平成26年度入学式が4/4に行われました
2014.04.09
平成26年度言語文化学部、国際社会学部ならびに大学院総合国際学研究科、留学生日本語教育センターの入学式が、4月4日、本学アゴラ?グローバルの「プロメテウス?ホール」において行われました。
入学式では、混声合唱団「コール?ソレイユ」による大学歌合唱の後、第一部では言語文化学部入学生405名、留学生日本語教育センター学部進学留学生、研究留学生71名の入学が許可されました。
第二部では、国際社会学部入学生408名、大学院総合国際学研究科博士課程(前後期)入学者175名の入学が許可されました。
2014年度入学式学長式辞
学長として東京外国語大学を代表して、皆さんのご入学を心よりお祝い申し上げます。 また、本日、研究講義棟101マルチメディアホール等にてこの式辞をお聞きいただいている保護者の皆様にも心よりお祝い申し上げます。
本日ここに、言語文化学部405名の新入生(編入学者17名を含む)、国際社会学部408名の新入生(編入学者15名を含む)、大学院総合国際学研究科博士前期課程?博士後期課程入学175名の新入生、また、留学生日本語教育センター71名の新入生をお迎えしております。希望に満ち溢れる皆さんを前にして、身も心も引き締まる思いです。
さて、皆さんの新しい学び舎となる東京外国語大学は、1857年(安政4年)に開校された蕃書調所にその起源をさかのぼることができます。 そして1873年(明治6年)に、英独仏魯清の5学科からなる東京外國語学校が設置されました。本学は、この1873年を「建学の年」と定めています。 その後、紆余曲折を経て、1897年(明治30年)、当時の高等商業学校の付属外国語学校として創立され、1899年(明治32年)、東京外国語学校として独立します。
こうした本学の草創期には、思想家?文学者の内村鑑三、教育者の新渡戸稲造、外交官の中田敬義、政治家?実業家の平生八三郎といった、日本近代史に大きな足跡を残した人物を数多く輩出しております。いま皆さんが着席されているこのプロメテウスホールの座席の一つ一つに、本学の歴史に大きく貢献した方々の名前が刻まれていますので、ぜひご覧になってください。
さて、本学はその後、1949年(昭和24年)の新制大学の発足とともに、東京外国語大学として新たなスタートを切ることになります。当時は、12学科からなる外国語学部でしたが、2012年(平成24年)からは、外国語学部が改編されて、言語文化学部と国際社会学部の二学部体制となりました。そして本学は、地球全域に及ぶ14地域27言語をそろえた教育体制をもち、21世紀グローバル社会の諸課題に応えられる「外国研究foreign studies」に勤しんでいます。ちなみに、本学の英語名称は《Tokyo University of Foreign Studies》であることを皆さんも心にとめておいてください。
なお人文科学分野を担う言語文化学部は、世界のさまざまな地域の言語や文化の学習に重点をおいています。日本を含む世界の言葉や文化に精通し、国内外において異なる言語や文化の間の架け橋となり、新たな価値観の創生に寄与する、そうした国際教養人の養成をめざしています。
社会科学分野を担う国際社会学部は、世界のさまざまな地域の言語や社会?政治?経済の学習に重点をおいています。世界諸地域の複雑な仕組みを把握?分析するリサーチ能力と、グローバルな視点から問題を解決する実践的能力を備えた国際職業人の養成をめざしています。
人文科学と社会科学の両分野をカヴァーする大学院総合国際学研究科は、高度な言語運用能力と学際的応用力を備え、地球社会と世界諸地域の言語?文学?文化、政治?経済?社会を対象とする専門的かつ総合的な研究を深めるとともに、それらの知見をもって活躍する高度国際教養人?職業人の育成をめざしています。
ところで、本学では、それぞれの学部における専門教育とならんで教養教育を重視しています。皆さんが身につけるべきこの教養を、本学は「世界教養global liberal arts」と名づけています。そこで私は、なぜ「global」という形容詞がつけられているのかについてお話ししたいと思います。
「global」には、「全体的」ないし「総合的」という意味があります。学問が細分化?高度化し、科学技術がいちじるしく進展している現代社会のなかで、「技術」への過信が深刻な悲劇を人類社会にもたらすことは、2011年3月の大震災と原発事故から私たちがしっかりと学ぶべき教訓です。ですから私たちは、人文科学、社会科学、自然科学、応用科学の諸学問領域を横断する「総合知global knowledge」を身につけて、21世紀グローバル社会のさまざまに錯綜する複雑な仕組みを分析し、物事を的確に判断する能力をもたなければなりません。
もうひとつ「global」には、「地球の」ないし「地球規模の」という意味があります。1992年には環境と開発に関する国連会議、いわゆる「地球サミット」が開かれました。そのころから、“Think globally, Act locally”、つまり「地球規模で考え、地域から行動を」ということが盛んに言われるようになりました。原発事故による海洋汚染、中国大陸での深刻な大気汚染とPM2.5の拡散など、いま人間社会は企業活動や環境の問題を地球規模で真剣に考えなければなりません。
まさにローカル(地域社会)の課題とグローバル(地球社会)の課題とが密接に絡み合っているのが21世紀グローバル社会です。皆さんには、本学の学び舎で、地球社会の共存?共生に寄与する地球市民global citizenとなるべく、総合的かつ地球俯瞰的な視野を培ってもらいたいのです。ここであらためて、東京外国語大学ホームページに記載しました学長メッセージの冒頭のフレーズを繰り返させていただきます。Think and Act Globally and Locally!(地球社会と地域社会に根ざして、考え行動しよう!)
ところで、本学はこのたび「国連アカデミック?インパクト(UNAI)」に加盟しました。これは、国連と世界の大学?高等教育機関とを結ぶパートナーシップで、世界ではすでに760を超える大学?機関が参加しています。「知的分野の社会的責任の文化を共有する(Sharing a Culture of Intellectual Social Responsibility)」という標語のもと、高等教育の機関として国連憲章や人権の尊重などの10の原則を支持し促進させるというのが、その趣旨です。原則10には、「異文化間の対話や相互理解を促進し、不寛容を取り除く(A commitment to promoting inter-cultural dialogue and understanding, and the “unlearning” of intolerance, through education.)」と謳われています。
本学で「外国研究foreign studies」を志す皆さんには、このアゴラ?グローバルや研究講義棟の壁面にも掲げられているこれらの10の原則をしっかり理解していただきたいと思います。そして、充実した大学生活を送るなか、世界教養と専門知識をしっかりと身につけて、やがて地球市民として世界で活躍されることを心より期待しています。
最後になりますが、留学生日本語教育センターにご入学の皆さんにも一言述べさせていただきます。
Lastly, I would like to say congratulations to our new students here at Japanese Language Center for International Students.
JLC is a leading Japanese language educational institution established in 1970. It has been under the Joint Usage Center for Education, since 2012.
It is my most sincere wish that your Japanese language abilities blossom while here at JLC – a place in which ideas and culture are expressed in Japanese. May you take the language and culture learned here at JLC and move on to your own area of expertise.
Finally, I hope that in the future all of you may become a bridge between Japan and your own place, and I wish that all of you fill this part with great honor and dignity. Thank you.
これをもちまして、私の式辞といたします。
2014年4月4日
東京外国語大学長 立石博高