2010年9月 月次レポート(松澤水戸 スイス)
短期派遣EUROPA月次レポート9月
松澤水戸
派遣先:ジュネーヴ大学(以下、UNIGE)
文学部内、ELCF(Ecole de langue et de civilisation francaises)
受け入れ責任者:Laurent Gajo教授
9月の前半
ジュネーヴでの生活準備をしていました。事前情報どおり、住居を確保することが困難でしたが、最終的には、UNIGE公認の住居斡旋サイトでみつけた部屋を借りました。このサイトは毎日更新されるほど情報が多いのですが、状態の悪い部屋を高額で貸す「詐欺」の存在をUNIGEも認めています。部屋と大家を実際に確認せずに契約する場合は十分な注意が必要でしょう。
9月の後半
UNIGEの秋学期が始まったので、以下の3つの授業へ参加することになりました。
授業1:Jean-Marc Luscher教授(専門は文法)のDidactique de la grammaire
言語教育において、文法教育は文法知識だけでなく言語能力を向上させるものでなければならないという観点から、母語ではないフランス語の学習における文法教育を分析する授業です。
授業2:Laurent Gajo教授(専門は外国語習得)のIntroduction a la linguistique de l'acquisition et a la didactique du FLE
録画および文字化され検索可能なコーパス状態の実際の授業における、教師と生徒、生徒間のインタラクションを例に挙げ、外国語習得における文法とコミュニケーションの対立、コミュニケーションおよび習得ストラテジー、訂正の方法と手順、といった項目について学ぶ授業です。
授業3:Isabelle Racine教授(専門は音声学)のPhonetique au laboratoire de langue
フランス語以外の言語が母語であるフランス語学習者にとって学習困難点となりやすいフランス語の発音について自律学習する非常に効率のよい授業です。学生はこの授業に登録すると、まず、発音テストを受け、個々にレベル判断され、注意点を指摘されます。そして、週3日4時間開放されるラボ教室へ自由に入室できるようになり、自分で3段階区分のe-learningタスクを選び、自分のペースで進めていきます。学生の発話はPC上に録音される(が授業後に自動削除される)ので、聞きなおすことができます。ラボ教室では教師が待機しており、要望があれば学生に助言を与えます。
Sthioul Bertrand 教授(専門は動詞の時制)の動詞に関する授業は秋学期にはありませんでしたが、個別に助言をいただけることになりました。
文献収集
Luscher教授から、文法教育、言語理論に関する参考文献をいただき、その中には同教授とSthioul教授の論文「1996c ?Emplois et interpretations du Passe Compose?, (en collaboration avec B. Sthioul) Cahiers de Linguistique Francaise 18, Universite de Geneve, 187-217.」がありました。
また、Gajo教授からコーパスを用いた研究の参考文献をいただきました。
研究協力
Racine教授がe-learning教材作成?管理ソフトMoodle(以下、Moodle)を利用してスペイン語母語話者のフランス語発音データを収集する手伝いとして、Moodleのフランス語使用説明書とタスク作成を行っています。Racine教授らが主動するInterphonologie du francais contemporain計画において、ノルウェーとドイツの研究者がこのタスクを用いてデータ収集をすることになりました。
10月の予定
第13回フランス語圏サミットの関連行事が1日、2日、4日、18日、22日に行われるので聴衆のひとりとして参加します。