国際日本学

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教員インタビュー

徐載坤 SUH Jae Gon

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 元特別招へい教授
研究分野/
Field
日本文学

Q1. ご自身の研究内容について簡単にお教えください。

A1. 私は萩原朔太郎を中心に日本近現代詩について研究してきました。この数年間は、<日本近現代文学と戦争>というテーマに重点を置いております。特に、 戦中期の、戦争文学としての「戦争詩」とプロパガンダとしての「愛国詩」の問題に取り込んでいます。その研究成果の一部を、この前のワークショップで報告させていただきました。今後は、アジア?太平洋戦争体験の表象化を軸に、日本戦後詩の生成プロセスを考察するつもりです。

Q2. 東京外国語大学では学生に対してどのような講義をされていますか。

A2. 今学期、大学院で、<萩原朔太郎と近代日本>という授業を担当しております。朔太郎は病んでいる近代人の心象風景を口語自由詩で表出することに成功したといわれています。その一方で、彼は近代日本社会の変化にいち早く反応するパイオニア的な側面があります。例えば、前橋の自分の書斎をセセッション式に作り、また東京の工業化の様子、集団住宅(アパート)、百貨店、地下鉄などを詩の素材に取り入れました。そのような<モダニスト朔太郎>について講義しております。

Q3. 国際日本専攻は、日本発信力の強化に力を入れる方針をだしています。このためには、何が必要と思われますか。

A3. 最近、大学に勤めている日本人の研究者に会うと、必ず話題に上るのが<国際化>で、日本文学の方も例外ではないようです。<日本発信力の強化>もその一環でしょう。ほとんどの大学と機関がネット上での情報発信に積極的に取り組んでいます。しかし、その試みの大部分は一方通行にとどまっている気がします。日本はプライベートに関するセキュリティーが高くて、有益な情報を発見し、さらなる精細な情報を得るために、情報源へアクセスしようとしてもうまくいかないことが多いです。単に情報を発信するのではなく、それを見つけた海外の研究者が、次のステップに手軽くアプローチできるシステムの構築が必要だと思います。

Q4. 東京外大および学生に対してどのような印象をお持ちですか。

A4. 東京外大は、私が留学していた東京大学と違って家族的だという印象を受けます。キャンパスが緑に覆われていること、体育施設の充実、広大なアジア?アフリカ研究所にはびっくりしました。そして、学生たちは大変まじめで基礎能力も優れています。授業で、明治?大正期のテキストをその場で読ませるのですけど、みんなよくできます。留学生と一般聴講生も同じです。

Q5. 海外からみて、日本のいいところ、足りないところ

A5. 日本はあらゆることがとても専門的で体系化されております。それは学問の領域でも言えます。また記録する?資料を残す伝統が根強くて、作家の全集は日本独特なものです。 そのせいで、 日本人の研究者は自分の領域からなかなか出ようとしません。最近は変わりつつありますが、学際的な研究とかディスカッションをためらう傾向が見られます。

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