1月29日(月)東京外国語大学 大学院国際日本学研究院と現代アフリカ地域研究センターの共催シンポジウム「日本―アフリカ関係を通したグローバル資本主義の批判的検討:土地、空間、近代性」が開催されました。グローバル資本主義の土地をめぐる様々な動きを通じて、私たちが直面する近代のあり方を考えるという趣旨のシンポジウムでした。
メインスピーカーのC.グラック教授(コロンビア大学)が怪我のため来日できなかったのは残念でしたが、近代のあり方をめぐる興味深い報告をビデオメッセージで話していただくことができました。
その後、アフリカの事例について武内進一(東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター)、コロンビアの事例について幡谷則子(上智大学)、大阪市の事例について原口剛(神戸大学)、インドの事例について佐藤宏(南アジア研究者?元アジア経済研究所)の各氏の報告がなされ、土地に対して資本が新しい形で関与し、介入している様が明らかにされました。最後に、中山智香子氏(東京外国語大学)から、不均等発展という概念に基づいて各国の事例を総括し、近代のあり方を問い直す報告がありました。
報告の後、坂井真紀子(東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター)、友常勉(東京外国語大学)のお二人からコメントがあり、総括の討論が行われました。
事例報告はアフリカ、コロンビア、インド、大阪と広範な地域に関わるものでしたが、理論的な視座からの報告とかみ合って、今日の私たちが直面する新しい資本主義、そして近代の形が浮かび上がったと思います。
個人的には、アジア経済研究所(アジ研)の大先輩である佐藤宏さんのいつもながらのクリアなご報告を聞くことができたこと、そして同じくアジ研でご一緒し、その後JICA研究所の研究プロジェクトでも共同研究を行った幡谷則子さんからコロンビアの最近の状況を教えていただけたことは、とてもうれしく思いました。原口剛先生の大阪の話も大変興味深く、地域を超えた問題のつながりを考えることができましたし、中山先生の理論的分析によって、そのつながりがはっきりと認識できました。とても勉強になるシンポジウムでした。
(武内進一)