| 1. 活動状況の概要 
 
										 定例研究会は前年度に引き続き、オーラル・アーカイヴ構築に関わった研究者およびオーラルという方法を用いた研究者を招いて開催した。さらに2004年12月にはブリティッシュ・ライブラリーからロバート・パークス氏を招き、国際シンポジウムを開催したが、この成果はジャーナル第5号(2005年3月)に掲載した。2. 特別事業また班のメンバーによる調査研究活動も活発に行なわれた。「移動」というテーマのもとに、20世紀という時期を生き抜いてきた様々な人々から聞き取りを行なうことができた。さらにその成果を文字化することを進めつつ、研究に生かすべく解析も行なっている。その成果として、寺内こずえ「変転する人生の語り-シクロー蹴りに対する聞き取り調査から」(ジャーナル第4号所収)がある。
 
 
 
 
										 昨年度に引き続きバングラデシュの解放戦争研究センターの「オーラルヒストリー・プロジェクト」への事業協力を行なった。2004年度から始まった南スラウェシ州公文書館所蔵日本占領期インタビュー記録デジタル化作業の経過は以下の通りである。
 2004年6月より、東インドネシア地域の公文書資料を所蔵する在マカッサル南スラウェシ州地方公文書館(Badan Arsip dan Perpustakaan Daerah, Propinsi Sulawesi Selatan 旧国立公文書館第一級地方支部〉が所蔵する日本軍政期に関するインタビュー記録のデジタル化および内容のトランスクライブをおこなっている(内容の概要については、ジャーナル4号菅原由美出張報告参照)。直接作業に携わっているのは、同文書館職員および国立ハサヌディン大学研究者である。デジタル化作業はすでに完了し、トランスクライブは全100本のカセットテープ中80本分が完成した。残り20本分のトランスクライブについては、2005年度も継続予定である。
 3. 研究活動(定例研究会・シンポジウムの開催ほか)2004年4月以降
 
 
										
										4. 本班のテーマ(「移動」)にかかわる2004年度の調査活動の概要
												| 戦時下のタイ人元留学生へのインタビュー調査報告 
 |  | 日時 : | 2004年5月25日(火曜日) 16:30〜18:00 |  | 発表者 : | 河路 由佳 (本学外国語学部助教授・班メンパー) |  | 会場 : | 東京外国語大学内・海外事情研究所 (研究講義棟4階 427教室)
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												| 「声」と文字のはざまで…ある民俗誌の実践から 
 1.	「声」の現場と民俗学
 2.	ある「聞き書き」の実践から
 3. 「「聞き書き」という方法と民俗学」再考
 
 |  | 日時 : | 2004年9月21日(火) 13:30〜15:00 |  | 発表者 : | 重信 幸彦 (北九州市立大学 助教授) |  | 会場 : | 東京外国語大学内・海外事情研究所 (研究講義棟4階 427教室)
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												|  |  | 日時 : | 2004年12月11日(土) 13:00〜17:30 |  | 会場 : | 東京外国語大学研究講義棟1階115教室 |  | 
																| 進 行 表 司会 : 今井昭夫(東京外国語大学)
 |  | 開会の挨拶 (藤井毅・拠点リーダー) 趣旨説明 (野本京子・東京外国語大学)
 | 13:00〜13:20 |  | 1. ロバート・パークス (The British Library Sound Archive) (逐語通訳付き)
 | 13:20〜14:20 |  | 2. 倉石一郎 (東京外国語大学) | 14:20〜14:50 |  | 3. 吉田かよ子 (北星学園大学) | 14:50〜15:20 |  | 休憩 | 15:20〜15:40 |  | 4. 河路由佳 (東京外国語大学) | 15:40〜16:10 |  | 5. 香月洋一郎 (神奈川大学・日本常民文化研究所) | 16:10〜16:40 |  | パネル・ディスカッション パネリスト: 上記各報告者+石井溥
 (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
 | 16:50〜17:30 |  | ※18時より学内で懇親会を開催します。 (通訳付き、予約不要・入場無料です)
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												| ウズベクアヴァンギャルドの消長 ― イーゴリ・ザヴィツキーとその遺産 ―
 
 |  | 日時 : | 2005年3月15日(火曜日) 14:00〜15:30 |  | 発表者 : | 亀山 郁夫 (本学総合文化講座教授) |  | 会場 : | 東京外国語大学内・海外事情研究所 (研究講義棟4階 427教室)
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										当初の予定通り、班のメンバーにより以下の研究調査が実施された。1) 今井昭夫
 
 
 
										時期: 出張先: ベトナム、ハノイ市ほか 
										場所: 期間: 2004年9月3日〜2004年9月13日
										 
												内容: 太平洋戦争期の日本軍政下のベトナムに関する聞き取り調査を行なった。今回は、主にブイ・ディン・タイン(歴史学者)、ファム・二ユー・クオン(哲学者)、チャン・ヒエップ(心理学者)といった著名な知識人をインタビュー対象とした。
2) 河路由佳
 
 
										時期: 出張先: タイ、バンコク 
										場所: 期間: 2004年9月3日〜2004年9月8日
										 
												内容: 戦時中の元日本留学生への聞き取り調査を行なった。
3) 石井溥
 
 
										時期: 出張先: ネパール、カトマンズ 
										場所: 期間: 2004年10月31日〜2004年 11月9日
										 
												内容: ネパール、カトマンズの主にカトマンズの町において、1959年のチベット動乱前後に、ネパール〜チベット交易に携わっていた(もと)商人たちにインタビューし、当時の交易方法、生活・社会状況等について聞き取りを行った。
4) 倉石一郎
 
 
										時期: 出張先: イギリス、ロンドン 
										場所: 期間: 2004年11月20日〜2004年 11月24日
										 
												内容: ブリティッシュ・ライブラリーのオーラルアーカイヴを訪問・見学した。また同アーカイヴのキュレーターであるロバート・パークス氏から、アーカイヴの業務並びに運営について説明いただいた。またパークス氏とは12月11日開催の当班主催シンポジウムについての打ち合わせも行った。
5) 寺内こずえ (本学博士後期課程)
 
 
										時期: 出張先: カンボジア、プノンペン 
										場所: 期間: 2004年9月13日〜2003年10月5日
										 
												内容: 前回に引き続き、カンボジアの同年生まれの女性に対する継続的なライフヒストリーの聞き取り調査を行なった。またシクロー蹴りの人々への補足調査も行なった。
6) 張延紅 (本学博士前期課程)
 
 
										時期: 出張先: 中国、吉林省延吉市 
										場所: 期間: 2004年8月12日〜9月9日
										 
												内容: 前回に引き続き、少数民族教育問題に関する聞き取り調査を行なった。調査を通じて、民族教育の変遷を探るとともに、教育を受けて来た人々の民族教育に対する評価についても検討した。
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