ご卒業おめでとうございます!(2022年度卒業式?学位記授与式)
2023.03.24
2023年3月24日(金)、2022年度卒業式?学位記授与式がアゴラ?グローバル プロメテウス?ホールにおいて挙行されました。
言語文化学部305名、国際社会学部301名、国際日本学部49名、大学院博士前期課程107名、大学院博士後期課程15名が卒業?修了し、学位が授与されました。
学長式辞
ご卒業おめでとうございます。
例年になく、桜の開花が早く、花吹雪のなかの卒業式となりました。プロメテウスホールに一堂に会し、皆さんの元気な顔を見ることができて、本当にうれしいです。今年度は、保護者の皆さんも大学にお迎えすることができました。キャンパスで一緒に学生たちの卒業を祝っていただければ、幸いです。
今年、卒業される皆さんは、2019年度に入学された方と、2018年度以前に入学された方が、それぞれ半数ずつを占めます。多くはコロナ感染症の拡大がはじまった2020年の春に、2年生、または3年生に進級された皆さんです。あれから3年がたちました。
今となっては笑い話ですが、Zoom での授業が始まった頃は、本当にいろいろなことがありましたよね。Zoom に先生が入ってこないとか、映らないとか、映ってはいけないものが映ったとか。そんなドタバタも、今となっては懐かしい思い出です。あの時期、大学としては、ひたすら、どうやってキャンパスにいない皆さんひとりひとりとつながるか、その点だけに集中してきました。
当時、2年生3年生の皆さんからは、本当に多くの声を寄せてもらいました。ほとんどの方がアンケートに応えてくれましたよね。そこから、私たちは、本当に多くのことを学ぶことができました。物理的なキャンパスには誰一人いませんでしたが、皆さんの声は、私たちに届いていました。なので、私には、当時、2年生3年生の皆さんは、一緒に苦労した同志のように思えてなりません。皆さんのおかげで、大学も、少し成長することができたように思います。
しかし、当初思ったほどにはコロナは簡単には終わらず、2020年度は留学の中止を余儀なくされました。2021年度に再開しましたが、難しい地域もあり、断念された方も多かったと思います。今年、4年、または5年で卒業される皆さんのなかで長期の留学をされた方は63名にすぎず、この数字は、皆さんが、留学機会という点で、一番つらい思いをされた学年だということを示しています。63人、という数字は少なくないようですが、コロナ以前には400人、500人という数でした。仕方なかったとはいえ、皆さんの無念さに、大学として本当に申し訳なく思います。これからの社会人としての人生のなかで、直接世界に触れる機会がたびたび訪れることを、心から祈っています。
さて、コロナ禍は、皆さんの大学生活に大きな影響を与えましたが、社会全体に対しても大きな傷跡を残しました。社会の断絶が深まったことも憂慮されることのひとつです。ちょっとした意見の違いから人格全部を否定するような傾向、失敗を許容しない社会、あるいは、自身の意見を力で押しとおそうとする傾向が、私たちの身近なところでも、世界全体でも、強くなっているような気がしてなりません。
しかし、本学で学んだ皆さんは、その対極にあります。社会には様々な要素があり、世界は、そうした多様性からなっており、それぞれに等しく価値があり、対話により人と人は寄り添えることを、皆さんは体感され、それを普通のことだと思っていると思います。ただ、皆さんが、これから生きていく社会は、それが、普通ではないところかもしれません。どうか、それぞれの居場所で、東京外大で培われた皆さんの属性、つまり、国籍による区別もなく、女も男もなく、多様な言語には等しく価値があり、互いを学びあうことで近づくことができることを、社会のなかで、体現していってほしいと思います。
卒業したあと、あれ、自分と似た人がいると思ったら、東京外大卒のひとだったという話はよく聞きます。本学は、今年、建学150周年を迎えます。150年にわたり、皆さんと同じ感性をもつ卒業生が社会で活躍してきました。皆さんは、今日から、東京外大卒業生に仲間入りをするわけですが、その一人として、皆さんが、これからの社会を変えていく力となり、活躍されることを、心から祈っています。
大学は、これからも皆さんの活躍を、ずっとずっと見守っています。皆さんが、誇りをもって語れる大学であり続けられるよう、ここに残る私たちも頑張っていきます。皆さんも、同窓の友人を大切にし、時々は、大学が皆さんを応援していることを思い出してもらえると嬉しく思います。
改めまして、ご卒業おめでとうございます。どうか、健康で、自分の人生をまっすぐに歩んで行ってください。心から応援しています。
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2023年3月24日
東京外国語大学長
林佳世子