2020年4月15日~5月31日実施の「第2弾! 紛争を乗り越えて。ルワンダの大学から留学生を招こう」の新着情報ページ用に開催した日本人学生3名の座談会Part2です。これは、アフリカから留学生を招くことが、日本人学生にとってどういった効果や意義があるかを知るためのものでした。学生たちからの率直な意見は、留学生招致の取り組みが日本人学生にとっても大切であることを再認識しただけでなく、学生たちと私たちが手を組んで取り組むべきであろう課題も見つかりました。
Part1はこちらからご覧ください。
双方向な関係を築く
司会:
アフリカから留学生を招くことは、どういう影響があると考えますか。
飯野さん:
留学生を招くだけではなくて、自分もルワンダに交換留学で行かせていただいたこともすごく貴重な経験でした。ルワンダのPIASS(プロテスタント人文?社会科学大学)と外大との間で交換留学を双方向でできているということがとてもいいんじゃないかと思っています。
日本の人たちがアフリカのことを、簡単なイメージでしか思い描かないように、アフリカの学生も日本というと本当に単純なイメージしかもっていません。中国とどう違うのかわからないし、「日本はテクノロジーがすごいよね」とか、そういう一面的な側面だけです。日本に留学することで日本のいろいろな側面を知ってアフリカに帰ってもらえるというのはすごくいいなと思っています。
私がルワンダにいた時にちょうど外大で一年の留学を終えたロドリグとシュクルがPIASSに帰ったきたので会って話を聞くことができたんですけど、すごい熱量で日本のことをいっぱい話してくれました。ロドリグは、PIASSに着いた次の日に「PIASSの学生に日本について知ってもらいたい」と言って、日本人の宗教観についてプレゼンをしました。日本人は神道で生まれて、結婚式は教会であげて、葬式の時は仏教のやり方でやる、とプレゼンしていたのがすごく面白かった(笑)。私もルワンダに行って宗教についていっぱい考えたし、お互いにそういう話ができるととても面白いなと思いました。
相互の理解と交流を深める
司会:
さきほど双方向ということをおっしゃったんですが、留学生を結節点にしてお互いに相手をより理解できるようになったということでしょうか。
飯野さん:
はい。私としては日本っていう国について知ってもらえるということがすごく嬉しかったです。ルワンダに行くと、「中国から来たのか」とか言われたりするんですけど、ロドリグが日本のことをみんなに話してくれて、PIASSのみんなも日本に興味をもってくれました。「良い成績をとって絶対、日本に行きたい」って言う学生がたくさんいるので、さらに日本とルワンダとの交流は増えるんじゃないかと思っています。
アフリカから学ぶ
司会:
井出さんは、ガーナに留学する前にガーナからの留学生と交流できて良かった点はなんですか?
井出さん:
1年生の時から「ガーナに留学したい」と思っていたんですが、家族にずっと反対されていました。ガーナからコフィが来た3年生の春学期には、ガーナへの留学は決まってましたが、家族の反応はまだ微妙でした。けれど、コフィが来て家族とふれあったことで家族のガーナへのイメージが良くなり、ガーナへの留学を応援してくれるようになったんです。そこがよかったかなあと思います。あとは、事前にコフィと親しい関係を築いていたため、ガーナに行ってから、コフィのおばあちゃんとか家族を紹介してもらえました。
私はガーナの大家族について研究をしています。ガーナでは血縁を超えて「家族」が拡大しているんですが、自分にとって「家族」といえる人物を増やしていくことで、生きづらさを軽減していることに気づいたんです。それに気づけたのは本当にコフィのおかげだと思います。コフィが「昔はおばあちゃんのところに養子みたいに出されていて、おばあちゃんに育ててもらった」と言っていたんですよ。そういう家族の流動性に気づくヒントがあったので、本当にコフィと出会えてよかったです。
交流による生きた学び
司会:
若本さんはアフリカにまだ留学していないですけど、授業で学ぶアフリカと留学生と触れ合いながら学ぶアフリカとの違いがあれば教えてください。
若本さん:
授業で学んだり、文献で読んだりするアフリカは、アフリカの人と実際に交流することで知るアフリカとは全然違うと思う。やっぱり生の声を聞けるというのは、心への響き方も違いますし、頭への入り方とか知識の吸収の仕方とかも違うなというのは、身に染みて実感しています。確かにアフリカに関する文献はいっぱいあるし、先生方の話を聞くのはすごく面白いですし、インターネットを使えばアフリカのあらゆる地域のことを知ることもできます。それはそれでいいんですが、同世代の留学生と実際に会ってみて同じ空気の中で過ごすことで、たわいもない会話から面白さが生まれるというところがいいなと思います。