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2010年9月 月次レポート(石田聖子 イタリア)

月次レポート
               (2010年9月、博士後期課程 石田聖子)(派遣先:ボローニャ大学 [イタリア])

 今月1日より改めて東京外国語大学若手研究者インターナショナル?トレーニング?プログラム(非英語圏ヨーロッパ諸国)(TUFS-ITP-EUROPA)からの派遣を受けてのボローニャでの留学生活を開始した。本学とボローニャ大学との間で締結された共同学位授与制度に則り博士論文の執筆?作成、関連する資料調査を行うという派遣目的に関しては、先月終了した前回時派遣時のそれと同様であり、具体的な作業内容としても前回派遣時に行った作業を引き継ぐものである。しかしながら、前回派遣終了後の帰国の際には、派遣者自身も参加して報告を行った当プログラム派遣成果?研究計画報告会にての委員会及び関係者、また、家族や友人、その他関係者諸氏と、各方面から、助言及び叱咤激励を受けたことに加え、留学生活が折り返し地点を迎えたこともあり、今回時の派遣には、まさに身の引き締まる思いで臨むこととなった。
 新年度の大学登録、滞在許可証更新に係る最低限の手続きを行う必要こそあったものの、生活の基盤はすでに充分に整っていたために、現地到着後はすみやかに研究生活を開始した。今月はまず、夏以来執筆を続けている博士論文第三章第二節の執筆にあたった。パラッツェスキによる未来派宣言「反苦悩/Il Controdolore」(1914)を未来派、及び、パラッツェスキ自身の詩学表明としてばかりでなく、20世紀的笑いのとりうる形態のひとつ<神的笑い>の理論編として読む試みである。月半ばには執筆を完了、言語チェックを済ませた。近く、派遣先大学指導教員への提出を予定している。第二節執筆終了後は続く第三節の執筆準備に取り掛かった。第三節では、同じくパラッツェスキの手による『ペレラの法典―未来派小説/Il Codice di Perela -Romanzo futurista』(1911)を主な分析の対象とし、上記未来派宣言にて表明された詩学のもとに生みだされた文学表象の具体例を考察する。同小説の主人公であるペレラと名づけられた煙の人間の身体を考察の中心に据え、その軽やかで、流動的で、グロテスクな在り様と<神的笑い>の身体性とを比較検討することを予定している。
 ところで、新学期を迎え、夏の間、町や大学からすっかり人影が消えたボローニャにもようやく活気が戻ってきた。そんななか、今月24日には、大学校舎の集中するザンボーニ通りにおいて、「La notte dei ricercatori/研究者の夕べ」と題されたイベントが開催された。ボローニャ名物の回廊に沿っては、ボローニャ大学に在籍する研究者及び博士後期課程学生によるポスター発表やエキシビジョンが、校舎内では、研究や大学の意義や在り方をめぐるシンポジウムや講義等が企画?開催されていた。大学地区一帯が、通常にも増して、知をめぐる好奇心に満ち満ちた空間となっており、散歩がてらに立ち寄った派遣者も、新たに始まった研究生活へ向けての志気を大いに鼓舞されることとなった。

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                「研究者の夕べ」:ザンボーニ通りポスター発表会場の様子

 

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