2009年9月 月次レポート(足立享祐 イギリス)
月次レポート(2009年9月分)
ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)派遣者
足立享祐(2009年3月22日~9月21日)
6ヶ月間の派遣期間の満了を迎え、受入を担当していただいたProfessor Gerstle、Professor Ahuja、両先生に、これまでの成果について簡単に報告を行い、9月21日、無事に日本へ帰国した。派遣期間中には、本プログラムによる支援と受入担当の先生方の御厚意で、SOASに所蔵されている資料を利用する機会を持つことができた。また現地でしか見ることのできない、多くのイギリス東インド会社資料、私文書、そして揺籃期のマラーティー語印刷物に触れることができたのは、得難い経験であった。
最後の数週間は、帰国準備と平行して、これまで閲覧?収集した資料の整理に費やした。これらはおおむね以下の5つの資料群からなっている。
(1) 現地語教育、出版政策を担当したボンベイ管区総務局および、司法局、軍務局の一部関連文書
(2) 法廷言語問題を中心とする、ボンベイ管区条例における言語関連条項
(3) 東インド会社文官養成を担ったヘイリーベリーカレッジ記録
(4) ボンベイ聖書協会などによる、19世紀前半の新約旧約聖書のマラーティー語翻訳
(5) 辞書、文法書など、1867年に至るまでの主なマラーティー語研究書
今後はこれらを活用し、マラーティー語言語誌をより立体的な記述へと発展させたいと考えている。
また1867年までのマラーティー語出版物の所蔵情報のリスト化を改めて行い、今後の研究のための基礎資料を作成した。BLではオンライン目録への登録が随時進められていることはいうまでもないが、初期に収集されたインド諸語資料については、未だ個別に刊行された所蔵目録の利用が不可欠である。更に旧インド省図書館および大英博物館から移管された資料目録については、請求記号に大幅な修正が加えられていることに留意が必要である。これらの一部については最終の成果報告書に盛り込むこととしたい。
帰国して改めて、この6ヶ月間が貴重な機会であったことを痛感している。これに報いることができるよう、この経験をこれからの研究に生かし、また一層努力したいと考えている。