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2012年8月 月次レポート(柏崎正憲 ドイツ)

東京外国語大学 短期派遣EUROPA 月次レポート(2012年8月分)

2012.09.01 柏崎正憲

概要
 これまでの調査をもとにした論文の執筆(32,000字)。
 8月9日にカナンクラム教授との月例面談。

成果
 今月は、これまでの調査をもとにした中間報告論文の執筆に着手した。これは東京外国語大学海外事情研究所紀要『クァドランテ』に投稿予定である(9月末締切)。内容としては、欧州統合過程に内在する構造的問題を、国際政治経済学におけるグラムシ派のパースペクティヴから、とりわけプーランザスの国家理論の国際政治分析への援用をつうじて、分析する。またその分析をつうじて、とくに「ヨーロッパの国家性」にかんする問題を、すなわち、欧州連合を国家的な、あるいは国民国家に置き換わりつつある政体として見なすことができるか、できるとすればどの程度までかという問題を、究明する。先行研究のたんなる紹介に留まらない、歴史的にも理論的にも一貫性のある具体的な分析の提示を試みている。まだ脱稿していないが、9月なかば頃には仕上げられる見通し。

派遣先大学(マールブルク大学?ドイツ)との連絡状況
 マールブルク大学は10月中旬まで夏期休業となっている。事務局への家賃の支払い、図書館の利用で、休業中も大学には足を運んでいる。
 指導教員のジョン?カナンクラムとの今回の会合では、とくに派遣者の今後の研究方向について相談した。理論的研究について、また欧州統合の具体的分析については、派遣期間中は継続して先行研究の調査、検討を続ける。それに加えて、欧州以外での地域統合の枠組(またはその構想)と欧州連合との比較研究、とりわけ東アジアでのリージョン構想との比較研究の可能性について相談した。とりわけこの方向での研究を、カナンクラム教員は奨励してくれた。しかしながら派遣中は、日本の文献にアクセスできず、またドイツや欧州での研究動向の調査が優先されるので、この方向については、派遣期間終了後に追求し、機会があればドイツにおいて、あるいは国際レヴューに報告するということで、話はまとまった。

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