移民言語学の目的?概念?方法

前国連事務総長、潘基文氏が述べたように、「移住とは、人間の、名誉?安全?よりよい未来への望みの表象である。また、それは社会の根幹の一部、人類共同体の構成要素の一つである」。国境を越えた移民の数は、2億7200万人、つまり世界人口の約3.5%存在する(International Organization for Migration, 2019)。実際、人間の移動は、グローバル化しつつあるこの世界において看過できるものではなく、そして言うまでもなく、人間がある場所から別の場所へ移動するときには、言語は重要な要素であり、それにより移住が容易になったり、また困難になったりもする。移住に際し言語は最重要事項であるが、世界の言語の歴史では、移民こそが、言語の発達に中枢的な役割を担ってきた。そうであるがゆえに、人々の移住経験に伴う言語を熟慮し、取り入れたうえで、政策とその応用はなされねばならない。さらには、学術界に情報を与え、言語が重要な役割を果たす社会全体に情報を与えうる、十分な理論や研究が必要である。言語と移民は、近年、学問的な関心を集めつつある(Canagarajah, 2017)。そして、人間の移動の動的プロセスにおける言語のさまざまな側面の学際的かつ多次元的な研究が、移民言語学」と呼ばれる新生の下位分野として言語学に統合されることは有益なことだ。言語と移住の研究と、それに伴う、新しい下位分野の形成で注目されるべき点は、それが扱う諸問題が、現在世界が直面している多くの社会問題の前面にあるという点だ。それはつまり、他の学問分野から投げかけられた問いであれ移民言語学で生まれた問いであれ、どうして言語が、人間の移動を成功させ、あるいは不成功に終わらせうるのか、という問いに正確に答える理論と研究方法を見出さなければならない。

このウェブセミナーは、移民言語学を、人文学と社会科学の新しい下位分野として示す。また、この新しいサブフィールドの目的を提示し、移行のコンテキストで言語を理解する上でのさまざまな概念を提示し、移行言語学の研究を行う上で可能な方法論を概説する。また、移民言語学の枠組みの中で進行中の研究といくつかの方法論を紹介していく。

日時

2020年7月25日(土) 16:00

講演者

Ariane Macalinga Borlongan with Ron Bridget Vilog
and Subila Chilupula, Takatsuki Kanki, and Takahiro Noguchi

備考

こちらからご登録ください: https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdxPYpzmOBzvKT7xRTZSs5heZvSXXHnFPywktmNVVbXsF4TWA/viewform

*英語開講

*このウェブセミナーは、東京外国語大学とフィリピン言語学会の共催で、東京外国語大学多言語多文化共生センターの支援の下で行われます。

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