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2011年12月 月次レポート(牧野波 韓国)

ITP-AA 派遣月次報告 2011年12月分

博士後期課程   牧野 波(派遣先:韓国外国語大学)

 12月に入って、ソウルは最低気温が零下を下回る日も増えてきました。冬休みに入ったこともあり、三ヶ月目は少し腰を落ち着けて、研究にかかわる作業に打ち込むことができました。

1)聖公会大学、曺喜昖(チョウ?ヒヨン)先生の講義聴講?冬学期終了

 先月から聴講させて頂いていた曺喜昖先生の大学院講義、「政治と社会」が冬学期の終了を迎えました。進歩的な立場から韓国の現代史をどのような構造変化の所産として捉えるのか。また韓国内部の運動に携わる人々が韓国の歴史?社会をどのように捉えどのような変革を実践しようとしているのか。学生、教授の立場を越えて毎回戦わされる議論に、大きな刺激を受けました。

2)曺喜昖先生の本の翻訳

 「朴正煕政権期の政治?社会構造についての理解を深めたい」というリクエストを申し上げてみたところ、朴正煕政権について論じた曺喜昖先生の著書を、試しに翻訳してみることになりました。朴正煕政権期の開発動員が、国家など上からの強制だけでなく、民衆の下からの同意によっても支えられていたことを分析しつつ、それが必然的に崩壊せざるを得ない構造を有していたことを論じている書籍です。派遣者は、朴正煕政権期の民族主義的文化政策の推進が国民の主体化にどう寄与したかについて関心があるため、その背後の大きな文脈である全社会的な開発動員の問題について考えるのに、とても大きな助けになっています。

3)参考文献(論文)の収集

 二か月が過ぎてようやくソウルでの生活に慣れてきたこともあり、韓国外大の図書館で、自分の研究領域に直接かかわりの深い文献を渉猟し始めています。さしあたり、12月は軍事独裁政権期(盧泰愚政権期まで含む)の伝統文化政策推進に関する論文を数本探し、読了しました。(まだシステムがよくわかっていない部分がありますが...)

4)ラングウィッジ?エクスチェンジの継続

 先月から行っているラングウィッジ?エクスチェンジ(教科書を使用して日本語を教える―韓国語の細かい言い回しを教えてもらう)も、週三日で継続しています。小さなことですが、12月末の段階で「言葉がわからない」ということが怖くなくなったこと、また頭の中で先に日本語を組み立てて発話しなくても、その場その場で言葉が出てくるようになりました。

 3ヶ月が過ぎ滞在期間も折り返し地点を迎えました。1月は、今後書く論文を具体的に構想しつつ、具体的な資料収集を心がけて研究生活を送ろうと考えています。

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