2011年11月 月次レポート(堀口大樹 ラトヴィア)
11月報告書
堀口大樹
1ヶ月住んだ大学寮を予定通り11月初めに引越し、他の町に暮らす知人が所有するアパートを、残りの派遣期間中借りることになった。大学寮でも一人部屋を借りていたが、共用の台所の使いにくさや、上下階からの騒音などで気が散ることが多かった。現在のアパートは2DKで、1人暮らしには十分の広さであり、騒音もないため集中して研究ができる。この引越しにより、こちらでの生活がやっと落ち着いた実感がある。
11月5日から15日までは日本に一時帰国をした。主な目的は、9月に指導教員や博論の審査をしていただく先生方に提出した博士論文第1稿のコメントをもらうためである。それと同時に、札幌での学会の聴講、12月初めのラトヴィアでの学会発表のための文献収集、第一回ラトヴィア語弁論コンクールの運営と審査員の仕事などがあり、あっという間の10日間を過ごした。
ラトヴィアでは、日本で入手しにくいラトヴィア語の文献は手に入るが、図書館の数、蔵書の数が圧倒的に少ないため、非ラトヴィア語で書かれた文献を手に入れることが難しいことを、ここに来て気づく。これはラトヴィアの研究者も苦労している点のようだ。必要になりそうな文献は、事前にインターネットで見当をつけておいた。幸いなことに、殆どの文献が本学図書館に所蔵されていた。日本に戻るのは来年2月のため、関係しそうな文献は手当たりしだいコピーをしておいた。
今月の最大の目標は、12月1日と2日にラトビア第3の都市リエパーヤのリエパーヤ大学で行われる国際学会の発表準備である。発表内容がほぼ博士論文の最終章になるため、非常に重要である。発表のテーマの先行研究はラトヴィア語では皆無で、視点も新しいと思われるため、リスクが大きく、未だ生煮え感が否めないが、批判を覚悟の上で何かコメントがもらえればくらいの姿勢で臨む予定である。
今月主に聴講している授業(文体論、統語論)は、この発表の準備の傍らで生まれた問題意識と(しかも同日に)シンクロする点がある。授業を聴講することで、研究のヒントが日々生まれ、授業後の先生方への質問などが気軽にできるのは、現地で研究を行う利点の一つである。
来月初めにこの発表を終えた後は、学会でのラトヴィア人研究者の反応と、一時帰国中に頂いた本学指導教員らのコメントを考慮して、博論の手直しに本格的に入ることができる。またそれと平行して、その一部をラトヴィア語でまとめ直し、現地の指導教員に個別に時間を割いていただき、議論をし、コメントをもらえればと思っている。