2012年10月 月次レポート(近藤野里 フランス)
月次レポート(2012年10月)
パリ第8大学派遣 近藤野里
10月2日にパリに到着しました。2013年2月14日までパリ第8大学で「17世紀?18世紀フランス語におけるリエゾン」について調査?研究を行っていく予定です。
到着後すぐに、指導教官のJoaquim Brandao de Carvalho教授と面談をし、現時点での博論の進捗状況を伝え、いくつかコメントをいただきました。現時点では、19世紀末にPaul Passyによって記述されたフランス語話し言葉をコーパス化したものについて、どのような統語的コンテクストでリエゾンが実現されているかについて分析を終えたことを伝えました。Carvalho教授には、コーパス構築を急ぐこと、17世紀、18世紀における韻文の分析が今後必要になるので、その点を考慮に入れながら文献を探すように、とコメントをいただきました。
今月はGile Vaudelinのテクストの電子化の修正を行うことに時間を費やしました。リエゾンの実現についての観察は翌月にまとめる予定です。理論面については、Encreve(1988)によって書かれた「Liaison avec et sans enchainement」を再読し、リエゾンの形式化の年譜、取組みについて、特に自律分節音韻論(autosegmental phonology)を用いたリエゾンの形式化について学びました。
パリ第8大学の博士課程では特に授業がない代わりに、各研究所がゼミを主催しており、そのゼミに参加することで単位をもらうことができるようです。今月は、博士課程の合同ゼミおよび音韻論研究会に参加しました。博士課程の合同ゼミは隔週で行われており、大学院生が研究発表(博論の進捗状況、学会発表の準備)を行い、ゼミに参加している大学院生および教師が意見を述べる、という内容です。このゼミのおかげで、言語学科に今年度から入学した他の大学院生と知り合いになる機会に恵まれました。研究テーマが近い大学院生がいたため、情報交換を行うと同時に、11月にお互いの研究テーマであるリエゾンについての発表を行うことが決まりました。音韻論研究会は月2回開かれ、パリ第8大学の研究者またはポスドクの方々が研究発表を行います。博士ゼミとは違い音韻論に限っての発表が行われるため、専門性が高い発表が聞けるという印象でした。