2012年5月 月次レポート(横田さやか イタリア)
月次レポート 2012年5月
博士後期課程 横田さやか
派遣先:イタリア、ボローニャ大学
今月は大学院のセミナーが多く予定されていたのだが、休講や日程変更が相次ぎ、自分のペースを乱されないように留意しながら過ごすこととなった。とはいえ、研究は順調に進み、先月、博士論文執筆にあたっての個人的な課題を再確認したことを踏まえ、弱点克服を念頭に置きながら作業を進めた。
たいへん有意義だったことは、ボローニャ大学における、むしろイタリアにおける、舞踊研究の環境を築いた第一人者であるカジーニ?ローパ教授にご教示を仰いだことである。先月完成させた、イタリア未来派のダンス、ドイツ表現主義ダンス、日本の前衛ダンスの三点を俯瞰する論考について、非常に重要なご指摘をいただくことができた。教授は、報告者の論文テーマに関わる内容を論じたご自身の貴重な未出版の原稿を読ませてくださり、それを通しいっそう理解を深めることができた。その結果、これまで博士論文で未来派のダンスを論じるにあたって、やや説得力に欠けていた部分を補強することができ、それが励みとなって執筆作業にもいっそう力がこもった。同時に、博士論文完成を目指しいよいよスピードアップする時期に来ていることもご注意いただき、ペース配分についても肝に銘じながら取り組んだ。執筆の進捗状況を管理するにあたっては、内容、枚数、日数、それぞれに対して目標を設定しているが、どうしても予定から遅れをとることが多く、とくに、もう少し改善したい、などと思い続けて次のステップに移行することを躊躇ってしまう往生際の悪さもまた妨げになっている。潔さが必要であることを痛感しながら、日いち日と少しずつではあるが、精神的にも具体的な執筆技術についても改善点を補強できつつあるように思う。
さて、今月の末、報告者の派遣先であるボローニャが位置するエミリオ=ロマーニャ州で群発地震があり、ボローニャ近郊の小さな街では大きな被害も出た。幸い、報告者の生活圏には日常と変わる様子はなく、揺れも驚くほどではなかったが、地殻の動きはいまだ鎮静化してはいないというのが専門家の見解である。地震の報道があった直後に関係者の方々から無事を確認するご連絡をいただき、ご心配いただいたことに、この場をお借りして改めて感謝申し上げたい。また同時に、研究に影響が出ることが絶対にないよう、可能な限りの備えをしたうえで、落ち着いて過ごしていることを再度ご報告させていただく。