2012年1月 月次レポート(石田聖子 イタリア)
月次レポート
(2012年1月、博士後期課程 石田聖子)(派遣先:ボローニャ大学 [イタリア])
先月以来、年をまたいで論文に関して停滞した状況がつづくなかで心中慌ただしく迎えた2012年ではあったが、新しい年の訪れは、同じくボローニャで研究に勤しむ友人たちとともに新年を祝うことで穏やかな息抜きのひとときを過ごすなど、気分転換をはかるにちょうど良い節目ともなった。
今月も、主として論文執筆作業を中心に、博士課程セミナー、その他シンポジウムに参加する日々を送った。論文に関しては、先月にひきつづき、第四章第三節結論部の執筆に取り組んだ。『ミラノの奇蹟』(1951年、ヴィットーリオ?デ?シーカ監督、チェーザレ?ザヴァッティーニ原案?脚本)を実例にとり、ザヴァッティーニの映画経験の意義をユーモア、及び、鏡像的構造との関連で検証する箇所であり、先月以来頭を悩ましていた箇所ではあるが、今月に入り、どうにか前進のための糸口をつかむことができ、これをもって、博士論文本論部の執筆を終了した。脚注の整理、言語チェックや指導教員への提出など、やるべき作業は山積しているものの、およそ二年の期間をかけて継続的に発展させ執筆をつづけてきた論文が一応なりともひとつのかたちをとりつつあるさまを目の当たりにすることはやはり大きなよろこびであると言わざるをえない。本文執筆完了後は、さっそく、導入部と結論部の執筆準備に取り掛かった。各章を異なる作家の分析にあてる派遣者の論文において、それらを統括するこれらの部分はとりわけ重要となると考えるため、慎重に、仕上げていく予定である。
ところで、今月初めには、先月末に提出していた箇所をめぐり、ボローニャ大学側指導教員から丁寧な指導と励ましを受ける機会を得ることができた。加えて、今月末にはまた、博士論文提出時に同時に関係者の署名とともに提出が必要となる論文要旨の作成と提出を行った。こうした提出にかかる手続きが実際に始まったことでは、論文の完成と提出が間近に迫っていることを実感させられ、改めて身の引き締まる思いである。提出まで残りわずかとなった時間を最大限有効に活用し、最良の成果を挙げるべく、今後ますます精進していきたいと考えている。