国際日本学

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教員インタビュー

大西 拓一郎 ONISHI Takuichiro

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 元 教授(NINJAL)
研究分野/
Field
方言学?言語地理学

Q1. ご自身の研究内容について簡単にお教えください。

A1. 私の専門は方言学全般ですが、特に強く関心を抱いているのは、方言の地理的分布を分析する言語地理学です。
方言は場所によることばの違いです。それがなぜ生まれ、どのようにしてできたのかという、方言の生成と過程に関する議論は、方言形成論と呼ばれます。
 どんな分野でもそうですが、誕生と存在は出発点であり、かつ目標でもあり、方言学でも形成論は究極の課題です。この課題に取り組むにあたっては、ことばの面だけからアプローチしていたのでは、十分な説得力を持ち得ません。場所による違いの説明がどうしても欠かせないからです。ことばに関する研究では、特に言語変化に注目しながら、それが発生した場所についての情報をさまざまな角度から照合していくことが必要です。
20世紀の末あたりから、地理情報システム(GIS)という技術が普及するようになりました。地図を通して多種多様な情報を重ね合わせて行く手法です。方言の研究にGISを導入?活用することで、場所に関する側面を詳しく見ることができるようになってきています。
 この研究のために富山県や長野県を対象としたフィールドワークも行ってきました。長野県の調査は現在も継続しています。日本の方言学?言語地理学は厚い研究の蓄積を持っています。これを活用して、言語変化を地図の上でリアルタイムにとらえるようなことも行っています。
地図を使ってことばの研究を行うというのは、ちょっと風変わりに思われるかもしれません。方言がなぜそこにあるのか、どうしてできたのか、根本の解明に向けて、これからも取り組んでいきます。

Q2. 東京外国語大学では学生に対してどのような講義をされていますか。

A2. 春学期は、日本の方言と方言学に関する基本的かつ全般的なことを方言学概説として講義しました。秋学期は、春学期の内容を基礎として、方言の持つ場所によることばの違いという側面に焦点を当てる言語地理学について概説しています。
 今年は中国体彩网手机版感染症(COVID-19)の問題があって、ALHも学会参加という当初の予定を急遽変更し、ウェブ上での研究会を紹介して、そこに参加してもらうことなどを行いました。

Q3. 国際日本専攻は、日本発信力の強化に力を入れる方針をだしています。このためには、何が必要と思われますか。

A3. 案外知られていないことですが、日本では日本そのものに関わるオープンソース化がかなり進んでいます。データを扱うことが得意な人なら、日本の深いところをどんどん探ることができるのです。
 日本の方言に関するデータは国立国語研究所がオープン化を率先して行ってきました。全国方言地図である『方言文法全国地図』は、すべてのデータを公開しています。『日本言語地図』も公開が進んできています。21世紀の全国方言分布を扱っている『新日本言語地図』も原データを公開しています。
 地理的なデータは、国土交通省による国土数値情報、国土地理院による空間データ、総務省統計局による国勢調査データなど、これでもかというほど良質なデータが自由に扱えるようになっています。これらを縦横に組み合わせるなら、客観的で再現可能な科学性を有する日本研究が十分に可能です。
 このことを国内で話しても反応が意外に鈍いのですが、海外ではうらやましがられます。ぜひこのようなところに目を向けて積極的に活用し、アピールしたいですね。

Q4. 東京外大および学生に対してどのような印象をお持ちですか。

A4. 先にも述べましたように、今年はCOVID-19の関係で、すべての授業がオンラインになってしまいました。そのため、学生さんとも大学ともPC画面とmoodleなどを通した交流しか持てていません。しかし、不明点には教務補佐の方がきちんと対応してくださり、とても助かっていますし、学生さんたちも授業にまじめに取り組んでレポートも提出されていますので、ひじょうに良い印象を持っています。
 方言学や言語地理学についての質問や相談があればいつでも受け付けます。気軽に連絡してください。対面は難しい状況ですが、オンライン活用により、オフィスアワーの自由度は、かえって高くなっていると思います。

Q5. 海外からみて、日本のいいところ、足りないところ

A5. 海外経験は、学会出張と学生時代の旅行くらいしかないので、海外からの見解を述べる資格はありませんが、いいところは何となく漂う安心?安全感でしょうか。逆に言うとその隙を突くようなところに不安が残っているとも言えますが、さまざまなイノベーションはそのようなニッチから生まれてくるような気もしています。

※国立国語研究所(NINJAL)とのクロスアポイントメント

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