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2013年3月 月次レポート(近藤野里 フランス)

ITP-EUROPA月次レポート
2013年3月

近藤野里

 2013年3月12日、大雪に見舞われたパリに到着しました。報告者は2013年3月12日から2014年1月15日までパリ第8大学の博士課程で研究を行う予定です。昨年度は短期派遣EUROPAにより2012年10月から2012年2月14日までパリ第8大学に派遣していただいたため、1ヶ月の一時帰国後の再出発という形でした。一時帰国中の日本では友人や家族に囲まれて少しのんびりと過ごし、元気になってフランスに戻って来られたと思います。3月は気温が10度以上に上がることもなく、少し寒かったものの、段々と日が沈む時間が遅くなり、春の日差しが感じられるようになりました。パリの冬は日が短く、曇りの日ばかりで、気が沈むことが多かったためか、天気が少しでも良くなると研究の効率も上がるように感じられます。
 パリ到着翌日はフランス南西のボルドーへと移動しました。ボルドー第3大学でのフランス語コーパス録音のお手伝いを3日間させていただきました。コーパスの録音に参加するのは初めてだったため、良い経験になりました。
 今月は主に博士論文で使用するGile Vaudelinコーパスの分析を行いました。分析の内容として、どのような統語テクコンテクストでリエゾンが実現されるのか、もしくは実現されないのか、また、それぞれの統語的コンテクスト(例えば、形容詞+名詞のようなコンテクスト)におけるリエゾンの実現頻度を測りました。この分析の結果はパリ第8大学の音韻論研究会で3月27日に発表し、参加者に問題点の指摘やコメントをしていただきました。発表のために割り当てられた時間は2時間だったので、発表中に質問や議論などができ、とても有意義な機会となりました。来月は、コメントや指摘を考慮に入れつつ、この分析結果を整理し、博士論文の中のひとつの章にまとめる予定です。
 また、今月は、パリ第10大学主催のリエゾンの研究会にも参加しました。この研究会は2013年1月から定期的に行われているものです。今回のテーマは音響音声学の観点からリエゾンを分析するか、というものでした。このテーマから、発表者の一人であるC. Fougeronの専門がイントネーションであるため、その観点からのリエゾンに関する研究発表を聞くことができると思っていましたが、考えていたものとは少々違う内容の発表でした。発表内容は、機械的に音声処理を行う場合に、リエゾン子音をどのように扱うかという問題について、また発話速度とリエゾン実現頻度の関係について扱ったものでした。

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