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2013年5月 月次レポート(説田英香 ドイツ)

5月レポート

説田英香
派遣先: フライブルク大学(ドイツ)

5月はこれまでの調査結果をもとに、文書館訪問の計画と準備を行った。連邦文書館と史料の閲覧申請を提出していた省庁と、閲覧申請手続きの進捗状況について連絡をとった。申請していた史料の大部分はすでに閲覧許可が出ていた。しかし、そのうち1983年の特定の史料については外務省からの許可が下りないとの理由で、今年中の閲覧は不可能であるという結果であった。それ以外の閲覧許可が下りた史料については、連邦首相官房からコピーが自宅に郵送された。さらにドイツカリタス団体(Deutscher Caritasverband)の文書館訪問も行った(http://www.caritas.de/)。カリタス団体は、カトリック教会を基盤とするNPO団体であり、ドイツのみならず様々な国でも組織されており、世界各国で慈悲活動を行っている。ちなみに日本ではカリタスジャパンがそれにあたる(http://www.caritas.jp/index.html)。ドイツカリタス団体は1960年代を中心に、とりわけカトリック教徒が多かったイタリア、スペイン、後にはユーゴスラビアからの労働者に対する社会活動をドイツ政府からの委任で行っていた。労働力募集停止が行われた1973年以降もこれらの活動を引き続き行ってきたが、それ以外にも外国人労働者及び彼らの家族に対する政策の議論に積極的に関わっていた。ドイツ労働総同盟(Deutscher Gewerkschafts-bund)や労働福祉団体(Arbeiterwohlfahrt)とならんで、重要な社会団体の一つに数えられる。今回の文書館訪問では、とりわけドイツ政府の帰国促進政策に対するカリタス団体の見解がわかるような史料を求めた。ドイツカリタス団体の本拠地であるフライブルクの文書館にて、カリタス団体が保有している史料の調査を行った(Archiv des Deutschen Caritasverbandes)。残念ながら、外国人労働者及び移民に関する史料は予想よりも少なく、その量は目録一冊に収まる程度であった。中でも、イタリアからの労働者に対する活動記録と思われる史料がほとんどであった。連邦レベルでの外国人政策に関連し得る史料を一部見つけたが、全て1970年代初頭のものであった。当文書館の史料は、遡って40年以前(通常30年)のものしか閲覧できないこともあり、今回の文書館訪問から、ドイツカリタス団体での大きな史料収集は現実的でないと判断した。受入指導教員であるヘルベルト教授とも話し合った結果、ドイツカリタス団体については連邦文書館の史料および刊行資料を使用することにした。関連し得る一部の史料については、日程に空きが出次第閲覧する予定であるが、9月まで満席のため現在は保留となっている。
 上記以外にも、帰国促進政策についての史料分析及びそのまとめを行った。とりわけ、1975年にバーデン=ヴュルテンベルク州から提出された帰国促進政策についての法案、そして1982年に同州を筆頭にCDUが第一党の州により提出された類似の法案の議論を比較分析した。これまでは全体的な議論のまとめに留まっていたが、今回はとりわけ、当時の政党政治の動きに着目した。

以上

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