業?コロナ禍での状況に関する講演や地域の方々との交流プログラムの際に、参加している留学生向けに、日英通訳?翻訳実践プログラムの大学院生4人が通訳を務めました。
通訳実習に参加した大学院生の中から、博士前期課程2年の春田僚子さんと高月環綺さんのレポートを紹介します。
春田僚子さん(大学院総合国際学研究科博士前期課程2年)
オンラインでの開催ということで、対面での通訳とは異なる難しさを強く実感しました。Zoomでの通訳機能がうまく使えなかったり、いったん同時通訳を始めるとZoom上では互いの声を聞くことができなかったりと、特に初日にはオンラインならではの制限や課題が数多く見えました。また、通訳者自身もあまり知識のない内容について集中講義の通訳を行うため、下調べにも非常に多くの時間をかけなければなりませんでした。専門用語の訳はもちろんのこと、資料の入手方法やスケジュールの変更についても常に自治体の担当者の方と連絡を取る必要がありました。対面で打ち合わせを行えないぶん、メールやメッセージでの小まめな連携が欠かせないことに気づきました。
しかし一方で、オンラインならではの利点ややりやすさもありました。たとえばZoomが使えない際にはLINE通話で同時通訳を提供する、通訳者どうしがビデオ通話を繋いでカメラに向かって交代の合図をするなど、聞き手のためにいかに通訳を途切れさせないか?ということを考えながら臨機応変に対応できたのではないかと思います。夏休み中に定期的なオンライン勉強会を開いていたため、不安や疑問を通訳者どうしで、あるいは通訳者と担当者?参加者とですぐに共有することができました。オンラインで通訳を行う機会が増えていくことを鑑みても、複数のプラットフォームを活用する機会を得られたことは、今後非常に役立つのではないでしょうか。
集中力を持続させるには根気が要りましたが、やはり留学生から感謝の言葉を聞けたときには達成感でいっぱいになりました。高齢化、過疎、地域活性化などこれからますます重要視されていくトピックに関するお話を伺うことができ、自分自身も受講生と同様に学びの多い三日間でした。本番の訳出そのものだけでなく、ベストを引き出すための事前準備や環境づくりについても、さらに試行錯誤を重ねていきたいと感じました。
高月環綺さん(大学院総合国際学研究科博士前期課程2年)
山形スタディツアーの各講演会で日英、英日双方向への遠隔同時通訳を行いました。事前準備の段階において山形県や指定された自治体の文化、歴史、産業などをリサーチし、単語帳の作成や各分野の要旨などを日本語と英語でまとめました。本番でいつでも補助的に利用できるように資料に付箋を貼り、手元に置くようにしました。「同時通訳」は神業とよく世間から言われますが、毎日自分自身のスキルを磨くことが不可欠で、なによりも重要なのは事前準備にどれほどの時間を費やしたかということです。そして、オンライン上の遠隔通訳ですので、テクニカルな問題が発生しうるという想定のもとに通訳機能に不具合がある場合でもいかに臨機応変に同時通訳から逐次通訳へ切り替え、情報をもれなく「通訳」という行為で伝達するかという姿勢が問われました。昨年度から中国体彩网手机版感染症の拡大により、通訳の世界も変わりつつあり、対面での通訳よりさらに通訳チームが一丸となる必要がありました。運営側の皆様のご協力と通訳チームの結束力のおかげで最後まで途切れることなく遠隔同時通訳をやり遂げることができました。これからオンラインでの通訳が主流になるとそれに伴って通訳者の在り方も変わっていく可能性があるのだと、今回のスタディツアーの同時通訳を担当したことで身にしみて感じています。
この度は、オンラインでの通訳実習の機会を設けてくださった先生方、コーディネーターの方、ご協力?ご参加くださった自治体の皆様に改めてお礼申し上げます。