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2012年12月 月次レポート(杉山香織 フランス)

12月月次レポート

杉山香織(ボルドー第三大学派遣)

 先月のレポートでも言及いたしましたが、12月10日と11日に、 パリで行われたIPFC-PARISという国際学会に参加いたしました。この学会は昨年より発表機会を頂くことができ、今年で2回目の発表となりました。IPFCとは、InterPhonologie du Fran?ais Contemporainの略であり、日本語に直しますと『現代フランス語中間音韻論』となります。これは、フランス語学習者の音韻的側面を中心に研究を行うプロジェクトであり、フランス国内だけでなく、日本を含む11カ国に拠点が設けられています。詳細は、以下のホームページをご覧ください。http://cblle.tufs.ac.jp/ipfc/
 私は、IPFC-JPという日本人フランス語学習者コーパスに基づいた語彙研究を行っています。このコーパスは、単語リストの発音、単語のリピート、文章音読、ネイティブスピーカーとの方向付けられた会話、そして学習者間の自然会話の5つのサブコーパスから構成されています。私は、自然会話コーパスに基づき、フランス語母語話者コーパスとの比較を語彙的側面から行っています。今年は『Comparaison de l'Usage des "Multi Word Units" entre les Apprenants Japonais du Fran?ais et les Francophones Natifs (日本人フランス語学習者とフランス語母語話者間における"Multi Word Units"の使用の比較)』というタイトルで発表を行いました。Multi Word Units (MWUs)とは、簡単に説明しますと2語以上の単語から構成されている単位を指します。本研究では、Log-likelihood (対数尤度比)という統計手法を用いて、学習者によって有意に過少使用される2語から5語までのMWUsを抽出し、分析を行いました。分析を行った結果、学習者の発話において語彙的(中性代名詞)、統語的(関係詞や接続詞)、談話的(ディスコースマーカー)MWUsの過少使用が浮き彫りになりました。過少使用は、『外国語らしさ』を引き起こす要因となるため、この点についてコーパスを用いて客観的に分析を行ったことは、意義のあることだと思っています。なお、学会で頂いたご意見をもとにさらに精緻化し、博士論文に反映させたいと思います。
 11月に続いて12月も国際学会に参加し、負担も大きかったのは確かですが、大変勉強になりました。フランスに派遣していただいているうちに、様々な発表機会や国際学会への参加機会を持つように、これからもより一層心がけたいと思っています。

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