2014年3月 月次レポート(説田英香 ドイツ)
3月レポート
説田英香
派遣先: ドイツ フライブルク大学
先月に続き 、3月は博士論文の第二章に取り組んだ(博士論文は三章立て)。第二章では、「帰国促進政策」に焦点を当て、1973?80年のドイツ連邦共和国(以下、ドイツ)における外国人政策を扱う(第二章は第四節までを予定)。
第二章第一節では、1973年11月23日に外国人の新規雇用が停止されるまでの過程、その「雇用停止 (?Anwerbestopp")」が与えた結果とその影響について、そして、1973年6月6日の「強化プログラム("Konsolidierungsprogramm")」とその後の外国人政策の展開(?1975年)を扱った。今月は主に、 先月まとめた内容の修正および加筆を行った。
第二章第二節では、1975?78年を対象に、帰国促進政策案の制定過程を扱った。ここでは、1970年代後半の帰国促進政策案と1960年代後半から70年代前半にかけて連邦経済協力省 (Bundesministerium fur Wirtschaftliche Zusammenarbeit)が取り組んでいた、帰国後のトルコ出身労働者に対する「再統合プログラム("Reintegrationsprogramm")」の関連性に着目する。前者については既に史料分析およびまとめが終了していたが、後者についてはまだであったため、 2013年11月にコブレンツ連邦文書館にて収集した、経済協力省の史料についての分析を行った。ここではとりわけ1972年の「アンカラ協定」が制定されるまでの過程に着目し、特に1969?72年を対象に、連邦政府内における議論およびドイツ政府とトルコ政府間の交渉過程について調べた。また、当プログラムのモデルとされた、ドイツで最初の 「トルコ労働者団体 (?Turkische Arbeitnehmergesellschaft")」であるTurksan の設立過程と活動状況についても調べた。その際、文書史料に加え、主に以下の研究書(同時代文献)を参照した。Faruk ?en: Turkische Arbeitnehmergesellschaften. Grundung, Struktur und wirtschaftliche Funktion der turkischen Arbeitnehmergesellschaften in der Bundesrepublik Deutschland fur die soziookonomische Lage der Turkei, Frankfurt a.M. 1980; Claus Muhlfeld, Rolf Richter u.a.: Turkische Arbeitnehmer-Gesellschaften. Rahmenbedingungen - Motivationsstrukturen - Problembereich - Effekte - Tendenzen, Augsburg 1985; Manfred Werth: Anmerkungen zur Wirksamkeit deutscher Reintegrationsprogramme fur turkische Arbeitnehmer, in: Heiko Korner, Manfred Werth (Hg.): Ruckwanderung und Reintegration von auslandischen Arbeitnehmer in Europa. Beitrage zu einem internationalen Symposion des isoplam-Instutus in Saarbrucken am 16. und 17. Oktober 1980, Saarbrucken 1981, S. 77-98. 「再統合プログラム」の結果についての分析はまだ途中のため、今後の課題とする。
今月末をもち、本派遣は終了となった。研究を進める過程で、当初の予定に変更があり、博士論文の提出日を2014年3月から10月へと延期した。その為、派遣終了後に再びドイツへ渡り、派遣期間中と同受入機関および同受入研究者のもとで、引き続き博士論文の執筆を行う。
以上