講演会「日本語と英語のニュース翻訳 ―情報追加?削除?移動のステラテジー」

日時

2021年11月12日(金)18:00?19:30

場所

Zoomでのオンライン開催

内容

ニュース記事翻訳においては、読み手が理解しやすいというニーズが重視され、起点テキストと目標テキストの間の差異(シフト)は、翻訳ストラテジーと考えられている。しかし、「等価」「忠実性」を気にしてこの方法に消極的な翻訳学生が多い。この発表では、日英?英日両方向のニュース記事翻訳に実際に起こるシフトを分析し、ストラテジーとしてのシフトの可能性を積極的に考えてみたい。分析には日英語のオリジナルとその翻訳のペア、計340本のニュース記事から成るコーパスを用い、翻訳に現れる追加、削除、移動を、節以上から節以下までのサイズ別に取り出した。分析の結果、ほぼ全ての翻訳ニュース記事に追加、削除、移動が見られた。英語への翻訳では削除よりも追加が、日本語への翻訳では追加よりも削除が一般的であった。サイズ別では、節以下のサイズのシフトは記事全体で起こり、節以上のサイズのものは記事の頭または末尾に生じる傾向があった。リードの境界をまたぐ移動は、日本語訳ではリード方向へのものが多く、英語への翻訳ではその逆が多かった。これは、各言語のニュースリード部で好まれる情報が異なることを示唆している。シフトの実際から、翻訳ニュースの読み手のニーズ重視、翻訳に反映する目標言語のジャンル的慣習を分析したい。

講演者

武輪美香先生(イギリス リーズ大学 専任日本語講師)

備考

主催

東京外国語大学2021年度「国際共同教育」プログラム

共催

大学院 総合国際学研究院 科研(20H01278) 基盤B『国際連携?高大連携による英語?中国語?日本語「作文/対話」学習者コーパスの研究』(代表者 望月圭子担当)

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