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2011年4月 月次レポート(説田英香 ドイツ)

月次レポート(4月) 
説田英香(派遣先 : ドイツ、フライブルク大学)

 フライブルク大学は4月末まで長期休暇であるため、今月も時間のほとんどを博士論文執筆のための研究に充てることができました。フライブルク大学の博士課程に留学してからおよそ半年経ちますが、その時以来から指導教員であるヘルベルト教授に、テーマの絞り込みを課題として課されています。私の研究分野である戦後ドイツ移民史の研究状況は、ドイツと日本との間で格段の差がみられます。私の博士論文はフライブルク大学と東京外国語大学との共同学位取得を目的としているため、まずは自分の研究の中で両者の差を埋めることが目下の課題となっています。

 【研究進捗状況】
 1980年代ドイツ連邦共和国においてトルコ出身「移民」がどのように認識 (Wahrnehmung) されていたかという観点から、当時の「移民」をめぐる状況を再構築することを目的に、先月に引き続き、刊行雑誌(Der Spiegel)を用いて言説分析を行いました。Der Spiegelの過去の記事はオンラインで入手可能であるためキーワード検索などをかけることができ、その点においては非常に便利です。その一方で、検索結果として膨大な数の記事が検出されるため、その後の手動による関連記事の選別に非常に時間が要される点が少々難点であります。
 4月は、指導教員であるヘルベルト教授による個人指導が一回行われました。今回の指導内容も、私が用意した博士論文のコンセプト案に関してでした。5月末から6月頭にかけて再び個人指導が予定されておりますが、次回の課題としては、博士論文の序論の一部を占める、先行研究のまとめが与えられました。そのために4月後半は、今年出版されたばかりの、Jochen Oltmer, Migration im 19. Und 20. Jahrhundert(Oldenbourg Verlag; Munchen, 2010) Enzyklopadie Deutscher Geschichte. Bd.86 を土台とし、私のテーマに関する現在までの研究状況をまとめることを目的とした文献調査を行いました。
 
 【トルコ語Ⅱ】
 フライブルク大学での博士号取得資格として母語以外の言語が最低3つ必要とされるため、研究の中心を占めるドイツ語?英語に加え、報告者は前学期からトルコ語を学んでおります。私は、「移民」受け入れ社会であるドイツ側の視点に加え、送出国側および「移民」の視点も博士論文に取り入れたいと考えており、トルコ語史料を扱う予定でいます――現段階では新聞を主に想定。そのために私は3つ目の外国語としてトルコ語を専攻しました。4月末までフライブルク大学は長期休暇でしたので、その期間を利用して開講される集中講座を受講しました。この講座は、前学期に私が受講したトルコ語Ⅰと同様、フライブルク大学の言語研究機関によって主催されています(有料、フライブルク大学学生60ユーロ)。通常であれば学期を通じて隔週1時間半の授業が行われるのですが、今回は集中講座であったために、一日3時間の授業が8日間に渡って行われました。本来は受講者20人を前提とした講座であることから10日間のカリキュラムが組まれていましたが、受講者が6人と非常に少数であったことから、2日間短縮されてしまいました。その反面、少人数での講座であったことから、質の面においても「集中」的な講座であり、非常に有意義でした。講座は同講師によって、トルコ語Ⅰで終えた課からの続きが行われました。 この講座は通常のトルコ語講座
と同様に単位認定されますが、そのための試験は主に口頭試験が中心となるので、この先5月以降に個別に行われる予定です。

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