伊集院 郁子 IJUIN Ikuko
- 役職/
Position - 大学院国際日本学研究院 教授
- 研究分野/
Field - 語用論、談話分析、日本語教育
グローバルな環境でともに学び、議論し日本から世界へ発信する力をつけてほしい
本学では10年ほど留学生日本語教育センター(JLCTUFS)で留学生の日本語教育に当たり、日本語母語話者と学習者の会話や作文をデータに語用論?日本語教育分野の研究に携わっています。
ある留学生に「自分は日本語上級レベルまで勉強したけど、初めて会う日本人に対してどんな言葉で、どんな風に話せばいいのかもわからない」と言われたことをきっかけに、円滑なコミュニケーションという視点からポライトネス?ストラテジー(相手に配慮した言語行動)の研究に取り組むようになりました。その当時の研究テーマは、初対面の「です?ます体」から親しい間柄の「だ体」に変わる時には、どのような方略や意図が表れるのかというものでした。現在の研究対象は「意見文」で、日本、韓国、台湾、豪州の大学生に同一課題で意見文を書いてもらい、文章の構造や流れ、主張の仕方などの観点からその異同を分析しています。また、日本語教育研究の蓄積と発展に少しでも貢献できればと考え、自分で収集したデータをコーパス化して公開しています。
国際日本専攻では、初年度は「発信日本語」の授業を担当します。国際的な視座で日本を捉え直すには、異なる背景を持つ人や専門外の人にもきちんと伝わる発信力、コミュニケーション力が不可欠です。また、日本語教育には、言葉だけでなく、社会や文化、心理などにも関わる総合的、学際的な部分があります。そのため、先ほどの意見文の研究にも関連しますが、論文やレポートなど学術的文章の表現力や構成力、発信力を鍛えることを目的に、研究の観点や対象、手法など研究の土台となる部分を学んでもらいたいと思います。具体的には、専攻分野の論文を読み込むところからスタートして、アプローチや内容などを分析した上で、視点が定まっているか、テーマは大きすぎないかといった点を自分で検証できるように指導することを考えています。
私自身、今も台湾や韓国の大学院時代の仲間と共同研究を手がけ、大きな刺激をもらっています。本学には世界各国からグローバル人材が集まってくるので、机上の研究だけではなく、多彩な人たちとのコミュニケーションの中で研究を深め、積極的に自分の学びを形づくっていってほしいと思います。