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2008年11月 月次レポート(藁科智恵 ドイツ)

ITP報告書(200811月)

                            藁科 智恵

 

 11月に入り、日がとても短くなりました。第三週辺りからは、一段と寒くなり、氷点下になることも珍しくありません。雪がたくさん降って、朝起きて窓の外を見ると真っ白になっている、という日が続いています。景色がきれいなのはいいのですが、特に早朝、夜は、道路が凍って、坂が多い寮の周りの道を歩くのは至難の業です。

 111日、2日には、マールブルクで日本研究の研究会がありました。先月にボーフムで行われたシンポジウムで知り合った先生から紹介していただいていたので、専門分野とは関わりは薄いですが、参加させていただきました。マールブルクの日本学のシュミットポット教授が主宰しているもので、さまざまな大学から、教授、大学院生、学部生が参加していました。学生が多く、自由な雰囲気で議論が行われていました。興味深いテーマの一つには、日本の大学の人文学における研究プロジェクトの現状、というものがありました。研究プロジェクトに対する「経済的支援」と、そこで期待される研究の内容との関係、そのシステムについて説明がなされ、その問題点や、ドイツにおける人文学研究を取り巻く状況との類似点等が議論されていました。また、法学部の資料館に移動し、そこで資料の保管、検索技術の発達、またその利用方法に関してその担当者から話を聞く機会もありました。さらに、大学院生とも知り合うことができ、有意義な時間を過ごすことができました。

 第二週の週末には、ライデンでの住居探しに関する手続きも兼ねて、オランダに行きました。ライデンは、住居数が少ないこともあり、留学生にとって住居探しは頭痛の種であるということは、聞いていました。ただ、数の限られた住居を有効活用しようというシステムがあるようです。それは、ライデンの学生が、留学もしくは旅行で部屋を長期間空ける際、その部屋を留学生に提供しようというシステムです。それを仲介しているのが、Roofsというところです。登録をして登録料を納めてから、インターネット上の掲示板から自分に合った部屋を探し、Roofsから相手の連絡先を入手し、そこからその部屋のオーナーと交渉するというものです。一応アパートメントは抑えてあるのですが、学生から間借りする部屋と比べると値段がかなり違うため、まだうまく期間が合うところが見つかりませんが、もう少し様子を見ようと思います。

 オランダに行った際に立ち寄ったゴッホ美術館では、19世紀後半から20世紀前半にかけて、まさに宗教的状況を生きたゴッホの生涯を振り返り、胸を打たれました。それと同時に、20世紀前半のヨーロッパにおける知的状況との関連において、ゴッホの生涯が大変示唆的であったのが、印象的でした。

 10月に引き続き、午前中は大学の語学コースを受講し、午後は大学図書館、宗教学部図書館で作業をしています。シンポジウムで知り合ったライプチヒの院生とメールでやりとりをしながら、資料、新刊文献等についての情報を交換しています。またこちらでの受け入れ教授であるフランケ教授の講義も受け、マールブルクで宗教学がどのように教えられているかということも含め、興味深く聴講させていただいています。また、さまざまな文化?宗教における死に関するリレー講義では、今月に入り、アジア地域を専門とする教授による講義が続いています。研究テーマである20世紀前半のドイツの知的状況におけるアジア的モメントとのつながりからも、興味深いです。

 1128日からは、各地でクリスマス?マーケットが始まりました。マールブルクの中心地にもモミの木が運ばれ、クリスマスのイルミネーションもいろいろなところで見られるようになり、年末の雰囲気が盛り上がっていきそうです。写真は、クリスマスマーケットの初めの日にだけマールブルクの町中がライトアップされ、お店も12時まで開いているのですが、その時のものです。

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