2013年9月 月次レポート(説田英香 ドイツ)
9月レポート
説田英香
派遣先: フライブルク大学(ドイツ)
先月に続き、9月も博士論文の執筆を行った。今月は第二章と第三章に取り組んだ。論文の第二章では、1970年代のドイツ連邦共和国における帰国促進政策を扱う。これまでにコブレンツ文書館で収集した史料とそれらの分析結果をもとに、 帰国促進政策に関する連邦レベルでの議論をまとめた。その際、全体の外国人政策における、その位置付けに特に着目した。主に扱ったのは、次の二点である。
① バーデン=ヴュルテンベルク州が1975年の夏に提出した、失業外国人労働者を対象とする「帰国支援」についての法案(Entwurf eines Gesetzes zur Anderung und Erganzung des Arbeitsforderungsgesetzes)と、連邦参議院および連邦議会における議論
② 1976年夏に設立された、連邦労働省と連邦経済協力開発省から成る「『帰国促進』プロジェクトチーム」の帰国促進政策に関する報告書(Projektgruppe ?Ruckkehrforderung" der Bundesministerien fur wirtschaftliche Zusammenarbeit und fur Arbeit und Sozialordnung: Uberlegungen und Vorschlage zur Forderung der Ruckwanderung auslandischer Arbeitnehmer und Fachkrafte)
現段階では②について、報告書提出後から1981年までの間における具体的な展開がわかっていない。これについては、先行研究からも情報を得る事ができなかったため、来月予定している文書館訪問の際、関連するファイルを再度見直す必要がある。①については、 節を丸々設ける予定であったが、論文の流れを考慮して、大幅に分量を削減することとなった。史料の不足が理由でまとめきれていない箇所が多々あり、第二章の第一稿はまだ完成と言えない状態であるが、これらは文書館訪問後の12月の課題とする。従って、第三章に取りかかることにした。第三章では、1983年の帰国促進法が制定されるまでの過程を考察する。今月は、前シュミット政権下における1981/82年の帰国促進政策に関する決議(第一節)までの流れをまとめた。
以上