AA研協力『日本語マラヤーラム語辞典』が受賞

2019.06.26

2019年6月20日、アジア?アフリカ言語文化研究所(AA研)の高島淳教授、峰岸真琴教授が中心となって編纂に関わった『日本語マラヤーラム語辞典』の功績について、インド?ドラヴィダ言語学会より2018-2019年度の 「Dr. Hermann Gundert Endowment Award(ヘルマン?グンデルト博士基金賞)」が、著者のナンビアール氏に対して贈られました。
この賞は過去3年以内に出版された最良のドラヴィダ系言語の辞書(The Best Dictionary in Dravidian Languages)に対して贈られるもので、宣教師であるとともに優れた言語学者でありマラヤーラム語の文法と辞書で著名なヘルマン?グンデルト(ヘルマン?ヘッセの祖父でもある)の名前を冠した名誉ある賞です。
『日本語マラヤーラム語辞典』は、GICAS(「AA研アジア書字コーパス拠点」2001-)において開発したインド系文字の処理技術を活用し、本研究所情報資源利用研究センター(IRC)のIRCプロジェクトによって構築した電子辞書(リンク:https://www.aa-ken.jp/edic/jmd/)を印刷体としてケーララ州言語研究所(State Institute of Languages)から2019年3月に刊行したものです。
インド?ケーララ州の公用語であるマラヤーラム語は、第一言語話者だけで約3500万人(2011年センサスによる)を擁する大言語で、IT産業やアーユルヴェーダへの関心などからも今後一層必要性が増していく言語ですが、これまで本格的な日本語辞書は存在しませんでした。
三省堂の協力による現代的な5万3千語以上の日本語見出し語と例文に、マラヤーラム文字による漢字の読み仮名まで振ってあるとともに、英文による簡易日本語文法も備えています。1500頁以上もありながら、インド中央政府の補助金によってわずか1000ルピー(約1700円)という価格で提供されています。ケーララの人々の日本語学習に大いに役に立つであろうことはもちろん、日本人のマラヤーラム語学習にも素晴らしい道具となるように、AA研の辞書作りのノウハウを注いで作り上げたものです。

表彰式。著者のナンビアール氏。
『日本語マラヤーラム語辞典』
3月に行なわれた刊行式典にて高島教授が敬意を示すショール(angavastra)を贈られているところ
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