国際日本学

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教員インタビュー

文 明載 MOON Myung Jae

役職/
Position
大学院国際日本学研究院 元特別招へい教授
研究分野/
Field
韓日説話文学



「私の研究内容」 

私は日本の説話文学の代表的な作品と言われる『今昔物語集』を研究してきました。最近は二つの点に注目しており、一つは韓国の説話(主に『三国遺事』)との比較研究、もう一つは説話文学の研究方法論です。説話文学は他の文学ジャンルとは違って「伝承性」という特徴をもっており、したがってその特徴を究明するのに適した方法論が必要であると思います。例えば、説話文学は生きている歴史とも言えるほど説話生成時の時代状況を生々しく描いており、このような特徴を手掛かりとして、異文化間の異同を明らかにすることにも関心をもって研究していきます。



「東京外大での講義」

1)韓日説話文学論 

韓国と日本の代表的な説話文学作品を中心に、その成立背景と内容を比較文学の観点から比べ、説話文学の特徴や文化の異同について考えてみます。韓国の『三国遺事』と日本の『今昔物語集』を主たるテキストとし、両書の成立と構成、内容の特徴を理解させることが狙いです。そのために、両書から抜粋した説話を読解しながら、説話文学の特徴、歴史文化の背景などについての説明をおこない、説話による文化の理解を深めていけるようにします。

2)韓日説話文学に現われた思想

日本の『今昔物語集』を主たるテキストとし、必要に応じて日本の他の古典文学作品や韓国の『三国遺事』、『三国史記』も取り上げて、その内容の読解と分析を通じて両国(あるいは東アジア三国)の思想を比較し、当時の人々の精神世界を理解する手掛かりとします。説話文学の中には文学的な特徴のほかに、説話生成当時の時代的背景が潜んでいます。授業では説話や古典を読解した上で、その中に描かれている宗教、情緒、考え方などについて分析してみることにします。とりわけ、韓日の仏教思想、儒教の孝意識、家の意識など、民衆の生活と密接であった精神世界を比較することで、古典文学による文化の理解という方法論を試してみることができると思います。



「国際日本専攻の日本発信力の強化方法」

人的、知的交流の機会を増やすことが望ましいが、そのためにはこれを実現できるシステムの確保が必要です。現在の東京外大はかなり有効なシステムを備えているように思われますが、もう少し考えてみてほしい点もあります。例えば、既にいくつかの研究所が設けられて活動しておりますが、今後より多様な専門研究所が増え、研究所と学部、大学院との連携した研究活動が行なわれることを期待します。また、日本の学部は部活が活発ですから、海外大学との学問以外での色々な交流活動をすることによって、東京外大あるいは国際日本専攻の日本発信力が強くなると思われます。



「東京外大及び学生についての印象」

東京外大はこじんまりしていて大変きれいなキャンパスです。また、職員の方や学生はとてもやさしく親切です。授業での学生たちは講義に集中し、質問に対しても積極的に答えてくれますし、留学生たちの日本語能力も優秀であります。全体的にとても真面目であるという印象です。



「日本のいいところ、足りないところ」

一言で日本と言っても色々な日本があります。例えば国家としての、国民としての、文化や歴史としての日本がありますが、国民や文化、歴史としての日本については私たちが見習うべきところもたくさんあって、とてもいい印象が持てます。また、日本は物価や社会状況も安定していますし、テレビのニュースを見ないで暮らしていると、とても平和な国であるという印象でありました。しかし、国家としての日本はいまだ警戒を緩めるわけにはいかないところも感じられます。また、国の間違った政策についての国民の反応も、私たちの目からみると穏やか過ぎるようにも思われ、国民の意見をより積極的に表わし、国に伝えることも必要ではないでしょうか。要するに、日本国内での同感に安住せず、外の世界とも共感できるよう努めていくことが望ましいと思われます。

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