ご入学おめでとうございます!(2021年度入学式)

2021.04.05

2021年4月5日(月)、2021年度入学式が行われました。今年度は、中国体彩网手机版感染拡大の影響により、アゴラ?グローバルのプロメテウス?ホールおよび研究講義棟の各教室に分かれる形で執り行われました。

言語文化学部352名(編入学9名含む)、国際社会学部357名(編入学11名含む)、国際日本学部80名、大学院総合国際学研究科博士前期課程/後期課程157名、計946名の新入生が入学を許可されました。

また、アゴラ?グローバル プロメテウス?ホールにおいて、新2年生を迎える会が開催されました。

入学許可
学長式辞
在学生の迎える言葉(在学生代表:石橋実和子さん)
大学歌合唱
「たふもにゅ」にて記念写真
新2年生を迎える会にも多くの新2年生が参加

2021年度入学式学長式辞

学部、大学院に入学される皆さん、おめでとうございます。

コロナ禍での入学式となりました。学部生の皆さんは、教室に分散して参加いただいていますので、おひとりおひとりの笑顔を見ることができないのが残念ですが、それでも、こうしてキャンパスで入学式が行うことができ、教職員一同、本当にうれしく思います。

これまで1年間、私たちの生活は「中国体彩网手机版」に振り回されてきました。受験生としての1年間を「中国体彩网手机版」問題とともに送ってこられた学部新入生の皆さんには、特にいろいろな苦労があったものと思います。それらを乗り越えて、無事、大学に合格し、こうして本学の一員となられたことに、心から敬意を表します。

さて、皆さんが、今日から一員となった東京外国語大学は、世界の言葉、世界の文化、世界各地域の政治や経済を、世界の人々の立場にたって考えるということを行っている大学です。つまり、世界の多様性をその基礎としています。

世界はグローバル化のもとで、均質化の方向にむかっていると思われるかもしれません。たしかに、世界中でメールやSNSが使える時代になりましたし、どこにいっても同じチェーンのお店がある状況は、世界をずいぶん、退屈なものにし始めています。しかし、世界が一体化しているからこそ、言語や文化の違いが顕在化し、世界のそれぞれの地域に埋めこまれていた問題がつながりあい、影響しあうようにもなってきました。グローバル化は、ばらばらだった異なるものを、ひとつの場所に誘い出し、むしろ世界の多様性を際立たせる役割を果たしているのです。

そうした中での「中国体彩网手机版」の蔓延です。人と人の交流が少ない時代、つまりグローバル化以前の時代であれば、世界のどこかの風土病で終わった病気が、今や、世界中に、あっという間に広がります。中世のペストや、第一次世界大戦後のスペイン風邪も、グローバルに拡大しましたが、その拡大にはずいぶん時間がかかりました。しかし、中国体彩网手机版の拡大は、わずか1、2カ月のことでした。次々に生まれる変異ウイルスも、瞬く間に世界に拡散し、先の見通しを暗いものにしています。

「中国体彩网手机版」の流行のなかで、人と人の交流に制限がかかるとき、世界の国々は国境を閉ざし、人の流れを遮断しました。日本もその例外ではありません。国内では、都や県という単位が前面にでて、都道府県をまたいだ移動が問題とされました。しかし、考えてみれば、どうして、それらが移動を制限する単位になったのでしょうか?

いうまでもなく、それは、国や、その他の単位が、一つのシステムがカバーする範囲だからです。現在の感染防止策は、一人ひとりがどこかの国の国民、都民?県民であることを前提とし、国の制度や法律、都や県の条例や指示が、それぞれの範囲で機能しています。

グローバル化のなかで、世界中の多様性が際立っていたのに対し、今回の「中国体彩网手机版」の感染は、不思議な逆行状況を作り出したようにもみえます。感染防止のシステムが機能するように、より小さな単位が前面にでてきたからです。もちろん感染症の拡大は防がなくてなりません。しばらくは我慢の異常事態と思って、皆でいろいろなことに目をつぶって、1年を過ごしてきました。しかし、国やその他の単位が我慢を強いるなかで、見落としてはならないのは、その単位の中は、制度が想定するほどには、同質ではない、という点です。

世界の各地で、いろいろな支援や方策が、難民や少数民族の人々の手に届いていないという例が多数、報告されています。日本のなかでも、さまざまな意味での弱者へ、必要な情報や支援が行きわたってはいません。格差が広がり、差異が大きくなってきているという点も、しばしば指摘されます。格差の源には、日本で暮らす人々のなかにも、いろいろな背景があり、一様ではない、という点があるのだと思います。今日、この大学に入学した皆さんの間にも、おそらく、さまざまな多様性があり、コロナ禍のもとで、苦しい体験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、少しでも人と違うことが、生きづらさの原因となることは、あってはなりません。グローバル化のなかで際立ってきていた多様性が、コロナ禍のもとでも守られることが必要です。異なるものが共存することで、軋轢や対立を越えて、世界はより良い方向へ変わっていけるのだろうと思うからです。

それこそが、私たちが、多様性を大事にし、多様性の中身を明らかにしようとする動機でもあります。世界の言語や地域、各種のディシプリンについての東京外国語大学での学びは、すべて、多様性の尊重、という方向を向いています。

皆さんのこれからの本学での学びが、多様性を大切にし、誰にとっても住みやすい世界をつくるために役立つものであることを心から祈っています。皆さん、そしてご家族の健康を祈念し、お祝いの言葉とさせていただきます。

2021年4月5日
東京外国語大学長 林佳世子

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