野元裕樹准教授と山本恭裕講師が日本言語学会の大会発表賞を受賞
2021.10.15
野元裕樹准教授(大学院総合国際学研究院)と山本恭裕講師(世界言語社会教育センター)が、2021年6月にオンラインで開催された日本言語学会第162回大会の大会発表賞を受賞しました。本賞は、日本言語学会の若手会員による学会大会での研究発表の中から、特に優れていると認められた発表に対して授与されるものです。
受賞した研究発表と受賞理由は次のとおりです(受賞理由は学会Webサイトより引用)。
野元 裕樹 准教授
研究発表:「西オーストロネシア諸語の看過される裸(はだか)態構文」
受賞理由:本発表では西オーストロネシア諸語の態のうち、従来は有標の動作主態の省略形と見なされてきた形態的に無標の構文を、スルーシング、交差解釈、動作主と被動者の同時抜き出しという3つの観点から、裸態構文と呼ぶべき独立した構文であると論じた上で、フィリピン型、インドネシア型それぞれの態体系を捉え直すことを提案した。これらの観点は決定的とは言えないかも知れないが、論理的で説得力のある議論が提示された。裸態構文という新しい視点から西オーストロネシア諸語の態にまつわる諸現象を見直すことにより、従来気づかれていなかった一般化につながる可能性があり、理論的な展開が期待される点からも高い評価が得られた。
山本 恭裕 講師
研究発表:「アイク語の結合価」
受賞理由:本発表では、パプアニューギニアのアイク語の述部の構造を記述することで、統語的振舞いから定義される動詞クラスが言語普遍的なものか否かを検証した。述部の構造など複雑な事実を簡潔かつ明瞭に説明した上、‘and’に相当する関係語が動詞として機能するなど興味深い事実を指摘し、3項動詞がきわめて少ないなど、アイク語の動詞が通言語的に期待される動詞クラスとは異なる分布を示すことを明らかにした。前提としている用語や背景の説明が少なく、分かり易い発表とは言えない点もあったが、質疑応答で聴衆の疑問に丁寧かつ誠実に回答したことは評価に値する。未調査言語の一次的資料からの類型的一般化に成功しており、高い分析力があると評価された。
参照:
日本言語学会Webサイト
https://www.ls-japan.org/